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NewLifeOnline  作者: Umi
第1章 酔いどれの鬼たち

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第8話 “東の森”

「何処に行っちゃったんだろう」


 サキは街を走り回り、露店をしていてその場から動いていない人たちにも聞き込みを行っていたが、何一つとしてリカの情報を得ることができなかった。


「もしかして街の外に出ちゃったのかな?」


 頭に嫌な予感が浮かぶ。

 自分の思い違いであることを願いながら、街とモンスター蔓延る外界を繋ぐ門へと走っていく。そんなサキの様子を、NPCもプレイヤーも怪訝な目で見ていたが、そんなことを気にする余裕は彼女にはない。


「はぁはぁ、すいません」


「ど、どうしましたか?」


「このくらいの子供が門を通りませんでしたか?」


 サキは手を使ってリカの身長を表現して、門を守る門兵に尋ねた。門兵の男は少し考えるような素振りを見せてから、口を開いた。


「実際に見たわけではないが、商会のキャラバンがここを通った時、商会員の1人が小さい何かとぶつかって声を上げていた。もしそれがその子供なら、街の外に出ているかもしれないな」


「なら助けに行きましょう!」


「済まないが、私の仕事はここを守ることだ。それを放棄して、街の外に出たかもわからない子供を探すことはできない」


「そんな……」


「見つけに行くのなら、早くした方がいい。夜になると、モンスターたちは活性化してしまうからな」


 それを聞いたサキは、後先考えずに街から飛び出した。

 街を飛び出ると同時に、ログアウトしてから召喚していなかったカグヤを呼び出した。


「リカちゃんっていう女の子を探したいから、手伝って!」


「きゅう!!」


 1人と1匹は東の草原を駆け回る。

 スライムやラビットは、その速度に追いつくことができず、接敵することがなかったが、比較的俊足であるウルフとは接敵してしまった。


「急がないといけないのに……“春風流・一閃”」


 刀身の軌道が輝いていると錯覚するほどに、洗練された動きによる一撃は、ウルフに攻撃する暇を与えることなく、その首を斬り落としていた。


「きゃぁぁぁ!!!」


「リカちゃん!」


 リカのものと思われる悲鳴が聞こえてきた。その声の発生源は入ったことがない“東の森”からであり、一瞬躊躇ってしまう。だがリカの顔を思い出す。サキは頬を思いっきり叩き、根性入れなおしてから“東の森”へと侵入した。


 ――“東の森”

 鬱蒼(うっそう)と生い茂る草木は、サキたちの視界や動きを阻害している。そして高く聳える(そびえる)木々は、輝く太陽の光がサキたちへと届かないように遮っていた。


「あっちから声が聞こえたけど、急ぎ過ぎず、慎重に行くよ」


「きゅう!」


 サキは前方に広がる背の高い草を切り倒していきながら、慎重に進んで行った。しかし広い森全てをクリアリングできるわけもなく、不意打ちを受けてしまう。


「――っ!」


 不意打ちを受けたサキだったが、鍛え上げられた反射神経と、積み上げられた戦闘経験が、不意打ちからその身を守った。

 サキの刀と競り合っているのは、落ちない汚れがこびり付いた爪だ。そんな爪で引っ掻かれようものなら、病気に感染してしまうであろう程に不潔だ。

 その爪の持ち主は、緑色の小さな身体、その身に合わない膂力、そしてニタリと笑う醜い顔を持ち合わせたモンスター――ゴブリンだ。


「こんなことは言いたくないけど、気持ち悪いよ」


 サキは膂力の差を見せつけるように、ゴブリンのことを弾き飛ばした。そして弾き飛ばしたゴブリンへと罵倒の言葉を浴びせた。

 人の言葉が分からないゴブリンだが、本能的に貶されたことを察したのだろう。激高したそれは、周りを気にすることなく、一直線でサキへと走っていく。


「カグヤ!」


「きゅう!!」


 背が高い草に隠れていたカグヤの飛び蹴りが、ゴブリンの脇腹へと炸裂した。ウサギの健脚によって放たれた跳び蹴りは、ゴブリンに致命的なダメージを与えた。

 しかし一撃で倒し切ることはできず、ゴブリンはフラフラとしながらも立ち上がる。


「トドメを刺してあげる」


 サキはゴブリンの背後に立っていた。

 そして刃が首を捉えた。ゴブリンはポリゴンとなって消えていった。


「ふぅ、早く悲鳴のところに行くよ!!」


 ゴブリンからドロップしたアイテムを確認することもなく、サキたちは走り出す。


 そしてサキたちは悲鳴の下へと辿り着いた。そこにあったのは、巨大な木の根の隙間で怯えているリカのの姿と、それを襲っている巨大なクマの姿があった。


『クエストが変化しました』


ユニーククエスト

【リカを救え】

難易度5

成功条件

ブラウンベアーを討伐する

失敗条件

リカの死亡

成功報酬

???


「ブラウンベアーを倒すよ、カグヤ!」


「きゅう!!」


 サキは刀を構え、駆け出した。

 ブラウンベアーの視界に入った瞬間、それはサキたちのことをギロリと睨みつけた。恐怖心はなかったはずだが、身体が硬直してしまう。


「もしかして、スキル!?」


 身動きの取れないサキへと、ブラウンベアーの右腕が容赦なく襲った。膨れ上がった筋肉、鋭い爪による薙ぎ払いは、サキの体力を一撃で持っていく攻撃だ。

 サキは心の中でリカとその姉に謝罪の言葉を送った。そして彼女の身体は吹き飛んだ。



 tips

・クエストの難易度

プレイヤーたちの平均レベルとクエストの難易度から計算されて出されている。そのためゲームが進むほど、難易度の数値が下がるが、クエストの難易度自体は変わらない。


・最初の街【ファスター】周りの難易度

東の森>北の平原>南の平原>西の平原>東の平原



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