第16話 商店街
オーガに敗北したサキは、デスペナルティーを受けているため、生産に力を入れることにした。
「うーん、何か作って欲しい物とかある?」
「おいしいご飯を食べたいです!」
「きゅう!!」
サキの質問に対し、幽霊少女は食事を求めた。彼女は幽霊なため、基本的に食事はいらない。しかし五感は揃っているため、食事を楽しむことができる。
そんな幽霊少女の答えに対して、カグヤも賛同しているような鳴き声を出した。
「ご飯かぁ……よし、買い出しをして、作っちゃおうかな!」
「やった!」
「きゅう!」
サキたちは料理の材料のために街を見て回ることにした。まず彼女たちが向かったのは、NPCが運営している店舗が並ぶ商店街だ。八百屋や精肉店、雑貨屋など日常で使うような物が販売されている店舗が揃っている。
そんな商店街を2人と1匹は、色々見て回りながら進んでいた。
「うーん、何を作ろうかなぁ……」
入り口近くにあった八百屋で売られている商品を見ながら、大まかに何を作るかを考えていた。
「走りキャベツに、泣き虫タマネギ、叫びニンジン、もやしの群れ、睨みニラ……野菜炒めでも作ろうかなぁ?」
――八百屋――
走りキャベツ レア度1 品質E
畑を疾走するキャベツ。
100ラオ
泣き虫タマネギ レア度1 品質E
土から引き抜こうとすると泣き出すタマネギ。その涙を浴びると泣きたくなる。
150ラオ
叫びニンジン レア度1 品質E
土から引き抜こうとすると叫ぶタマネギ。その叫びは耳が痛くなるだけで、特にデバフがあるわけではない。
250ラオ
もやしの群れ レア度2 品質E
群れたもやし。ただそれ以上でも以下でもない。
10ラオ
睨みニラ
常時睨んでいるニラ。実際は睨んでいるように見えるだけで、目があるわけではない。
150ラオ
――八百屋――
「野菜炒め!? どんな料理か分からないけど、おいしそう!!」
「きゅう!」
「あんた、野菜炒めを作りたいのかい?」
サキたちが売り場でガヤガヤしていると、店舗の奥の方から恰幅の良い女性が話しかけて来た。
「はい、お財布的に野菜炒めがいいかなぁと思って」
「なら少し先にある雑貨屋に調味料が売ってあるから、寄ってみるといいよ」
「あっ、ありがとうございます! じゃあこれを買います」
「おっ、どうも! 次もウチを頼むよ」
「はい!」
サキはいくつかの野菜を購入した後、八百屋の店主から教えてもらった雑貨屋へと向かうことにした。
「いやぁ、いい人だったね」
「そうですね」
「きゅう!」
サキたちは店主のことを話しながら、ゆっくりと向かっている。しかし雑貨屋との間にはいくつかの店舗があるため、寄り道をしていまい、中々雑貨屋に辿り着かなかった。
「おっ、酒屋だ……私は未成年だから買えないや」
「いくつかのお酒は未成年でも買えるよ」
「――っビックリしたぁ」
酒屋の前で足を止めていたサキだったが、突如背後から声が聞こえてきて、驚きで心臓が止まりそうになった。
なぜならサキはある程度武の道を極め、人の気配を感じることができるのにも拘わらず、素人に背中を取られるなど、あってはならないことだからだ。
「驚かせたみたいだね、それは謝るよ。でも君でも買えるお酒があると言うのは事実だよ」
「――そうなんですね」
「ウチではあの“八岐大蛇”を眠らせたとされる幻のお酒、八塩折之酒やあの酒呑童子も愛飲していると言われている日本酒、レッドグレープも扱っているんだ。これなら君でも買えるよ。まあお金がないと買えないんだけどね」
「(きっとこのお店の店主なんだろうけど、怪しすぎる。喋りは勿論のこと、風貌も怪しすぎるよ)……そうなんですね」
サキが怪しいと思う風貌とは、かなりボロボロになった黒色のコートに、同じくボロボロで黒色の靴、そして右手には蓋が開いている酒瓶が握られている。そして新品のようにピカピカで、高価そうなサングラスを掛けている。
「流石に作るのが難しいからね。この街で取り扱うどんな物よりも高いかもしれない。だから大量のお金を稼いでから来てよ……」
そう言い残して男は姿を消した。言葉通り姿を消している。サキでは認識できない速度で移動したのか、スキルを使って姿を消したのか、男本人にしか分からないが、今のサキでは敵わない相手であることだけが分かる。
「……何だったんだろう。きっと私では想像できないほどの強者だったんだろうけど、全く能力を測れなかったよ」
「不気味な感じの人でしたよね」
「うん、掴みどころのない人だったよね」
そんなことを話しながら、目的の雑貨屋へとゆっくりと足を進めていた。流石に時間を使いすぎたと思ったのか、数多の誘惑を打ち払い、雑貨屋へと一直線で足を進めた。
「ここが八百屋の店主が言っていた雑貨屋かな?」
視線の先にあるのは、窓にはツタが絡みつき、石でできた壁はヒビが入っている。そんな雰囲気がある建物だが、どこか気品も感じられる趣となっていた。
「すごい雰囲気だぁ」
「そうですね」
少し気後れしつつ、扉に手を掛けた。
tips
・野菜
同じ品種でも採れる場所によってレア度が変わる。




