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NewLifeOnline  作者: Umi
第1章 酔いどれの鬼たち

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第13話 鬼の残滓

 酒乱ゴーストは掌をサキへと向け、魔法を発動させた。

 先ほどと同じような液体の塊だが、その形が違う。浴びせるために面積を優先させていた先ほどとは違い、今回のはダメージを与えることに特化している弾丸状になっていた。

 そして足元がおぼつかないサキへと、容赦なく弾丸が放たれた。


「“春風流・酔桜(よいざくら)”」


 サキは千鳥足を利用して、不規則な連撃を放つ。聖なる炎を纏った刃は魔法を斬り裂き、ダメージから肉体を保護する。

 連続で放たれる魔法をどんどんと斬り裂いていき、少しずつ酒乱ゴーストとの距離を詰めていく。そしてあと一歩踏み込めば刃が届くところまで近付いた。


「喰らえェ!」


 全力で踏み込み、刀を振り下ろした。確実に酒乱ゴーストを捉えた軌道で刀を振り下ろしていた。しかし手応えはなく、そこに酒乱ゴーストの姿はなかった。


「きゃはははは!!!」


「うぐっ――」


 酒乱ゴーストはサキの背後で笑いながら、掌を向けていた。そしてサキの背中に痛みが走った。

 あまりの痛みに片膝をついてしまう。しかしそんな状況でも武器を手放すことはなく、冷静に攻撃が当たらないカラクリを分析していた。


「……刀を全力で振れば当たるかな?」


 戦況を冷静に見ることができる観察眼を持っていようと、彼女自身が脳筋である以上、あまり意味のない能力となってしまう。

 サキは一度刀を鞘に仕舞った。


「行くよ……“春風流・天桜(あまざくら)”」


 足に力を籠める。刹那、目に留まらぬ速度で酒乱ゴーストとの距離を詰めた。同じように目にも留まらぬ抜刀術で鞘から刀を抜くと、目を大きくしている酒乱ゴーストへと袈裟切りをした。


「きゃぁぁぁぁ!!!」


 耳が痛くなるような悲鳴を上げながら、酒乱ゴーストはポリゴンとなって消えていった。


「……倒せましたか?」


 物陰で縮こまっていた幽霊少女が近付いてくる。


「うん、倒せたよ。こんなところに野生のモンスターが居るとは思えないし、君関係のモンスターなんだと思うけど、何か思い出したことはある?」


「うーん、特に記憶が戻ったとかはないです」


「そっかぁ、まあ気長に探そうね」


「はい!」


 2人は裏路地を進んで行く。酒乱ゴーストによって歪められていた空間は元に戻り、サキが通って来た道を帰ることができた。


「やったぁ! 戻って来れた!!」


 思っている以上に声が出てしまい、周りの視線を一手に浴びることになった。周囲の痛い視線を浴びたサキは、恥ずかしさでいたたまれなくなり、逃げるようにその場を後にした。


「いやぁ、流石に恥ずかしかったなぁ」


「視線が痛かったですね」


「そうなんだよ、ただでさえ人混みが苦手だからさぁ。あんなに大人数の視線を集めるなんて、恥ずかしくておかしくなりそうだったよ」


 幽霊少女は言葉の通り幽霊だ。幽霊とは、霊感がある者しか視認できない存在、つまり大多数の人間からは見えない存在である。

 周りの人間からすれば、そんな幽霊少女と会話しているサキは、大きめの声で独り言を呟いているようにしか見えない。つまり変な人を見る目で見られることになる。


「なんで見られているんだろう」


 先ほどは自覚があったため、恥ずかしくなって逃げてしまった。しかし今回は見られる理由が分からないため、首を傾げるだけで終わっている。


「……私は幽霊ですから、周りからすれば独り言のように見えています」


「なるほど」


 幽霊少女に指摘されてようやく気付いたが、サキとしては独り言が恥ずかしいものという認識がないため、特に逃げる必要性を感じていなかった。


「とりあえず、ギルドに行こうかな」


「ギルド……依頼者と冒険者の取次ぎをするところですよね」


「知っているってことは、冒険者との繋がりがあったのかなぁ?」


 2人はそんなことを話しながら、ギルドへと向かっていた。


「クエストをクリアしたことを報告しに来ました」


「サキさんですね……はい、スケルトンの骨片5つの納品を確認いたしました。こちら報酬の3500ラオになります」


「ありがとうございます。ヒトダマの残滓を納品するクエストを受けたいのですが」


「申し訳ありませんが、そちらのクエストは先ほど別の方が受注されてしまいました」


「そ、そうなんですね」


 サキは一気に素材を集めてから、素材を納品するつもりだったが、別の人が受注して、自分が受けられなくなることは想像もしていなかった。


「代わりと言ってはなんですが、このクエストを受けてみませんか?」


特別クエスト

【増加した鬼の調査】

難易度6

成功条件

“北の森”で増加している鬼系統のモンスターについて調査する

失敗条件

特になし

成功報酬

10000ラオ+別途成果によって追加される


「まだ“東の平原”と“東の森”にしか行ったことがないんですけど」


「ですが、夜の“東の平原”で戦えるのであれば、“北の平原”までならば苦戦することなく、戦っていけると思います。“北の森”はどうなるか分かりませんが、“北の平原”でレベルを上げれば、できない事ではないと思います」


「……じゃあ受けます!」


「では、お願いします」


 サキは夜が明け次第、北の平原へと向かうことにした。



 tips

・幽霊少女

幽霊少女はモンスターではなく、NPC扱いになるので特別な条件を満たさなければ、見ることができない。

・ゴーストなど

ゴーストなどの敵性存在はNPCではなく、モンスターという分類になるため、《《基本的》》には目視で確認ができる。



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