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NewLifeOnline  作者: Umi
第1章 酔いどれの鬼たち

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第15話 オーガと死

 一瞬でサキの目の前に現れたオーガは、彼女を金棒で殴ろうとしていた。振りかぶった金棒は風を切って、サキへと迫る。

 抜刀することができないため、サキはその場でジャンプして、金棒を足の裏で受け止めた。膝のバネを使うことで最低限まで衝撃を殺すことができたが、遠くまで吹き飛ばされてしまう。

 吹き飛ばされる間の数秒で、彼女は即座に体勢を立て直し、着地と同時に再びオーガとの距離を詰める。既に鞘から抜かれた刃は、太陽光を反射させているようで、刀自体が輝いているようであった。


「“春風流・一閃”」


 刀を振り抜く。生物の急所である首を狙った斬撃、それは首を捉えるまではいけど、低性能の刃では、オーガの厚い皮膚すら破ることはできなかった。


「変えておけばよかっ――」


 無防備な胴体を晒したサキ。当然待っているのはオーガの容赦ない攻撃だ。オーガはサキの鳩尾付近へと前蹴りを放った。その一撃は半分近くの体力を削り、再び遠くまで追いやった。


「はぁはぁ、肉体性能が違いすぎるなぁ」


 空中で体勢を立て直す時間があったため、地面に叩きつけられるようなことはなかったが、既に体力は半分ほど失われている。そのため一度冷静に状況を見る。

 カグヤは少し背の高い草むらでサキの合図を待っているが、彼女的にはカグヤの攻撃が当たる隙がオーガにはないように思っていた。


「でも、逃げるわけにはいかないよ。“聖炎”」


 刃に炎が宿る。

 “聖炎”は継続的に魔力を消耗することから、ここぞという時にしか使うつもりはなかった。しかしオーガ相手に初心者の刀では、ダメージを与えることすらできない。だからこそ“聖炎”を使い、短期決戦を挑むことしか、サキに勝ち目はなかった。


「“春風流・一閃”」


 同じ攻撃手段だが、今と先ほどとでは刃の切れ味が違う。“聖炎”の力は偉大で、オーガの分厚い皮膚を斬り裂き、強靭な筋肉に傷をつけた。しかしそれでも斬り落とすまではいけない。それどころか中途半端に斬れたせいで、唯一の得物である初心者の刀が筋肉によって捕らえられてしまう。

 オーガは一秒も思考の間を許してはくれない。得物を引き抜けず、動けないサキの脇腹へとオーガのフックが迫る。コンマ01秒後には拳が炸裂する。そんな一瞬の時、彼女は自分の身を守る決断をした。


「ふっ――」


 サキは刀を手放し、後方へと飛び退いた。今の攻撃で武器を失い、魔力も消耗した。得られたのは“聖炎”を使えば、分厚い皮膚を破ることができるという小さな結果のみ。しかし彼女は叫ぶ。


「カグヤ!」


「きゅう!」


 オーガの後頭部に衝撃が走る。

 カグヤの飛び蹴りを喰らったオーガは脳が揺れた。筋肉を鍛えることはできても、脳みそを物理的に鍛えることはできない。

 脳が揺れたことで意識が混濁し、膝をついた。


「“春風流・炎拳(えんけん)”!」


 サキの拳に聖なる炎が宿る。燃える拳はオーガの頬に焼き印を入れた。拳の跡は痛々しく見えるが、その衝撃は未だに脳が揺れているオーガの反撃を誘引した。

 オーガは本能的に金棒を振り抜いた。鈍い音と共に目の前の存在が消え失せた。そう認識したオーガはゆっくりと意識を取り戻していく。


「――ギリギリ体力が残った……」


 彼女の小さな体は“北の平原”を通り抜け、“北の森”まで吹き飛んでいった。その勢いのまま大き目の樹木に激突し、自然の命と引き換えに飛びそうになっていた意識を引き戻した。

 しかし戦うための武器を失い、魔力もあまり残っていない。そのため回復魔法を使っても、オーガの攻撃に耐えられるだけの体力を回復させることはできない。つまり詰み、その言葉が最も最適な状況に陥っている。


「でも諦めたら、そこで終了だよね」


 どこかで聞いたことがあるような言葉で自身を鼓舞し、拳を握る。そして魔力を体力の回復のためではなく、攻撃のための“聖炎”に使用した。


「ふぅ、負けは私を強くする……――!!」


 膝を曲げ、一瞬にして伸ばす。有り余る勢いのまま、オーガの側頭部に狙いをつける。そしてオーガが防御する暇も与えず、燃える拳が炸裂した。あまりの衝撃でオーガは横に倒れる。2m越えの巨体が地面に倒れると、土埃が舞い、倒れたオーガの無残な姿を隠すカーテンとなった。

 しかし土埃を切り裂きながら現れた金棒は、サキの身体を捉えた。鈍い音が鳴る。そして身体が吹き飛ばされることなく、その場でポリゴンとなって消えて行った。


『デスペナルティーを付与します』


『初めてのデスなので効果が緩和されます』


 その言葉が頭の中で響き、サキの視界は真っ暗になった。

 しかし視界は一瞬にして明るくなり、見慣れた広場に立っていた。そして彼女の横には、幽霊少女とカグヤの姿がある。


「初めて死んじゃったなぁ」


「強かったですね」


「うん、やっぱり武器の性能差がきつかったよ。少しでもダメージを与えられる武器さえあれば、勝てたと思うんだよね」


「確かに技量とかは、サキお姉さんの方が勝っているように見えました!」


「とりあえず、デスペナルティーがあるし、治るまでは生産作業でもしようかな」


――デスペナルティー――


戦闘スキル封印     2h58m

体力&魔力自然回復低下 2h58m

アイテムドロップ率低下 2h58m


――デスペナルティー――



 tips

・デスペナルティー

戦闘スキル封印、体力と魔力の自然回復量が低下、アイテムドロップ率が低下、これら3つの状態異常が6時間付与される。《《強制状態異常》》という効果になるため、回復する術はない。初デスペナルティーのみ3時間に緩和される。



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