第46話 下水道探索
マンホールを降りた先に広がっていたのは、王都の地下に張り巡らされた下水道によって形成された地下迷宮。
ゲームのご都合主義のおかげで、汚水や臭いを感じることがない清潔な道になっているが、それでも対岸に渡るには流水が邪魔をしているため、渡りたい場合は飛石を探して渡らなければならない。
「迷子になった先で、さらに迷子になりそうな場所に来ちゃったよ」
「もしかしたら、大通りのマンホールに出るかもしれないですし、適当に歩きましょう」
「それもそうだね」
「きゅう」
サキたちは目的もなく、下水道を進んで行く。
発光している苔が壁や天井の至る所にへばり付いているため、真っ暗な場所にはなっていないが、それでも曲がり角などは陰になって見えなくなっている。
そんな曲がり角を通りかかった瞬間、サキは本能的に抜刀して、曲がり角の先へと振り抜いた。本来そこに何もいなければ、空を切るはずの刃だが、キーンという音と共に硬い物を斬りつけた痺れが手を襲った。
「スケルトン!?」
そこには人骨のみで構成されるモンスターであるスケルトンが、棍棒を持って立っていた。サキが認識したのと同時に、スケルトンは棍棒を振り上げる。
その光景が目に入った瞬間、サキは飛び退いた。棍棒は彼女が元々立っていた場所へと振り下ろされる。そこが小さく抉れていることから、同じ種族でも“東の平原”に出現するスケルトンよりもレベルが高いことが分かる。
「アリウム!」
「ポルターガイスト!」
サキの言葉に阿吽の呼吸で反応したアリウムは、落ちていた石をポルターガイストの力で持ち上げると、スケルトンの頭蓋骨へと勢いよく振り下ろした。
その攻撃によって頭蓋骨にはヒビが入ったが、体力を削り切るには至らず、棍棒による反撃がサキを襲う。
「おっと、危ない」
スケルトンは踏み込むと同時に棍棒を横薙ぎに振り抜く。サキは避けられないと判断し、腕で防御しようとした。しかし棍棒が当たることはなかった。
スケルトンが棍棒を振り抜こうとした瞬間、カグヤの飛び蹴りが炸裂したことで、スケルトンは後ろによろめいて、棍棒を振り抜くことができなかった。
「ありがとう、カグヤ。“聖炎”!」
サキは聖なる炎を拳に纏わせると、そのままスケルトンのことを殴り飛ばした。弱点の炎に炙られたスケルトンは、一撃で体力を削られて、ドロップアイテムを残してポリゴンとなった。
「ふぅ、2人のおかげで倒せたよ」
「きゅう」
「それにしても、王都の地下にモンスターが居るなんて、思いもしなかったです」
「確かにそうだよね。この国で一番安全なはずの王都なのに、地下にモンスターが湧いているなんて、異常事態だよね」
国家元首たる国王が住まう王都の地下にて、モンスターが湧くなんてこと、あってはならない事態だが、特にクエストも発生していないので、サキはゲームのご都合主義かなと納得することにした。
「まあ、来たばかりの私たちでも直ぐに知れたことだし、王都の役人も知っているでしょ」
「確かにそうですね」
「じゃあ私たちは気にせず、探索をしよー!」
「おー!」
「きゅう!」
サキたちはここが王都の地下であることを忘れて、下水道の探索だけを考えることにした。
スケルトンが居たところを曲がり、まっすぐ進んで行く。道の先に棍棒を持ったスケルトンの姿が見える。
「どうする、戦う?」
「せっかくここまで進んできたのに、戻るのはちょっと……」
先ほどの曲がり角から、ここに来るまで一本道の直線だったため、もしスケルトンとの戦闘を避けるとなると、曲がり角まで戻らないといけないため、流石に面倒くさかった。
戦闘することに決めたサキたちだったが、近接戦闘はそこまでたのしめそうになかったため、遠距離からの魔法で決着をつけることにした。
「“ホーリー”」
断罪の光が離れたところにいるスケルトンの身体を貫く。白系魔法が弱点のスケルトンは、一撃で体力を削り切られ、ポリゴンとなって消えた。
そこからサキたちは数分の間歩いていたが、大きな扉で道を塞がれていたため、足を止めた。
「下水道にこの扉……絶対に何かあるよね」
「気になりますけど、鍵がかかっていて開かないですよ」
「もしかして、下水道のどこかに鍵が落ちていたりして……」
「そんなまさかぁ」
「……とりあえず探索を再開しようか」
サキたちは大きな扉をスルーして、扉の手前で右折した。
再び数分間進んで行くと、十字路に出た。
「どっちに行く?」
彼女たちには4つの択がある。まずはまっすぐ進む。そして右折があり、飛石を渡っての左折、最後に飛石を渡って、対岸をまっすぐ進むの4択から選ばなければならない。
「私は対岸に渡ってから、まっすぐに進みたいです」
「きゅう」
「カグヤは左折かぁ……よし今回は対岸に渡ってから、まっすぐ進むにしよう」
選ばれなかったカグヤも、サキの決定に対して異議を唱えることはなく、彼女たちは対岸に渡って、そのまままっすぐ進んで行く。
彼女たちの選択は正しかったのか!




