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NewLifeOnline  作者: Umi
第1章 酔いどれの鬼たち

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第9話 ブラウンベアー

 サキの身体が宙を舞った。

 しかし想像未満の衝撃だったため、反射的に閉じた瞼を開いた。そこにはブラウンベアーの丸太のように太い腕で薙ぎ払われ、ポリゴンになっていくカグヤの姿があった。

 サキはそこで察した。カグヤが体当たりしたことで、自分の身体は宙を舞っており、そのおかげで助かったということを。


「カグヤ!!」


「きゅぅ――」


 そしてカグヤは完全にポリゴンとなってしまった。

 テイムモンスターはデスしても、12時間後に再召喚が可能になるが、サキとしては、一度でも死の痛みを経験させるなど許すことはできなかった。

 彼女の眼光はより一層鋭くなる。古今東西の戦場を走り回った軍神が如く鋭い眼光は、サキの格上であるはずのブラウンベアーでさえ、恐怖の感情を抱いていた。

 恐怖の感情は、どんな者からも冷静さを奪う。


「“春風流・龍砲(ドラゴンブラスト)”」


 この技の起源は曾祖父まで遡る。春風一族の中でも群を抜いて嫌欧、嫌米だったのにも拘わらず、言葉遣いにおいては英語かぶれという矛盾の持ち主だった春風龍之介(りゅうのすけ)。その男が名付けたこの技は、龍の息吹と錯覚するほどの被害を出す。

 その真相は人間の認識力を超えた速度で、不規則に刀を振るう。そんな単純な技であろうと、極めれば必殺技となる。


「はぁぁぁぁ!!!!!」


「グロォー!!」


 ブラウンベアーは腕を振り上げ、サキの“龍砲”に対抗した。

 初撃はブラウンベアーの強靭な爪によって防がれてしまう。しかし第2、第3の攻撃がブラウンベアーの強靭な身体を傷つけていく。“初心者の刀”の性能では、ブラウンベアーの強靭な筋肉を斬り落とすことができないが、少しずつ体力を削ることはできる。


「カグヤの仇を討つ!」


「グロォ!!」


 サキは小柄な身体と、俊敏な動きでブラウンベアーを翻弄していく。そして刃が脚の(けん)を捉えた。片足ではその巨体を支えきれず、膝をついた。

 いくら巨体と言えど、膝をつけば、小柄なサキでも首に届く。ブラウンベアーの背後から跳躍したサキ、彼女の刀が首を捉えた。分厚い毛皮と強靭な筋肉に守られた首は斬り落とすことはできない。しかし急所に対する攻撃はダメージが多く、体力を削る速度が上がる。


「はぁぁぁぁ!!!!!!」


「グロォォォ!!!!!!」


 ブラウンベアーの裏拳がサキを襲った。あまりの衝撃に刀から手を離してしまい、吹き飛ばされてしまう。バウンドしながら殴り飛ばされた勢いを殺したサキだったが、9割近い体力を削られていた。


「はぁはぁ……私も瀕死だけど、ブラウンベアーも限界だよね」


 サキ唯一の武器である“初心者の刀”はブラウンベアーの首に刺さったままだ。しかし彼女の瞳から諦めは覗けない。それどこかさらに燃え上がっているようにも見える。


「“春風流・無刀拳”!!!」


 無刀拳……いっちょ前に技名を付けているが、拳を前に突き出しているだけ、つまりただの正拳突きでしかない。しかし彼女の気迫も相まって、必殺技に相応しい雰囲気を纏っていた。

 ブラウンベアーもそんなサキに応えるように、拳を突き出した。


 小さな拳と巨大な拳がぶつかり合った。否、ぶつかる瞬間にサキは身体を逸らした。サキはブラウンベアーの腕の横を通り過ぎ、小さな拳が獣の鼻を捉えた。無防備な顔面に攻撃を喰らったブラウンベアーは、背中から地面に倒れていく。


「はぁはぁ……」


 ブラウンベアーが地面に倒れても、サキが警戒を止めることはない。拳を構え、どんな攻撃がやってこようと、カウンターを放つつもりだった。

 しかしその時がやってくることはなく、ブラウンベアーの巨体はポリゴンとなって消えて行った。


「はぁ、勝てたぁ」


 サキはブラウンベアーを倒せた安堵感で尻もちをつき、地面に倒れてしまう。

 地面に伏したサキのお腹に、重たい何かが圧し掛かった。


「ぐへっ――リカちゃん?」


「ありがとう、サキお姉さん!!」


「よかった、無事だったんだね」


「サキお姉さんが来てくれたおかげなの!! もし来てくれなかったら、私は頭から食べられて、首無しお化けになって、サキお姉さんのことを呪ったの」


「えっ、怖っ!?」


「冗談なの。首無しお化けになっても呪いはしないの。サキお姉さんに取り憑くくらいなの」


「よか――良くないよ!? 取り憑かれはするんだ!?」


 2人は笑顔だった。ブラウンベアーという驚異的なモンスターに襲われてすぐでも、笑顔が溢れる場にできるのは、サキの才能の1つだろう。


 戦闘が終わったことで、サキの頭の中に無機質な音声が響き続けていた。


――ステータス――

人物

 プレイヤーネーム サキ

 種族 人間

 体力 153/1600

 魔力 520/3660

 職業 聖女Lv6

 スキル 刀術Lv6 薬術Lv2 神聖魔法Lv1 テイマーLv2 魔力増加Lv3

 称号 礼儀正しい人 規格外 ギルドマドンナのお気に入り 優しきテイマー

装備

 頭

 上半身    普通の服

 下半身    普通のズボン

 靴      普通の靴

 武器     初心者の刀

 アクセサリー 

魔法

ヒール エクストラヒール 聖女の祝福 テイム


テイムモンスター

名前 カグヤ

種族 ホワイトラビットLv7

体力0/113 再召喚まで12時間

魔力340/360

スキル 癒しの波動Lv7 噛みつくLv3 足技Lv2 魔力増加Lv7

装備

アクセサリー



――ステータス――


(格上だったと思ったんだけど、あまりレベルが上がっていないなぁ……まあ上級職だから仕方ないのかなぁ? よし、次はアイテムだよね)


――インベントリ――


ウルフの牙 レア度2 品質E

武器の素材になる


ゴブリンの腰蓑 レア度1 品質E

火種になる。しかし煙が臭くなる

一部分が特に汚れている


ブラウンベアーの毛皮 レア度3 品質D

防具の素材になる

恐怖耐性の効果が付きやすい


――インベントリ――


(あれだけ強くても、レア度が3なんだ。もっと強いモンスターがうじゃうじゃいるってことかな? ワクワクしてきたなぁ)


「急に黙ってどうしたの? 頭悪くなったの?」


「なんか言い方ァ!? 確かに疲れて頭が痛くなってきたかもしれないけど……」


「なら、これをあげるの」


 サキが受け取った物は、リカと初めて出会った時から首にかけていた、美しい宝石が付いたネックレスだ。


「こんなキレイなネックレスは貰えないよ!」


「私もお姉ちゃんから貰ったから、いいの」


「余計貰えないよ!!」


「『リカを危険が襲った時、このネックレスを手放すことになるだろうけど、それまで大切にしてね』って言っていたから、きっと今日がその時なの」


「……じゃあありがたく貰うね」


「うん!」


 リカは満面の笑みを浮かべていた。


ユニーククエスト クリア

【リカを救え】

難易度5

成功条件

ブラウンベアーを討伐する

失敗条件

リカの死亡

成功報酬

守護のネックレス



守護のネックレス

一度だけ死を避けられる




このあと2人は無事街へと帰ることができました。



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