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NewLifeOnline  作者: Umi
第1章 酔いどれの鬼たち

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第23話 再戦

『ログインしました』


 NLOの世界にログインしたサキは、“北の平原”へと向かっていた。“猪頭の刀”を購入したことで、攻撃面での心配はなくなったが、防御面に関しては初心者装備で固められているため、オーガの攻撃をあまり受けてはいけないという状況は変わっていない。

 そして“北の平原”に辿り着くと、“北の森”を目指してまっすぐ進んで行く。エンカウントした“北の平原”で湧く通常のモンスターたちは、猪頭の刀を手に入れたサキの敵ではなかった。


「ふぅ、やっぱり武器を変えると、相手を簡単に倒せて楽になるけど、戦闘としてはつまらなくなっちゃったなぁ」


「ま、まあオーガが居ますから、きっと楽しめますよ!」


「きゅ、きゅう!」


 サキの戦闘狂(バトルジャンキー)的発言に、幽霊少女は少し引いていた。当然、戦闘を楽しむ趣味など持っていないカグヤも同じように、引きながら鳴き声をあげていた。


 そんな和やかな空気が流れていたが、一気に引き締まる。なぜならサキたちの前に、ボロボロになったスピードスパイダーが姿を現したからだ。


「……来る」


 森の方から首を鳴らしながら歩いてくるのは、赤い分厚い皮膚、強靭な筋肉、額から生える2本のツノ、右手で引き摺っている金棒、そして側頭部にある拳型の火傷跡、そいつはサキをデスへと追いやった強敵――オーガだ。

 オーガはサキの姿を見ると、ニヤリと笑った。


「むっ、もしかして前回負けたオーガかな?」


「グラァァァァ!!!」


「同じ轍は踏まないよ!」


 前回はオーガの叫びに耳を塞いでしまい、初撃を喰らっていた。しかし今回は耳を塞がないことを意識して、先に刀を抜いていた。

 オーガはそんなことお構いなしに、距離を詰めて来た。そして金棒を振り抜く。


「危ないなぁ。それにしても脳筋過ぎるでしょ」


 刀で防御しようものなら、一瞬で破壊されてしまうため、後ろに飛び退いて金棒を避けた。赤い髪の毛がふわりと舞った。太陽の光で輝いたそれらは、彼女の燃える闘志を表しているようであった。


「今度はこっちから行かせてもらうよ!!」


 サキが駆け出した。右手に持った刀を左側から振り抜いた。オーガの正面を捉えた刃は、筋肉の鎧に傷をつけた。以前とは違い、自分に傷をつけたサキのことを敵として認めた。

 そしてオーガは一度距離を取るため、金棒を振り抜いた。脇腹を狙った軌道だったが、サキは当たらないギリギリに下がることで、攻撃を避けた。そして金棒が降りぬかれた瞬間、もう一度距離を詰めた刀を振るった。


「グラァァァ!!!!」


「戦闘中に苛立っちゃダメだよ。怒りの感情は己を強くするけど、戦闘自体はクレバーにいかないと」


 オーガは攻撃が当たらず、苛立ちを隠せず、金棒を振り回していた。苛立つにつれて攻撃が大振りになっていき、さらに攻撃が当たらなくなっていく。負のスパイラルに陥ったオーガを見かねて、アドバイスを送った。

 しかし素直にアドバイスに従うようなモンスターであれば、そもそも感情任せな攻撃をしないだろう。アドバイスを受けてなお、大振りな攻撃が繰り返された。


「もう、せっかくアドバイスしてあげたのに……つまらないじゃん」


 サキは一度距離を取り、刀を鞘に仕舞った。

 その様子を見たオーガは煽られていると思ったのか、顔を真っ赤にして走り出した。右手で金棒を振りかぶる。それはサキの体力を0まで一撃で持っていく攻撃だが、彼女は一切の焦りを見せずに刀の柄に手を置いていた。

 そしてオーガは金棒を振り抜いた。金棒を振り抜く瞬間、発生した突風のせいで(まばた)きをしてしまう。再び瞼を開くと、サキの姿が消えていた。勝利を確信したオーガは叫んだ。


「グラァァァァァ!!!!!!!!!!」


「攻撃の瞬間に目を瞑るなんて、武人としてありえないよ」


 ありえない声が背後から聞こえて来たことで、慌てて振り向こうとした。しかし身体が言うことを聞いてくれない。否、身体は振り向いてくれたが、視線だけは正面を向いたまま、天地がひっくり返った。それが、オーガが最期に見た光景だった。


「ふぅ、武器を変えただけで格下になるなんて、猪の刀を選べばよかった」


「……多分、どれ選んでも変わらないと思いますよ」


「そう? 確かにオーガから技術なんてものは感じられなかったから、攻撃が通る武器なら同じ展開だったかもね。でもダメージが少なくなるから、首を刎ねられなかったかもしれないし、もう少し戦闘は延びていたかも」


「まあ過ぎたことですし、“北の森”にはもっと強いモンスターがいるかもしれませんよ! だから前を見ましょう!!」


「そうだね!!」


 “北の森”の門番的な立ち位置だったオーガを撃破したサキたちは、“北の森”へと足を踏み入れた。

 今までの森とは雰囲気が違った。異様な空気感、どこか殺気で満ち溢れているような、そもそも殺気を浴びせてきているような、そんな生きている心地がしない地獄のような空気が支配していた。


「なにこれ? 呼吸が詰まるような空気感……何か来る」


 森を掻き分けてきたのは、オーガだ。それも5体で構成された群れだ。


「流石に5体は厳しいです――っ!?」


 幽霊少女は流石のサキでも勝つのは厳しいと思い、彼女の顔を見上げた。驚きで言葉に詰まってしまう。

 笑っていたのだ。危機的状況と言ってもいいのにも拘らず、サキは口角を上げて笑っていたのだ。


「少しは楽しめそうだよ!」


 サキは駆け出した。



 tips

・オーガ

現状、NLO世界でトップを走るプレイヤーなら勝てるが、ファスターに居るプレイヤーの殆どが勝てないモンスター。

ドロップアイテム:オーガのツノ、オーガの金棒、オーガの皮



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