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バインドスキルで生き抜くファンタジー世界生活  作者: アブラゼミ
第1章「バインドスキルではじまる男の物語」

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第6話「魔法使い、襲来」

「ア、アンタ誰!? セイラに何してんのよー!!!」




 俺を指さす魔法使いらしい女。

黒いトンガリ帽子をかぶり、紅い髪を三つ編みにして左肩に流している。気の強そうなつり目、細身だが出る所は出ている身体を紅のローブと黒のワンピース、黒いニーハイソックスに包んだ美少女だ。

そんな美少女が、手にしている魔法使いっぽい杖を構え……


「いや、アンタが誰なのかなんてどうでもいいわ! 消し炭になりなさい! 『フレイム…』」

「『バインド』!」

「んなっ!?」


 問答無用で攻撃魔法を繰り出そうとしてきた魔法使いらしい女に、縄を放り投げバインドをかける。

魔法使いらしい女は後ろ手に縛られ、杖を取り落とし、足も縛られ物置の床に転がった。


「あ、あたしの魔法が後出しのスキルに負けた……? ていうかあたしに何する気!? セイラと2人、おいしくいただく気!? イヤー!!? ヘンターイ!!? 犯されるー!!?」

「……なあ、コイツ誰なんだ?」

「魔法使いのレベッカ、私の親友だ」


 この家にたまに泊まりに来るという冒険に出かけていた親友とやらか。そういや昨日そんな名前聞いた気がするな。

 そのレベッカが縛られた身体をドタンバタンとよじらせながら、騒ぎ続ける。


「て、手を出すならセイラだけにしなさい! ね? ね!? あたしよりいい身体してるし! あたしより美人だし!」

「……なあ、本当にお前の親友なのか? お前を売ろうとしてるけど」

「……親友だ。こういう所もあるが親友だ。うん、まだギリ親友だ」


 何やら友情にヒビが入りそうだが、俺はひとまず吊している縄を外してセイラを床に下ろす。


「じゃあバインドが解けるまで1時間くらいかかるから、その間に親友の誤解を解いておいてくれ」

「待て、貴様もいっしょに説明しろ」


 そのままさりげなくその場を去ろうとしたが、セイラに服を足で掴まれ逃げ出せない。

仕方ない。説明するしかないか。説得できる気は、まったくしないけど……




****************************




「……つまりアンタは、セイラに頼まれてこの家の管理人になったって事?」

「ああ」

「セイラはストレス発散のために、この男にバインドをかけてもらう約束をしたと」

「しょ……、そうだ……」

「セイラ、アンタねえ……」

「仕方ないだろう!? ストレスが溜まってるのだ!!!」


 30分ほどこっちの話を聞かなかったレベッカとかいう魔法使いが、バインドが解けた事により落ち着きを取り戻したのか(解けた瞬間に俺を魔法で退治しようとしてきたが)ようやくこちらの話に耳を傾けてくれた。

 なお慌ててバインドをかけたレベッカと違い、しっかりめにバインドをかけたセイラの拘束はまだ解けていない。


「もっと他にあるでしょう? お酒とか、おいしい物とか、お風呂とか」

「そんなんじゃ発散できないくらいストレスが溜まってるのだ!」


 手が使えないせいか、足をダンと鳴らしてセイラが反論する。


「けれどもこの男にバインドをかけられた時、そしてバインドをされている間すごく気持ち良かったのだ! ストレスが解消されたのだ!」

「……あたしは全然気持ち良くなかったけど」


 レベッカとかいう魔法使いが俺をジロっと睨んでくる。

俺はすっとその視線から目を逸らした。


「大体この男、信用ならないわよ。あの時何をしようとしてたの?」

「逃げようとしてただけだが」

「逃げる前よ。セイラを吊してナニをしようとしてたの?」

「……」


 それを言われると反論できないというか。いや、手を出すつもりはないんだけどナニもする気はなかったと言っても信用してもらえそうにないというか……


「ねえセイラ、やっぱりコイツ、消し炭にしていい?」

「ま、待て! そ、それは困る……。この男は、いてもらわないと困る……」

「ふうん?」


 セイラの言葉に、怪訝な表情をしたレベッカとやらが、セイラと俺を交互に見て何やら得心した表情になる。何なんだ?


「……まあ、この家に管理人がいた方がいいってのは同感だけど」

「同感だけど?」

「あたしもこの家に住むわ」

「「ハッ???」」

「大きなクエストをこなしてきた所だからしばらく冒険に出る気ないし、親友がバインドをかけられるなんて見過ごせないからここに住むわ。この男が妙な事しないよう監視するためにね」

「みょ、妙な事って……」

「さっきみたいな事よ」


 気の強そうな目でキッと見られ、気まずく目を逸らす。

確かにあの後更に足も吊り上げようとしたりしようと思ってたし、どう見てもナニかするようにしか見えなかっただろうから……


「言っとくけどあたしに今度バインドをかけたら今度こそ消し炭にしてあげるわ。いいわね?」

「お、おう……」

「オ、オイ待て! 私はいいと言ってないぞ!? この家は私の……」

「悪いけどもう決定事項よ。それとも……」


 レベッカが懐から何かの魔道具を取り出して、バインドされているセイラの姿をパシャッと収める。


「この姿を晒されたいのかしら? 三流ゴシップ紙に高く売れそうね? 『領主の娘、特殊な性癖に目覚める!』って」

「やややや、やめろ!? 分かった! 分かったから! 住んでいい! ここに住んでいいから!」


 どうやらあの魔道具は写真機らしい。希少な魔道具で限られた人間しか持ってない代物だが、レベッカとやらはそれを持つ事ができるくらい金があるらしい。


「明日からたっぷりこき使ってあげるわ。フフフ、楽しみね」


 バインドされた事を恨んでいるのか、レベッカが俺を見てニヤリと笑う。

こうしてこの家に同居人が増える事になった。

魔法使い レベッカ・スカーレット


年齢:17歳(魔法学校を飛び級で卒業)

身長:162cm

誕生日:8月5日

ジョブ:魔法使い

レベル:53

スキル:炎魔法 レベル5

    魔法威力増強 レベル5

    テレポート レベル1

    状態異常耐性 レベル2

    弓矢 レベル1

    格闘 レベル1

    料理 レベル1

好きな食べ物:フライドポテト、ハンバーグ、甘い物

特技:魔法

趣味:冒険

ステータス:こうげき 38

      ぼうぎょ 33

      すばやさ 35

      まほう 75

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― 新着の感想 ―
手を出すならセイラだけにしなさい! 清々しいクズ発言ですね
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