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NewLifeOnline  作者: Umi
第1章 酔いどれの鬼たち

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第3話 “東の草原”

(あれぇ? また称号貰っちゃったよ。称号の名前的にも大体の効果は分かるだろうし、あとで確認すればいいよね。今の最優先は、狩りのために武器を買うことだからね。確か、今の手持ちが1000ラオで、初心者武器は一律1000ラオ……つまり武器を買ったら無一文になるってことだよね。しっかり悩んで買わないとなぁ)


 ――3時間後


 ゲーム内時間で3時間悩んだ末に選んだ武器は、使うのに慣れた刀だった。


「すいませーん、この刀をくださーい」


「あいよ。1000ラオだよ」


「ありがとうございます。(さっきの強面お兄さんが言っていた“東の草原”に行ってみようかなぁ)」


 武器屋を後にしたサキは、優しい強面お兄さんにおすすめされた“東の草原”を目指して、街を歩いていた。


「うわぁ、いい匂いだなぁ」


 日本最先端の技術がふんだんに使われたVR機器をハードにしているNLOの世界では、五感の全てを感じることができ、現実と同じように空腹、渇水、酩酊などの状態異常が存在している。

 そして今、サキが通っている道には数多の露店が出店している地区になっていて、その1つが焼き鳥の匂いを通行人に嗅がせるように大げさに(あお)いでいた。

 現実と同じようにお腹が鳴り、焼き鳥を食べたくなったサキだったが、現在の彼女は無一文だったため、“東の草原”に出る理由がお金稼ぎのためとなった。


 

 ――“東の草原”


「えーっと、あれがウルフで、あれがラビット。おっ、あれが創作物で有名なスライムってやつかな? スライムは最弱ってよく聞くし、最初の相手はスライムでいいかな」


 サキは腰に差した刀の柄を握る。すると彼女の雰囲気が一変する。虫を殺したこともなさそうなポワポワとした雰囲気を纏っていた彼女は、戦国時代の地獄のような戦場を駆け回った修羅の武士と錯覚するほどの殺気と圧を周りに発していた。


「“春風流・居合斬り”」


 風をも斬り裂く素早い居合斬りがスライムの柔らかボディへと炸裂する。刃で捉えるのが難しそうな流体ボディを持つスライムを、体内の中心に浮かんでいた核ごと真っ二つにした。核を破壊されたことにより、スライムはポリゴンとなって空気中に消えていった。


「ふぅ、初めて刀で生き物を斬ったなぁ」


『スキル 【刀術】を獲得した』


「へぇ、スキルを取るのって案外簡単なんだ。ステータス」



――ステータス――

人物

 プレイヤーネーム サキ

 種族 人間

 体力 350/350

 魔力 720/720

 職業 聖女Lv1

 スキル 刀術Lv1 神聖魔法Lv1 テイマーLv1 魔力増加Lv1

 称号 礼儀正しい人 規格外 ギルドマドンナのお気に入り

装備

 頭

 上半身    普通の服

 下半身    普通のズボン

 靴      普通の靴

 武器     初心者の刀

 アクセサリー 

魔法

聖女の祝福 テイム


――ステータス――


「“聖女の祝福”が職業スキルってやつかな? それで“テイム”がスキル【テイマー】の魔法かぁ。他の魔法がないのは、自分なりに見つけろってことかな? そういえばモンスターを倒したけど、ドロップアイテム的なのはあったのかな」


 サキはメニューからインベントリを確認した。始めたばかりでほとんど持ち物がないインベントリに、一際目立つアイテムが入っていた。


――インベントリ――


スライム核 レア度1 品質E

錬金術に使用できる


――インベントリ――


「へぇ、錬金術ってスキルもあるんだぁ。無から黄金を創れたりするのかな? まあ今は自分のスキルを確認するのが最優先だよね。まずは【刀術】がある動きに慣れないと」


 サキは次のモンスターと接敵するために駆け回る。

 彼女は運よく、1分にも満たない時間で、ラビットの群れと接敵できた。しかし出会った群れは少し異様と言えた。


「きゅぅ」


「きゅう!」


「きゅう!」


「きゅう!」


 三匹のラビットがサキには目もくれず、一匹の少し風体が変わっているラビットを虐めていた。


 人並以上の正義感があるサキは、目の前で行われている虐めを許せなかった。そして虐めを止める力が彼女にはある。


「ふぅ……“春風流・一閃”!」


 刀身が輝いて見えた。それは一瞬の出来事であり、ラビットたちが認識した頃には、その身がポリゴンとなって天へと昇っていた。

 サキの流れるように刀を振り払った攻撃は、一切の無駄なくラビットたちの首を斬り落とした。


『スキル 【刀術】がLv1からLv2に上がった』


 レベルが上がったアナウンスが脳内に響き渡ったが、サキにとってそんなことはどうでもよかった。今の彼女の中で一番大切なのは、目の前で身体を縮こまらせながら、震えているラビットを安心させることだ。

 できるだけ怖がらせないように、少し離れたところにしゃがみ込んだ。


「ウサギちゃん、大丈夫?」


「きゅぅ」


「元気がないなぁ……もしかして怪我しているの!? (どうしよう、神聖魔法はあるのに、使える魔法がないなんて……もっと魔力が多かったら“聖女の祝福”を使えたなのに……私の祈りが届いているのなら、このウサギちゃんの怪我を治してあげて)」


 サキは祈るように手を握る。

 するとラビットの身体が淡い光を放ち始めた。それに伴い、ラビットに元気が戻ってきていた。


「きゅう!!」


「元気になったんだね! よかったよぉ」


 安堵したサキは、お尻からその場に座り込んでしまう。

 そんな様子をジッと見つめているラビット。サキも見つめ返す。


 十数秒ほどが経っただろう。


『“ホワイトラビット”が仲間になりたそうにしています。仲間にしますか? Y/N』


「(仲間になりたそうにしていますって、まるで古のドラk――まあ気にしたら負けか)ウサギちゃんは私の仲間になってくれるの?」


「きゅう!」


 人以外と会話をすることができないサキでも、不思議と肯定の鳴き声であることが分かった。


「じゃあイエスで」


『“ホワイトラビット”が仲間になりました』


(さっきから思っていたんだけど、この子はラビットじゃないんだ)


――ステータス――

テイムモンスター


名前

種族 ホワイトラビットLv1

名前

体力83/83

魔力210/300

スキル 癒しの波動Lv7 噛みつくLv1 魔力増加Lv7

装備

アクセサリー



ホワイトラビット

ラビットの突然変異種。見た目の違いから群れに虐められることが多く、自然界で成長することは滅多にない。虐められることが多いことから警戒心が強いため、テイムすることが難しい。そのため未だに進化先が判明していない種族である。


――ステータス――


「(種族レベルは1のままなのに、【癒しの波動】っていう回復系のスキルレベルだけ高いのが、長い間虐められていたことを証明しているんだろうなぁ。でも、これからは私が愛してあげるから!!)君の名前はカグヤだよ! これからよろしくね、カグヤ」


「きゅう!!」


 ホワイトラビットのカグヤは産まれて史上、一番の鳴き声を出した。

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