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バインドスキルで生き抜くファンタジー世界生活  作者: アブラゼミ
第2章「不穏のはじまり」

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第51話「敗戦処理」

「リリー! ゲイル達の様子はどうだ!」

「……ん。息は、ある。命に別状はない。でも深手を負ってるから回復魔法が必要。アスミ様、お願いします」

「分かりました」


 リリーに促され、アスミちゃんが教会の庭を進んでいく。

木陰にはカイルやミア達に付き添われたゲイル達が横になっている。

深手を負っているらしいが命に別状はないとの事でひと安心だ。


「……」


 一方、こちらは身体にこそ傷は負ってないものの、心に傷を負ったセイラが棒立ちで立っている。


「セイラ……」

「やらないといけない事があるだろう、領主の娘」


 声をかけようとしたレベッカを制し、俺はセイラの肩を叩く。


「魔王の幹部は3日後の夕刻にまた来ると言った。それを領主に伝え、避難計画を立てるなりなんなりしないといけない、だろう?」

「……貴様に言われずとも分かっている。今やろうとしていた所だ」


 強がりを言ってセイラが、俺の手を払いどこかへ向かっていく。


「アンタ、鬼ね」

「何とでも言え。あのまま抜け殻になられてるより、何かさせた方がいいだろ」

「まあ、それはそうだけど……」


 レベッカが不満そうな目で俺を見つめるが、俺に同意らしくハアと息を吐く。


「ユイト!」


 俺の名前を呼ぶ声がする。

カイルとリリーがこちらに駆けてきていた。


「カイル、ゲイルについていなくていいのか?」

「アスミちゃんのおかげでもう大丈夫だ。礼を言わせてくれ。ユイト、ゲイルを助けてくれてありがとう」

「礼ならリリーに言ってくれ。リリーのテレポートがゲイル達を救ったんだからな」

「……ん、私はユイトの指示に従っただけ」

「なら2人に礼を言う。2人とも、ありがとう」


 俺とリリー、2人に頭を下げるカイル。

そんな俺達に割り込むように、レベッカが口を挟んでくる。


「それにしてもアンタとリリーの連携見事だったわね。ユイトは大した事してなかったし、魔王の幹部にはあんまり通じてなかったけど、大したものだったわ」

「当たり前だ。俺とリリー、何年コンビ組んでると思ってるんだ? どんな高レベルモンスターからも逃げ切ってきたコンビだぞ」

「……ん、世界一逃げや絡め手が上手いコンビ。人呼んで『姑息コンビネーション』」

「そこは倒してきたんじゃないのね。あと二つ名がダサいわ」


イエーイと手を合わせる俺とリリーに、レベッカが微妙な顔をする。

以心伝心の俺とリリーのコンビに向かって失礼な。

まあ実はリリーの念話テレパシーで作戦を打ち合わせしてたんだけどな。

と、そこにゲイル達の回復を終えてきたらしいアスミちゃんがやってきた。


「アスミちゃん! マシュー達はどうだ!?」

「マシューさんもバロンさんも、もう大丈夫です。ゲイルさんとノッシュさんに比べて傷は深かったですが、致命傷とまでは至らなかったので明日には目を覚ますでしょう」

「ああ、ありがとう! ゲイル達の事を含めて、ありがとうございます!」


 カイルが、アスミちゃんの手を取って礼を言う。

戦いに参加できず避難した事に負い目を抱いているようだ。


「わたしの力だけではありません。ゲイルさん達の身体が丈夫なのもあるでしょうが……。鎧が丈夫だったおかげだと思います」

「そりゃムジカのおかげだな。あのおっさん、飲んだくれだが腕は本物だから」

「あの酒臭いおじさまがね……。あたしも防具、作ってもらおうかしら」

「ムジカの鎧がスゴイのもあるが、セイラの鎧はなんだありゃ? 傷こそついてたけど、あの剣を食らって本人が無傷でピンピンしてるなんて異常だろ」

「そりゃそうでしょ、セイラの鎧は聖鎧なんだから。魔力持ちの聖騎士が身につければ防御力が上がるし、あらゆる状態異常を防ぐし、自動で修復もしてくれる優れものよ」

「チート装備かよ……。あの大剣にしてもそうだが、セイラの鎧も大概だな」


事実、今教会の庭に放置されているセイラの鎧は、少しずつであるらしいが傷が小さくなっていた。


「まあセイラの鎧の事はともかく……どうすんの? あの魔王の幹部? また3日後に来るとか言ってたけど」

「ありゃジンジャーでも厳しいだろうな。皆で仲良く教会に閉じこもるか。な、リリー」

「……ん、分かった。家からボードゲーム持ってくる」

「遊ぶ気満々!? アンタ達ねえ……」

「いや、直接相手しなかった俺達はともかく、あの魔王の幹部と戦ったユイト達がそう言うなら戦わない方がいいんだろう」


 俺達の冗談に、レベッカは怒ったような呆れたような顔をするが、カイルは同意する。


「ムジカの打った盾や鎧を装備したゲイル達ですらあの有様だ。俺達なんか真っ二つだろうよ。遠距離攻撃も通じないし、もう相手しない方がいい」

「ああ、『剣聖王子』か『闇魔法使い』か『戦う王女』の誰かがいつか倒してくれる日を待つしかねえだろうな」


 実際あの3人より強いんじゃないかと思えるイゾウの強さに、俺はそう結論づける。


「アンタ達はそう思うでしょうね。あたしもそれが正しいと思うわ。でも、セイラはどう思うかしら?」

「「「……」」」


 レベッカの言葉に、俺とアスミちゃんとカイルが顔を見合わせる。


「……戦わないよう諫めても、聞かないでしょうね」

「あの嬢ちゃんならそうだろうな」

「バインドで縛り上げて、教会に監禁でもするか?」


 もうそうするしかないんじゃないかと思う俺の提案に、レベッカとアスミちゃんですら反対しない。

アイツは意固地で、頑固だろうしな……。


「なんだなんだ? どいつもこいつもしけた面しやがって。誰かのお通夜でもあったのか?」


 と、そこに。

昼間から飲んでいたという飲んだくれが現れた。

 ぶっちゃけ、リリーが来てればユイトとリリーの2人でリューガにも勝てた。

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