03S.ケンジとアビス1
その後「サイト」通りに、一週間程度で、注文した「エレメンコス」が、彼の家まで、届きました。梱包物は、結構な重量でした。彼等種族に取っては、それを買うことは、普通で有り、別に罪悪感は、有りませんでした。彼は配達者から、それを受け取ると、1人で開梱して、内容物を確認しました。
それは頭部から、足の先までの「一体構造」でした。とても良く出来た、人形で有り、まるで、生きて居るように、見えました。「エレメンコス」は「インキュマー」専用のもので有り「特殊なドール」でした。それは明らかに、普通のものとは、違うものでした。「エレメンコス」の主成分は「シリコス」と、呼ばれる「浮遊大陸パルパンティア」原産の、特殊な赤土から、抽出された「原石の成分」から、出来て居ました。
その原石の発掘現場は「魔人類」の「発祥地」とされた、採掘現場から、取れたものでした。そこの赤土には「創造神の力」により、何かしらの作用が、今でも残って居るようで、太古の昔に、そこから浮遊大陸の先住民達が、生まれた場所でした。その為「人間のようなもの」が「生まれ易い土壌」だったのかも、知れません。
「桑島ケンジ」は、ドールを大事に、取り出すと、壁に立て掛けて、全身の鑑賞を、してみました。それは、実に素晴らしい素体でした。顔が美しくて、植毛された髪の毛が、また素晴らしいものでした。彼女は「淫魔系の素体」でしたので、肉感的で、妖艶なボディでした。彼は、飽きること無く暫く、それを見て居ました。今日は、初めての対面でしたので、何時までも「裸の彼女」を、見て居られました。やがて付属の、丈の長い白いジャンパーを、彼女に着せました。するとそれは、簡易的な、彼女の服装に、変わりました。それで魅惑的な部分を、隠すことが出来ました。それから白い靴下を履かせて、白いルームシューズを、履かせると、彼女の服装が、整いました。
ケンジは、試しに彼女に「動いてみろ。」と、命令しました。彼は「使い魔」でしたが、まだ「人型の使役」は、したことが有りませんでした。彼は、彼女を見ながら、自分には、これを動かすことは、まだ「出来無いだろう」と思って、暫く見て居ました。すると彼女の目が、微かに左右に動いたのを彼は、見て居ました。
すると彼は、驚き「何だ。もう動いて居るぞ。これは、魂消たものだ。」と言うと、彼は、吹っ切れたように、彼女の全身を、触りまくってみました。それは、とても身体が、柔らかい「女型の人形」でした。すると今度は、彼女の唇が、微かに動いたのを、彼は、見て居ました。
ケンジは、こんなにも「ドール」とは、所有者が思っただけでも「直ぐに、反応するものなのか」と彼は、恐ろしく成りました。しかし興味の方が先でした。それからもケンジは、彼女を様々なポージングを、させたりしながら、暫くの間、人形と遊んで居ました。彼は「人形遊び」と、言うものは、意外と「楽しいものだ」と、思いました。そしてその日は、遅くまで人形と、戯れて居ました。
それからケンジは、彼女に「名前を付けよう」と、思いました。そして彼女を見て、初めに浮かんだ、名前が「アビス」でした。「桑島アビス」・・・。中々、良いでは、ないか。そうだ、彼女の名前は「アビス」にしよう。彼が、そう思うと、彼女の名前は、それに決まりました。彼のドールは、これからは「アビス」と、呼ばれるように、成りました。
「エレメンコス」は、所有者との相性が良いと、早い期間で、自我が目覚めました。それから、動くように成るのです。通常では、半年間の時間が、必要でした。最短では、1か月と言うのが、目安でした。ケンジはアビスに、彼女の自我が、目覚めるのは「割かし早い時期に、成るだろう」と、思いました。しかし実際に、彼女に自我が「目覚めた」のは、おおよそ3か月後のことでした。
「ゴーレム使い(使い魔)」の者が「人型」を所有して、それに触れたり、話し掛けたりすると「人型」が、人間のような反応を、するように成りました。それは「使い魔」の魔力に、それが敏感に反応して、起る現象で有り、そんなことが出来るのは、この世界では「使い魔」の他には「疑似使い魔」位しか、居ませんでした。
それは、特に「男型の使い魔」が「女型ドール」を保有して、それと「緊密な関係」を結ぶと、急激にドールの自我が、目覚めました。ドールを早く、目覚めさせるには、その関係が、一番早く確実に、所有者に忠実な「ファミル(眷属)」に、成りました。
ケンジはアビスを、迎えてから暫く経つと、日々いつも彼女が、ケンジが構ってくれるのを、待って居るように、見えました。それは、彼が「ただ一方的に、思って居るだけ」なのかも、知れませんでした。しかし彼には、何故か彼女が「1日でも、早く自分で動けるように、成りたい」と、思って居るように、見えました。
ケンジは、アビスと「緊密な関係」に成ると、昼夜を問わずに、只管に、行為に励むように、成りました。そして何回も彼の体液を、彼女の体内に、放出しました。するとドールが、これから自分が生きて行く為に、必死に成って自分の体内に、それを取り込んで居るように、見えました。するとドールが、それを取り込む度に、ビクンビクンと、反応しました。そして、アビスとケンジが「緊密な関係」に成って、大分経った或る日のことでした。
何時ものように、ケンジがアビスに、覆い被さって居るときでした。彼女が、初めて「産声」を、上げました。それは、とても元気で、可愛い「喘ぎ声」でした。しかし彼は、彼女のその声を聞いても、別に気にすることも無く、何時ものように、励んで居ました。そしてそれが「普通の男女」の秘密行為に、変わると「インキュマー」の「女型魔人アビス」が、誕生しました。
「ゼビスの人類世界」に、潜んで居た「ハイキュレス・ミーシャ」は、この世界と、隣接する部分に「新たな世界(13世界)」が、生まれたことを、知りました。それは「淫魔と使い魔」と言う、2つの力を、併せ持った、魔人類「インキュマー」達が、暮らす世界でした。




