第7話「厄介な同居人」
地面に鍬を下ろし、耕す。
雑草を根っこから抜き、小石は取り除く。
恐ろしく地道な作業。けれども夜から朝にかけて降った雨のおかげで地面は柔らかい。
俺は、次の場所へと鍬を下ろし……
「意外と真面目にやってんのね」
「金もらってるからな。仕事をちゃんとやるのは当たり前だろ」
縁側で足をプラプラさせながらこっちを見てるレベッカに話しかけられ、鍬を動かす手を止め答える。
顔を上げると汗が目に入る。肩にかけたタオルで拭いた。
昨日この家に泊まったレベッカは、どうやらこのまま住み着く気のようだ。
朝この家を出てったセイラが説得しようとしたが、頑として聞き入れなかった。
ちなみにセイラは領主の館に仕事に戻っており、ここに泊まれるのは休みの日だけらしい。
「で? 何が目的なの?」
「目的?」
レベッカの言葉の意味が分からず問いかけると、意地の悪そうな顔をされた。
「何が目的で、セイラに近づいてるの?」
「……何が目的って」
「お金目当て? それともセイラの身体目当て?」
レベッカがニヤニヤと、意地が悪そうな笑みを浮かべる。
「お金が目当てならムダよ。あの子が持ってるのはこの家くらいだし、実家の領主の家はお兄さんが継ぐ予定だもの。あの子にお金はないわ」
「そんなもん興味ねえよ」
「じゃあ身体目的? ムダよ。あの子には王族やら貴族から見合いの話が来ているの。領主の娘ですものね。アンタとは住む世界が違うのよ。傷物にしようものなら、これよ」
レベッカが、首に手を当てシュッと横に動かす。
「……そんなんでもねえよ」
「どうだか、昨日あんな真似しておいて」
「言っておくがアレは頼まれて……」
「でも、いい女だと思ったでしょ?」
「……」
否定できないので答えずに黙々と手を動かす。
「もうあんな真似させないわよ。ホント信じらんない。セイラったら、こんな得体の知れない男をこの家に住まわせて、あんな事させるなんて」
「……」
「あたしが来なかったら何してたのか分からなかったのに。ねえ? 何するつもりだったの?」
「……」
こういう手合いは相手にしないのが一番なので、無視して黙々と手を動かす。
するとこちらが答える気がないのに気づいたのか、レベッカがよっという声を上げて縁側から立ち上がった。
「お昼買ってくるわ。アンタ、嫌いな食べ物は何?」
「特にない」
「チッ」
舌打ちをひとつして、レベッカが去って行く。
嫌いなもの答えてたら、それ買ってくる気だったのか。
そして昼帰ってきたレベッカは、俺の分の昼飯は買ってこなかった。
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「お風呂、上がったわよー」
レベッカに声をかけられ、俺は横になっていた身体を起こす。
「ちょっとー? 聞いてるの?」
「ああ、聞いてる聞いてる」
「そ、ならいいわ」
俺が顔を見せると、レベッカが階段脇からすっと顔を引っ込める。
今日は1日、裏庭を耕して雑草やら小石やらを取り除いて泥だらけ汗まみれだ。
レベッカにネチネチネチネチ嫌味を言われたのもあって早く風呂に入ってサッパリしたい。
俺は屋根裏部屋から階段を降り、洗面所で服を脱ぎ風呂場の扉を開けて……
「………オイ」
風呂の中は、栓が抜かれていてお湯が入っていなかった。




