第49話 巨人骨人
サキは巨人骨人の下へと駆け出した。
猪突猛進に突っ込むのではなく、巨人骨人の動きを観察しながら少しずつ距離を詰めていく。
残り数十mほどまで近付けたが、巨人骨人の攻撃が待っていた。巨大な腕を薙ぎ払うように振り抜く。
「危なっ――」
サキはその場で跳躍することで直撃は避けることができたが、薙ぎ払いによって発生した風圧によって、吹き飛ばされ、壁に激突してしまう。
「サキお姉さん! ポルターガイスト!!」
後衛の役割を担うアリウムが、ポルターガイストで大き目の石を持ち上げて、巨人骨人へと投げつけた。
アリウムが投げつけた石は巨人骨人の腕に炸裂し、サキへの追撃を事前に防ぐことができた。
腕を弾かれたことで、巨体が揺らいだ。
「今の内だよ!」
戦線に復帰したサキが号令をかけると、その声に合わせてカグヤとアリウムも動き出す。
サキは前衛を務め、巨人骨人の下へと走って距離を詰める。既に抜刀済みの刃を光らせながら、走っている彼女を見て、巨人骨人はサキに狙いを付けた。
「同じ手は食わない」
再び巨人骨人は、サキのことを腕で薙ぎ払おうとした。だがサキは、大げさに跳躍することで、風圧による影響も受けずに攻撃を避けることができた。
着地と共に膝を軽く曲げる。そして過去一番の跳躍を見せた。
「“聖炎”」
メラメラと燃える聖なる炎を輝かせた刃を、巨人骨人の巨大な首へと振り抜いた。刃そのものは届いていなかったが、聖なる炎によって延長された刀身は首に届いており、巨人骨人にダメージを与えることができた。
アンデットの弱点である白系魔法を喰らった巨人骨人は、2、3歩後ろによろめいた。そんな巨人骨人に追い打ちを掛けるように、カグヤの飛び蹴りが炸裂した。
「きゅう!!」
足元が不安定な状態で、胸を飛び蹴りされた巨人骨人は、尻もちをついて倒れた。
「ここで終わらせるよ!!」
「はい!」
「きゅう!」
アリウムは巨人骨人の頭部に石を落とす。重力に従って落下する石は、鈍い音を鳴らしながら、巨人骨人の頭蓋骨に直撃した。
そして再び距離を取って、最高速度になったカグヤの飛び蹴りが頭部に炸裂する。頭部への二連撃に、巨人骨人は仰向けに倒れた。
「これで終わりだよ!」
倒れている巨人骨人の胸の上に立つサキ。
無防備になっている首へと、刀を振り抜いた。聖なる炎による斬撃は、太くて頑丈な首の骨を切断し、巨人骨人の体力を削り切ることに成功した。
足元がポリゴンに変わったことで、サキは地面に落ちていくが、足場が完全に消える前に跳躍していたことで、着地はふわりとしていた。
「ふぅ、勝てたね」
「案外弱かったですね」
「そうだね、攻撃を当てて来たら、脅威的な相手になっただろうけど、動きが鈍くて助かったよ」
彼女たちは序盤で巨人骨人を倒すことができたからこそ、手堅く勝利をすることができたが、正面から戦っていれば、もう少し苦戦していたのは確実だ。
「奥にある扉が開いたので、行ってみましょう」
「そうだね!」
巨人骨人がポリゴンになったことで、部屋の最奥にある扉が開いたため、彼女たちはその扉の先に進んで行く。
「何があるのかな?」
「お宝だと良いですね」
「でも所詮下水道だからなぁ、あまり期待できないでしょ」
扉を潜り、その先へと進んで行くと、開けた場所に出た。そこは部屋の中央に1つ宝箱があるだけで、他には何もない、宝箱部屋と形容するのが正しい部屋となっている。
そんな巨人骨人に勝利したご褒美のように見える部屋だが、サキたちは無防備なまま足を踏み入れることはなく、警戒心を強めたまま、ゆっくりと足を踏み入れていく。
「……罠はないかな?」
サキは罠を警戒して、一歩一歩慎重に宝箱へと近付いていく。
しかし特にこれといった事象が起きることなく、無事宝箱の下に辿り着くことができた。
「ここまで何もなかったけど、そのまま宝箱を開けてもいいのかなぁ?」
「では物理攻撃が効かない私が開けます!」
「お願い、アリウム」
アリウムが宝箱に手を掛ける。
サキたちはどんなことが来ても対応できるように、万全の状態で待つ。
そしてアリウムが勢いよく宝箱を開けた。
宝箱は眩い輝きを放ったものの、彼女たちに害する効果は一切なく、その光も宝箱が良い物であると伝えるための演出に過ぎなかった。
「罠がなくてよかった」
「良いアイテムですよね……使うか分からないですけど」
――宝箱――
とある賢者の霊魂(欠片)1/10 レア度5 品質A
とある賢者が残した霊魂の欠片。
完成させるには同じ欠片を10個集める必要がある
モンスターの進化先を変化させる
――宝箱――
「霊魂って言うくらいだから、アリウムの進化先を変えられるかもね。まあ、いつ全部集まるか分からないけど……それどころか集まらない可能性もあるけど」
「そうですね、使用するかどうか、使用できるのかどうかは、集まってから考えましょう」
サキたちは軽く辺りを見回して、他の何もないことを確認してから、部屋を後にした。
その後、下水道を軽く歩き回ってみたが、スケルトンの姿すら発見できなかったので、最寄りのマンホールから脱出した。
tips
・欠片
アイテムで欠片として排出されるものがあるが、完成させるのに必要な個数は、アイテムによって違う




