第48話 下水道のボス
骨人騎士との戦闘を終えたサキたちは、流れる水の音を聞きながら、下水道を進んで行く。
その道中、スケルトンとエンカウントすることはあれど、骨人騎士のような強いモンスターとエンカウントすることはなく、段々と飽きが来ていた。
「スケルトンばかりだけど、もっと強いモンスターは居ないのかなぁ? 骨人騎士クラスのモンスターが居れば、戦闘を楽しめるのに」
「仕方ないですよ。だってここは下水道であって、本来モンスターが居る場所ではないんですもの」
「まあ確かにそうなんだけどさぁ、気持ち的には物足りないよ」
彼女の言葉に反応するかの如く、少し歩いた先にモンスターが立っていた。そのモンスターは今までのスケルトンとは違い、腕を組んで敵が来るのを待っているような格好をしている。
そしてサキたちが視界内に入ると、そのモンスターは武器を構えて、彼女たちの攻撃を待った。
「……カウンターを狙っているのかな?」
「もしそうだとしても、逃げるという選択はないですよね?」
「もちろん!」
笑みを浮かべながら駆け出したサキは、カウンターを狙っているであろうモンスターへと一直線に進んで行く。
骨の身体に、骨人騎士に比べると軽い鎧、両手に持った短剣。
そのモンスターは骨人戦士と呼ばれ、敵の攻撃を待ち、カウンターを放つ戦法を採っている。
戦闘狂の少女は、そんな相手にも勇猛果敢に攻撃を仕掛ける。カウンターを狙っている相手は、正面から圧倒的な力で叩き潰せばいい。そんな考えの下、鞘に仕舞ったままの刀に手をやる。
「“春風流・居合斬り”」
間合いに入ったと同時行われる抜刀。彼女の神速にも等しい抜刀術に対して、骨人戦士は短剣を振るう暇もなく、首を刎ねられた。
当然、骨人騎士の前例があるため、彼女が油断するわけもなく、骨人戦士がポリゴンになるまで目を離さない。
「ふぅ、勝てたね」
首を斬り落とされた骨人戦士が再び動き出すことはなく、そのままポリゴンになって消えて行った。
サキは骨人戦士のドロップを確認していたのだが、一つだけ見たことがないアイテムがあったため、アリウムとカグヤと共に確認していた。
――インベントリ――
骨人戦士の腕骨 レア度3 品質E
骨人戦士の発達している腕の骨
骨人戦士の短剣 レア度3 品質E
攻撃力+15
骨人戦士が持っていた短剣
骨人の鍵 レア度5 品質B
何処かの鍵
――インベントリ――
「この鍵って、あそこの鍵で合ってるかなぁ?」
「あそこ以外に鍵が掛かっている場所はなかったですし、あそこの鍵で合っているんじゃないですか?」
「だよね、じゃあ一回来た道を戻ろうか」
あそことは、下水道に入って唯一通ることができなかった場所であり、その大きな扉は鍵が掛かっていたため、骨人戦士がドロップした鍵が、その鍵ではないかと予想していた。
その予想が正しいのかどうかを確かめるため、サキたちは来た道を戻っていく。
「一回倒したモンスターは、復活していたりするのかな?」
「復活していても、私たちなら簡単に倒せますよ!」
「きゅう!」
「それもそうだね。よし、このまま扉を目指して頑張るぞ!」
「おー!」
「きゅー!」
彼女たちは高いテンションを維持したまま、扉を目指して進んで行く。
その道中、何度かスケルトンと接敵することがあったが、アリウムとカグヤの手によって倒されたため、サキの出番は一度もなかった。そのつまらなさに、若干不貞腐れていたが、大きな扉が見えてきたため、テンションが下がり切ることはない。
「よし、鍵を差すよ」
「お願いします」
「きゅう」
サキが扉に鍵を差した。
どんな罠が待っているのか分からないため、彼女たちは一層警戒心を強めて、扉に手を掛けた。その扉は手前に開く扉だったようで、力を籠めて引いて行く。
土の上を引き摺るような音を鳴らしながら、扉は開いて行く。扉の先は暗闇が広がっていたが、扉が完全に開くと、壁に掛けられていたロウソクが、扉側から奥に向かって火が付いていき、段々と奥を照らしていく。
「あれは……スケルトンなのかなぁ?」
「分からないです。でもモンスターなのは確実です」
最奥に立つモンスターの全貌を照らす手前で、ロウソクに火を付けるのが止まってしまい、モンスターは影となって全貌がはっきりとしていない。
「入らないと、どんな敵か分からないってことかぁ……当然入るよね?」
「もちろんです!」
「きゅう!」
サキたちは足を揃えて、扉の中に足を踏み入れた。
彼女たちの全身が部屋の中に入ると、扉が勝手に締まっていった。ある程度予想していたため、彼女たちは焦ることなく、扉が閉まるのを見守った。
そして扉が完全に閉まると、モンスターを照らすようにロウソクが付いていった。ロウソクの火に照らされたモンスターは、スケルトンだった。しかしその大きさは規格外で、3から4階建ての建物に相当する高さを持っていた。
「おかしいよね。だってここは下水道で、あんな大きさのモンスターが余裕に立てるほどの地下ではないよね」
「……きっと空間が歪んでいるんですよ」
「……そうだね」
マンホールを降りた距離と、目の前に立つ巨人骨人が余裕を持っているこの部屋の歪みは、ゲーム世界のご都合主義ということで納得することにした。
そうでもしなければ、動き出した巨人骨人の対処に贈れてしまうからだ。
「行くよ!」
「はい!」
「きゅう!」
サキたちも動き出した。
tips
・骨人戦士の腕骨
武器や装備の制作にも使用できるが、【錬金術】スキルがあれば、効果の高い肥料を創ることができる




