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NewLifeOnline  作者: Umi
第1章 酔いどれの鬼たち

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第17話 魔女とレシピ

 サキは雑貨屋の扉を開けた。

 久しぶりに扉が開けられたのか、屋内から生暖かい空気が噴き出した。サキは全身に嫌な空気を浴びたことで、顔を顰めてしまう。しかし遅れてやって来た匂いが鼻腔をくすぐると、表情が和らいだ。

 当然、五感を感じることができる幽霊少女も、動物であるカグヤもその匂いに顔が和らいでいる。


「とってもいい匂いだけど、なんの匂いだろう?」


「うーん、薬草とかですかね? でもスッキリする匂いの中に、蜂蜜みたいな甘い香りがある気がしますね」


「甘い香り?」


 自分では気付けなかった蜂蜜の香りを指摘されたサキは、鼻をスンスンと鳴らしながら、蜂蜜の匂いを探る。しかし蜂蜜の匂いを発見することができず、首を傾げていた。


「甘い匂いなんてしないけどなぁ……とりあえず中に入れば分かるかな?」


「そうですね! 中に入って確認しましょう!」


 サキたちはお店に足を踏み入れた。

 するとサキの鼻でも分かるほど、甘い香りが建物内部に滞留していた。あまりに強い甘い香りは、頭をクラクラとさせてしまう。まるで酔っているような感覚に陥っているようであった。


「あら、見ない顔だねェ……ごめんなさいね。丁度、特製ポーションの調薬中で、酔いが付与される煙が出ていたわ」


 店舗の最奥で怪しげな釜を混ぜていた女性が話しかけてきた。その女性は魔女と言われて想像するような帽子とマントを身に付け、「ヒッヒッヒッ」とこれまた魔女のような笑い声をあげる年老いた老婆だ。


「おばあさんは薬師なんですか?」


「副業として薬師をやっているよ。本業は……聞きたいかい?」


「い、いえ大丈夫です」


 ニヤリと笑って聞いてきた店主の女性に、サキは引き気味で答えた。店主の女性は興味を失ったのか、目の前にある釜に視線を戻す。中にある液体を混ぜるたびに、クラクラとする甘い香りが鼻腔に侵入してくる。


「それで、何を買いに来たんだい?」


「野菜炒めを作るために必要な調味料を買いに来ました」


「調味料? あそこの棚に一通り置いてあるから、適当に選びな」


 店主の女性は釜を混ぜながら、店舗内の端に追いやられた棚を指さしていた。全く店舗内を見ていないのにも拘らず、ドンピシャで調味料が置かれた棚を指させることから、彼女は店内を完璧に把握しているのだろうと分かる。


「へぇ、色々な調味料を扱っているんだね」


「ウチ何でも売っているからね。そっちとかは冒険者向きのポーション類とかが置いてあるよ」


 店主は近くの棚を指さす。

 そこには初めて目にするような液体が多数置いてあった。そこからは、とてもサキが作ったポーションと同製品とは思えないほど、いい香りが漂っていた。


「全然私が作ったポーションと違うなぁ」


――雑貨屋――


魔印の特製ポーション レア度3 品質C

体力が300回復する

苦みはなく、程よく甘い。

3000ラオ


魔印の特製エクストラポーション レア度5 品質E

体力が2000回復する

苦みはなく、程よく甘い。

100000ラオ


――雑貨屋――


 “魔印の特製ポーション”は、サキが作ったポーションと分類上は同じだが、同じ品質で比較しても魔印の方が倍の回復量がある。

 サキは、エクストラポーションを性能だけを見て、手に取ってみたが、驚愕の値段が目に入ると、慌てながらも丁寧に棚へと戻した。


「どうして甘くなるんですか?」


「おや、アンタも【薬術】を持っているのかい?」


「はい」


「薬師……いや、全ての生産者にとって、レシピは稼ぐ道具だ。タダで教えるわけにはいかないねぇ」


「どうしたら教えてくれますか?」


「そうだねぇ……“西の森”に生息しているハニービーがドロップする蜂蜜を5つ持ってきてくれたら、教えてやってもいいぞ」


エクストラクエスト発生

【魔女に蜂蜜を届けろ】

難易度4

成功条件

ハニービーの蜂蜜を5つ納品する

失敗条件

なし

成功報酬

“魔印の特製ポーション”のレシピ


「分かりました! 少し時間が掛かっちゃいますけど、持ってきますね」


「待ってるよ。買っていくのはその調味料でいいのかい?」


「とりあえず今日はこれだけでいいよ」


「あいよ、全部で500ラオだよ」


「はーい」


 サキは500ラオを支払って、魔女のお店を後にした。


 その後サキたちはギルド2階にある生産室へと向かった。そして貸し出しされている初心用料理セットを受け取り、野菜炒めの準備を始める。


「ふぅ、まずは“ワイルドボアの肉”に下味をつけていくよ」


「醤油と料理酒ですか?」


「そうだよ、分量は……適当で」


 “北の平原”で手に入れた“ワイルドボア”の肉に醤油と料理酒を混ぜた液体を揉み込む。丁寧に、それでいて大胆に揉んでいく。


「お肉の下味はこのくらいでいいかな。次は“走りキャベツ”、“泣き虫タマネギ”、“叫びニンジン”、“睨みニラ”を切っていくよ」


「おぉー!」


 幽霊少女はサキの包丁さばきに感嘆の声を漏らした。

 サキは刀を持つように包丁を握る。そして具材を空中に放り投げる。刹那、キャベツとタマネギ、ニンジン、ニラが、それぞれ野菜炒めに適したサイズに斬られた。そして左手で持ったボウルの中へと落ちていく。


「最初は“ワイルドボアの肉”を炒めていくよ」


「一気に空腹感を煽る匂いが漂ってきました!!」


「私もお腹が空いてきたなぁ」


 サキは慣れた手さばきで“ワイルドボアの肉”を炒めていく。脂が弾ける音、調味料とお肉の脂が焼ける匂いが鼻腔に入り込み、空腹感を倍増させる。


「程よく焼けたし、野菜を入れていくよ」


 野菜を順々に加えていく。

 野菜が増えていくにつれて、周りに漂う香りは複雑になっていき、さらなる空腹感を煽ってくる。


「全体的に火が通ったし、最後に調味料を入れていくよ」


「もう、お腹が空きすぎて、どうにかなりそうです!」


 サキの料理は、空腹という概念がない幽霊少女の空腹感を煽る魔性の料理となった。


「完成! おあがりよ……なんてね」


「食べていいですか!!」


「うん、いいよ」


サキ特製野菜炒め レア度3 品質B

体力が毎秒10回復する 3分間

とても美味しい。


「本当に美味しいです!!」


「いやぁ、思っていた以上に美味しく作れて良かったよ」


「きゅう!!」


『スキル 【料理】を獲得した』


「まあ、何となくスキルをゲットできると思っていたよ」


 あまりの美味しさに、その後は会話が途絶えた。

 数分後、全員が食べ終えると、声を揃えて


「「「ごちそうさまでした(きゅう)!!」」」


 と言った。



現在のステータス


人物

 プレイヤーネーム サキ

 種族 人間

 体力 2350/2350

 魔力 613/5620

 職業 聖女Lv9

 スキル 刀術Lv8 薬術Lv2 料理Lv1 神聖魔法Lv2 テイマーLv2 魔力増加Lv6 毒耐性Lv2

 称号 礼儀正しい人 規格外 ギルドマドンナのお気に入り 優しきテイマー

装備

 頭

 上半身    普通の服

 下半身    普通のズボン

 靴      普通の靴

 武器     初心者の刀

 アクセサリー 守護のネックレス

魔法

聖炎 ヒール エクストラヒール キュア 聖女の祝福 テイム


戦闘スキル封印     1h43s

体力&魔力自然回復低下 1h43s

アイテムドロップ率低下 1h43s

毎秒体力10回復    2m48s


テイムモンスター

名前 カグヤ

種族 ホワイトラビットLv13

体力143/143

魔力420/420

スキル 癒しの波動Lv7 噛みつくLv3 足技Lv4 魔力増加Lv7

装備

アクセサリー


毎秒体力10回復    2m48s


――ステータス――


所持金:2500ラオ


 tips

・オーガとの戦闘

最初に放った“春風流・一閃”の手応えで、オーガには一度死を免れた程度では勝てないと察し、“守護のネックレス”を装備から外したため、まだ効果は残っている。



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