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NewLifeOnline  作者: Umi
第1章 酔いどれの鬼たち

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第36話 PVP

 目標数の鉄鉱石を手に入れることができたサキたちは、ファスターに戻ってタイルに武器を作成してもらうために、彼のもとを訪れていた。


「タイルさん、鉄鉱石を手に入れてきましたよ」


「おっ、そうか。じゃあ大雑把でいいから、どんな武器と装備がいいのか教えてくれ」


「はい、武器は――」


 サキは欲しい武器と装備の大まかな説明を済ませたのち、タイルが仕事を終えるまでの間、ファスターの街を散策することにした。


「何度か散策しているけど、まだ見れてないところは一杯あるんだよね」


「もしかしたら、何か発見があるかもしれないですね!!」


「きゅう」


 未だに初心者の街で、見たことない兎と半透明で人間の言葉を喋る少女を連れているサキの存在はかなり目立っていた。

 当然話しかけてくるような不届き者もいるわけで。


「ねえ、君初心者? 俺が教えてあげようか?」


 その不届き者は、未だに初心者装備を身に付けているサキを初心者だと決めつけて、ナンパしようとしていたが、彼女は自分が話しかけられたとは思っておらず、男の言葉を無視して足を進めた。

 無視された不届き者は、周囲のプレイヤーからクスクスと笑われていた。あまりの恥ずかしさに顔を真っ赤にして、その気持ちをサキへとぶつけることで解消しようとする。


「おい、そこの女!」


 サキは無視。


「刀を持っている女!!」


 サキは無視。


「ネックレスを着けている女!!!」


 サキは無視。


「赤髪、赤目の女!!!!」


 サキは無視。


「はぁはぁ、兎と幽霊を連れた女ァ!!!!!」


 その言葉を聞いて、ようやくサキは振り返る。しかし未だに自分を呼んでいるのか確信を持てないのか、自分のことを指さして首を傾げていた。


「お前以外に居ないだろ!!!」


「そうですか? それでどういった御用ですか?」


「俺のことを散々無視しやがって、俺とPVP勝負しろ!!!」


『鎌セザコからのPVPを受理しますか。Y/N』


 この世界では()()()にPKが禁止されている代わりに、PVPシステムが導入されており、主に対人戦闘を練習したいときに用いられる。だが稀に鎌セザコのように鬱憤を晴らすためにPVPを仕掛けてくるプレイヤーもいる。それを受けるも受けないもPVPを投げかけられた側に選択権があるため、基本的にPVPが成立することはないが、サキは一般的な感性とはズレている。


「かませで雑魚? まあいいよ、PVPが何か分からないけど、やろうよ!」


「鎌セ――」


 鎌セザコは名前を訂正しようとしたが、PVPシステムによって強制転移が起きたため、中途半端に名前を区切ることとなってしまった。

 

 サキたちが移動した先は、小さなコロシアムのようなところで、PVPのためだけに制作された空間であり、PVPシステムを介してでなければ、行くことができない場所だ。


「結局なにす――」


「死ねェェェ!!!!!」


 鎌セザコはサキがPVP慣れしていない初心者だと気付いたため、準備を終える前に終わらせるつもりだった。転移を終えた瞬間、鎌セザコは走り出し、未だに何が起こったのか理解していないサキへと剣を振り下ろした。


「戦えばいいってことかなぁ?」


 一瞬にして行われた抜刀、武人として光る眼、確実に捉えたと思った剣を受け止められる。それだけでも鎌セザコは自分は喧嘩売る相手を間違えたということを本能的に理解した。

 しかしPVPを仕掛けてしまった以上、どちらかがデスするまで終わることはない。自分の資産を守るためにも、最後まで戦うことに決めた。


「今度はこちらから仕掛けるよ」


 サキは鎌セザコの剣を弾くと、がら空きになった胴体へと刀を振り抜く。剣を上段へと弾かれたことで、身体を守る術はなく、胴体へと迫る刀を拒むことはできなかった。

 しかし鎌セザコはそこそこ上等な鎧を身に付けていたため、初心者の刀ではダメージを与えることができなかった。鎌セザコは、サキの刀では自分にダメージを与えることができないことを理解すると、ニヤリと笑って煽りの言葉を並べる。


「ビビッて損したぜ! いくら技量があろうと、装備がゴミならダメージは与えられないよなァ!」


「“春風流・一閃”」


 サキは一度距離を取ると、鎌セザコの言葉を無視しつつ、重心を落とす。そして縮地の技術を利用して、一瞬にして距離を詰めると、光にも勝ると錯覚するほどの速度で刀を振るった。

 斬撃の軌道は防御の薄い首を捉え、技量が1段階も2段階も劣る鎌セザコでは防御できるはずもなく、あっけなく首が落とされた。


『プレイヤーサキが勝利しました』


 そのアナウンスが頭に響き、サキたちは元居た場所に戻る。


「ふぅ、戦闘はつまらなかったけど、初めての経験をありがとね」


 サキは鎌セザコに天然煽りを残してその場を後にした。

 残された鎌セザコは戦闘はつまらなかったと言われたことに対して、テンションがゲキ落ちしていたが、最後の初めての経験という言葉に何か目覚めそうになるという気持ちがせめぎ合っていた。



 tips

・PVP

Player versus Playerの略でプレイヤー対プレイヤーのことである。

このNLOの世界では、PVPシステムというシステムによって管理されており、《《基本的》》にPK(プレイヤーキル)が起こることはない。



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