表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バインドスキルで生き抜くファンタジー世界生活  作者: アブラゼミ
第3章「男の正体」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/207

第66話「アスミ様の幽霊退治」

「ただいまー! あたしが……あれ? アスミちゃん? どこか行くの?」

「ええ、ちょっとそこまで出かけてきます」

「どこ行くの? 誰か亡くなったの?」

「そうではありませんが、共同墓地に行きます」


 神官の仕事の中に、誰かが亡くなった際安らかに眠れるよう祈りを捧げに行くというのがありますが今はそれではありません。

セイラさんにお願いされて共同墓地に行くのです。


「共同墓地? そんな所に何しに行くの?」

「幽霊退治です」

「ゆ、幽霊!? そ、そんなの退治できるの……?」


 レベッカさんが引きつった顔をして、わたしに問いかけます。

わたしは杖を手にして、レベッカさんを安心させるように言いかけます。


「できます。浄化魔法で一発です。アンデッドモンスターじゃなくてさまよえる魂達を導くだけですから楽勝です」


 人間どうしても、この世に未練を残してしまうものですから死んでしばらくしてから霊になってこの世をさまよってしまうのはよくある事です。

公営の共同墓地には、以前からわたしの前のご年配の神官の方が定期的に通って除霊をしていたそうですが、歳のため足が悪くなってからは通えておらず、幽霊が出るようになったそうです。


「ちょっと行ってきてサクッと除霊してきます。レベッカさんはご飯の準備して待ってて下さい」

「待ちなさいアスミちゃん」


 震える手で、出かけようとするわたしの肩にレベッカさんが手をかけます。


「あたしも行くわ。幽霊退治なんて危ないの、アスミちゃん1人で行かせられないわ」

「いえ、全然危険じゃ……」

「あたしも行くから。べ、別にお化けが怖いわけじゃないわよ。お化けが出るって聞いて、1人でいるのが怖くなった訳じゃないから!」

「……ハア、じゃあお願いします」


 震える親指をグッと立てるレベッカさん。

……本当に大丈夫なんでしょうか?




****************************




「ね、ねえアスミちゃん……。やっぱ帰りましょう? 帰ってセイラ連れて来ましょう? セイラは聖騎士だから、アンデッドに強いし頼りになるし」

「帰りません。それにさまよえる魂はアンデッドじゃありません。わたし1人で大丈夫です」


 わたしの神官服の裾を掴んで、弱音を吐きながらおっかなびっくり歩くレベッカさん。

この人、どうして付いてきたのでしょうか。

もう置いていきたいです。

共同墓地は小高い丘の上にある墓地。

お金のない人でも無料で入れる公営の墓地です。

中々キレイにされているようです。

夕陽に照らされるお墓が立ち並ぶ風景には、美しさすら感じます。

1輪ずつ並べられてるお花もきれいです。


「ヒイッ!? ここ、出るって! 絶対何か出るって! アスミちゃん、帰りましょう!」


 しかしレベッカさんには怖い場所にしか見えないようです。

わたしの神官服を掴む手をブルブル震わせながら真っ青な顔をしています。

……服が伸びるからやめてほしいんですが。


「出るからわたしが来たんです。帰りません、除霊します」


 浄化魔法の魔法陣を足元に描きながら、わたしはレベッカさんに答えます。

袖を掴まれてて描きにくいです。この人、本当に邪魔です。

ユイトさんがいるなら、バインドしてもらって転がしておきたいです。邪魔です。

そうこうしている間に逢魔が時。

この世とあの世がつながる時間がやってきます。

青白い魂達が墓地に浮かび上がって、レベッカさんがヒイっと悲鳴を上げます。


「ア、アスミちゃん……ナニアレ」

「ですからさまよえる魂です。除霊します。レベッカさん、離れててください」

「い、イヤよ! は、離れたら危ないじゃない! ア、アスミちゃんがね!? あたしが怖いとかじゃなくてよ!」


 わたしの神官服の袖を握って離さないレベッカさん。すごく邪魔です。

いやあなたお化けが怖いんですね?

だから夜トイレに行く時わたしやセイラさんを起こすんですね?

袖を離させようとするわたしと、絶対に離すまいとするレベッカさん。

わたしたちがもみ合っている間にさまよえる魂達が一カ所に集まりグルグル回り始めます。

レベッカさんが青白い顔で悲鳴を上げ始めます。


「キャー! キャー! イヤー!!?」

「レベッカさん、落ち着いて下さい」

「『ファイヤーボール』! 『ファイヤーボール』! 『ファイヤーボール』!」

「落ち着いて下さいレベッカさん。さまよえる魂はアンデッドモンスターじゃないので炎魔法は効きません」

「『インフェルノー』!!!」

「落ち着いて下さい!」


 錯乱してインフェルノを放つレベッカさんの頭を杖で叩きます。

レベッカさんは頭を押さえながら涙目で見てきますが、わたしは無視します。

ようやく袖を離してくれました。

これで浄化魔法が使えます。


「さまよえる魂よ。サレン様の元へとお往きなさい。……『ビューリファイ』!!!」


 魔法陣の中心に杖を突き立てると、聖なる魔法陣が白く光り、さまよえる魂達が魔法陣へと吸い込まれていきます。

そしてやさしい光に導かれて、天へと還っていきます。


「フウ、いっちょうあがりです」

「お、終わった……? もうお化けいない……?」

「はい、いません」

「フ、フン! 大した事なかったわね! きっとあたしの魔法に恐れをなしたのね!」

「……」


 涙目で強がるレベッカさん。どの口が言っているのでしょうか。


「では、これからも定期的に除霊に来ないといけないのでその時もついてきてくれますね?」

「えっ!? そ、それは……、ユイトかセイラにでも来てもらってちょうだい! あたしが出るほどの相手でもないから!」

「……」


 涙目で胸を張るレベッカさん。どの口が言っているのでしょうか。

こうしてわたしは、共同墓地の除霊を終わらせたのでした。

レベッカさんは、最初から最後まで邪魔でした。

・アスミの待遇

 月給30万マニー(固定)

 家賃・水道光熱費・必要経費はすべて領が負担。

 税金や医療費や諸々もすべて無料。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ