第26話 クエストの報告
酒吞童子“頼光”に敗北したサキたちは、ファスターの広場で復活した。
「はぁ、なにあの化け物」
「……」
幽霊少女は未だに涙を流し続けているが、感情が落ち着いてきたのか、声は上げなくなっていた。
サキはそんな少女の手を優しく握り、ギルドを目指して歩いて行く。少女は事情を聞かれないことに安心しつつも、助けて貰っておいて、何も話さないというのは不義理ではとも考え、心の中がぐちゃぐちゃになっていた。
「大丈夫、私はどんな事情だったとしても、アリウムのことを助けていたから」
サキは、涙を流すアリウムの顔を見ないように正面を見ながら、優しく声を掛けた。暖かい優しさは、幽霊となった少女の心に染みていく。人でもなく、モンスターでもない不安定な存在だった少女は、彼女の傍にいるために、彼女の力になるために進化する。
ユニーククエスト クリア
【幽霊少女の記憶を探れ】
難易度8
成功条件
幽霊少女の記憶を取り戻す
失敗条件
幽霊少女の悪霊化など
成功報酬
幽霊少女“アリウム”が仲間になる
「あれ? 今クリアになった……仲間になってくれたの?」
「はい! 私はサキお姉さんと共に戦いたいです!!」
――ステータス――
人物
プレイヤーネーム サキ
種族 人間
体力 3850/3850
魔力 9320/9320
職業 聖女Lv15
スキル 刀豪術Lv3 薬術Lv2 料理Lv1 神聖魔法Lv2 テイマーLv3 魔力増加Lv11 毒耐性Lv2
称号 礼儀正しい人 規格外 ギルドマドンナのお気に入り 優しきテイマー
装備
頭
上半身 普通の服
下半身 普通のズボン
靴 普通の靴
武器
アクセサリー 守護のネックレス
魔法
聖炎 ヒール エクストラヒール キュア 聖女の祝福 テイム
テイムモンスター
名前 カグヤ
種族 ルナラビットLv7
体力 233/233
魔力 660/660
スキル 月の波動Lv1 噛みつくLv6 足技Lv8 魔力増加Lv11
装備
アクセサリー
名前 アリウム
種族 幽霊少女Lv1
体力 210/210
魔力 700/700
スキル 青魔法Lv1 ポルターガイストLv1 霊体Lv―
装備
アクセサリー
魔法
アクアボール
幽霊少女
現世への想いが強く、モンスターになってでも現世に残りたいと願った少女の幽霊。世界でも例が少なく、その生態は不明である。
――ステータス――
「これからもよろしくね!!」
サキは幽霊少女のことを強く抱きしめた。今まではクエストの依頼者ということで遠慮していたが、仲間となった以上は我慢する必要がなくなり、全力の抱擁をお見舞いした。
そして変化はサキたちだけでなく、周りの反応にも起きていた。今まではサキ以外にアリウムの姿を見れる人がほとんどいなかったため、変な目でサキのことを見ていたが、モンスターとなったアリウムは誰でも認識できるようになったことで、サキたちのことを見る目は、暖かい物へと変わっていた。
サキによる抱擁は1分以上続いた。しかしアリウムも受け入れており、嬉しそうに目を細めながら抱き返している。
「じゃあギルドに行こうか」
「はい!!」
サキたちは再び歩みを再開し、ギルドへと向かう。彼女たちの目的は【増加した鬼の調査】の報告であり、酒吞童子“頼光頼光”について聞くつもりであった。
ギルドに到着して扉を開けると、受付にはギルドのマドンナであるミスズとリカの姉であるリリルカが話している姿があった。
「あら、サキさん」
先に気付いたミスズが声を掛けてきた。そしてその声に反応したリリルカも振り返ると、ギルドの入口に立つサキに気付き、満面の笑みを浮かべながら近付いて来た。
「サキさん!」
「リリさんも冒険者だったんですね」
「いえ、私は冒険者ではなく、依頼主として来ました」
「へぇ、依頼主なんですね」
「リリルカさんは、サキさんが現在受けているクエストの依頼主ですよ」
ミスズは受付から出ると、話しているサキたちに近付き、リリルカが依頼したクエストが、サキが受けているものであることを伝えた。
「ちょうどよかった。調査が終わりましたよ」
「本当ですか!!」
「は、はい」
リリルカはサキの両手を掴み、顔をグイっと近付けた。彼女の美しい顔を超至近距離で見ることになったサキは、顔を赤く染めてプイッと顔を逸らした。その行動を見てリリルカも状況を理解してしまい、顔を赤く染めながら顔を逸らしてしまう。しかし顔を逸らせど、手は握られたままだ。あとからギルドに入って来た冒険者は、目の前で繰り広げられているおかしな光景に頭を傾げていた。
「はぁ、サキさん、リリルカさん、百合百合するのは構いませんが、場所を考えてください。あちらの冒険者の方が困っていますよ」
「あ、あの大丈夫です!! 眼福です!!!!」
ミスズは頭を傾げていた冒険者を例に出して、2人に甘酸っぱい空間を作ることをやめさせようとしたが、当の冒険者が眼福と言って受け入れてしまったため、彼女たちを止めさせる理由がなくなってしまった。
「あちらの冒険者じゃなくても、困る人が――」
ミスズは周りを見渡す。しかしギルドに居る誰もが目を逸らし、賛同してくれる者はいなかった。
「――2人だけ羨ましいんですよ!!」
ミスズの本音が爆発した。そして2人の下へと駆け出し、抱きしめた。彼女の豊満な胸はサキとリリルカの頭で歪んでいる。
その場にいた冒険者は皆思った「眼福」と。
百合の花が咲く




