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バインドスキルで生き抜くファンタジー世界生活  作者: アブラゼミ
第3章「男の正体」

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第87話「レベッカとクリス」

「お待たせー! あたしが待ち合わせ場所に遅れて来たわよー!」

「レベッカさん、遅刻だよ。もー。ボク、10分以上待ったよ」

「ゴメンゴメン! うっかり寝坊しちゃって!」


 あたしは走って、今日一緒に遊ぶ約束をしてる相手、ギルドの受付嬢のクリスに謝る。

ブロンドの髪をショートボブにしたクリスはカワイイ女の子だ。

カワイイ女の子なんだけど、ユイトと同じくらいで背が高いし、一人称がボクだし、着ている服が今日はズボンでボーイッシュだから男の子みたいだ。

あたしはちょっとだけドキドキする。


「イケナイ子だね、レベッカさんは。お仕置きしてあげよっか?」


 クリスがあたしのアゴに手を当ててクイっと引いて、イタズラっぽい目で見つめてくる。

ホラこれ! これがいつもドキドキするの!

なぜかいつもあたしに対してお仕置きしてこようとしてくるの!

いつも遅刻したりするあたしが悪いんだけど!


 いっしょに釣りに行ってから、あたしはクリスと仲良くなった。

休みの日は買い物したり、ご飯を食べたり他愛のない話をするようになった。


「それじゃあ今日は夏物の服を買いに行くわよ! 暑くなる前に、夏を先取りしなきゃ!」

「おー!」


 あたしとクリスは、連れだって服屋を回り始めた。




****************************




「どうかしら?」

「おー、白い服のレベッカさん新鮮! いつも黒ばっかり着てるからさ」

「魔法使いは黒を着なきゃいけないってルールが里にあったのよ。だからつい黒ばっかり選んじゃうのよね。でも夏は黒、暑いし」

「うんうん、似合っててカワイイよ」


 姿見に全身を映すと、白いノースリーブのドレスを着た美少女がいた。あたしだ。

アスミちゃんやセイラの方が似合うかも知れないけど、こういうのも悪くないかもしれない。あたしはこのドレスを購入する事を決める。


「クリスもよく似合ってるわよ。足が長くてスタイルいいから映えるわね」

「うーん……、でもこれは、露出が多すぎないかな?」


 ショートパンツを履いて、白くて長い足を惜しげもなく晒したクリスが、恥ずかしそうにする。

足に傷痕があるからと渋っていたけど、間近で見ないと分からないくらい薄いし気にするほどでもないと思う。

それにしても余分の肉がないキレイな足だ。あたしも足には自信があるけどクリスの足は本当にキレイだ。太もも細いし本当にキレイ……


「レ、レベッカさん。そんな近くで見ないでよ……」

「ご、ゴメン」


 ついつい見入ってしまい、クリスが恥ずかしそうに足を隠す。

左足の傷痕は、太ももから膝上についていて薄いピンク色の筋を引いている。

アスミちゃんだったらキレイに治せたんだろうけれど、前の神官の人も頑張って治したらしい。

でもクリスは、気にしているようだ。


「もっと露出が少ない服がいいよ。日焼けしたくないし。レベッカさん、違う服を選んでくれる?」

「分かったわ」


 あたしは、クリスのオーダーに答えて彼女に似合いそうな服を選びに行った。




****************************




「はー、満足満足。いい服があってよかったわね」

「うん、そうだね。この街の服屋さんって、いいお店が多いからね」


 クリスの言うとおり、この街にはいいお店が多い。

領主の経済政策が悪いせいで、いいお店以外は淘汰されているからだそうだ。

……それがいい事か悪い事かはともかく。

あたし達はカフェでお茶しながら服を広げる。


「クリス、本当にその服でよかったの?」

「うん、やっぱり足はあまり出したくないからね。ボクの足は、大切な人以外には見せない事にするよ」

「……」


 その大切な人が、アイツを指している気がしてあたしは前々から気になっていた事をクリスに問いかけた。


「クリスって、ユイトの事が好きなの?」


 クリスが、あたしの顔をまん丸い目で見つめ返す。

そして、イタズラっぽい笑みを浮かべてこう答えた。


「アハハ、それはレベッカさんにもナイショだよ」


 ほぼ肯定のような答えを聞いて、あたしはため息を吐きたい気分になる。

セイラにしてもアスミちゃんにしても、アイツのどこがいいのやら。

気になるのでクリスに聞いてみる事にする。


「まああたしはどっちでもいいんだけど。アイツのどこがいいの?」

「だってユイトさん、面白いじゃない」

「面白い?」

「普通冒険者の話って、自慢話がほとんどでしょ? でもユイトさんの話って情けなくてかっこ悪くて話だから。そしてそれをカッコつけたりしないでしょ? そういう所、好感持てるなあ」

「そんなもんかしらねえ……」


 エリア様に向けて書いてる手紙を、あたしもたまに読ませてもらってるけど、確かにアイツはあった事をそのまま書いてるし、自分の弱さや情けなさを隠そうとしない。

その弱さや情けなさが、母性本能をくすぐるのかしら? あたしはちっともいいと思わないんだけど……


「そういうレベッカさんは? 誰か好きな人いないの?」

「いないわよ。……あたしにはね、許婚(いいなずけ)がいるの」

「許婚!? えっ!? そうだったの!?」

「ええそうよ。魔法使いの里のお偉方が勝手に決めた許婚。魔法使いの里の里長の息子よ」

「どんな人?」

「すごくイヤな奴よ。小さい頃からあたしの事バカにしてきて、イジメてきて。何かと言えば『お前は将来俺と結婚するんだ』って言ってくるイヤな奴」

「……それって、レベッカさんの事が好きなんじゃ?」

「だとしても許せないわ。アイツと結婚するくらいなら、死んだ方がマシね」

「……どうするの?」

「最悪逃げ回るしかないわね。それか魔王の幹部でも倒してあたしが有能だって示さないと……」


 魔法使いの里では魔法の実力がすべて。

魔法使いの里の女は魔法使いの里の男と結婚しないといけないという掟がある。

落ちこぼれであるあたしは優秀な魔法使いとパートナーになり、少しでもマシな子供を産むために結婚しないといけない。

そこで魔力の高い里長の息子が勝手に結婚相手に決められた。

それを覆すには里のお偉方に認められるくらいの成果を出すしかない。そしたら婚約破棄できる可能性がある。

あたしが18歳になる8月に、結婚させられる予定なんだけどそれまでになんとかしないと……


「ねえレベッカさん、ユイトさんになんとかしてもらったら?」

「ユイトに?」

「ユイトさんならなんとかしてくれるかもしれないよ? なんかこう、姑息な手を使って」

「……ハア、アイツになんとかできる訳ないでしょ?」

「試してみなくちゃ分からないんじゃない? ユイトさんなら、なんとかしてくれるかもよ?」

「ハア、まあどうしようもなくなったら考えてみるわ」


 アイツになんとかできるとは思えないけど、にっちもさっちも行かなくなったら頼ってみてもいいかもしれないと思えるくらいには、あたしも毒されてるのかもしれない。

セイラにしてもリリーにしてもクリスにしても、アイツの事過大評価しすぎだと思うんだけど……


「もう、やめやめ! アイツの話も、あたしの許婚の話もしたくないわ! せっかく楽しい日なんですもの。楽しい話しましょ!」

「アハハ、分かったよ」


 せっかくの楽しい気分が台無しになる前に、あたしはクリスと他愛のない話に花を咲かせた。

その後も一緒に買い物を楽しんだり、共同浴場にお風呂に入りに行ったりして楽しんだ。

 クリスはぼかしてますが、クリスはモンスターとの戦いで大怪我した時にユイトに助けられています。

それまで大した事ない人と思っていたユイトに助けられ、クリスはコロリとユイトの事を好きになりました。

その後受付嬢になり猛アタックをかけたのですが、エレナの事が好きだったユイトは、クリスの気持ちに気づかず完全スルー。仕方ないのでいっしょに釣りに行ったりバカを言い合える友人の位置に甘んじています。

けれどもクリスは虎視眈々とチャンスを窺っている。

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