表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バインドスキルで生き抜くファンタジー世界生活  作者: アブラゼミ
第1章「バインドスキルではじまる男の物語」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/205

第4話「拾いものの男」

 新しい朝が来た。

古びた洗面台で顔を洗い、新品のタオルで顔を拭く。

水垢のついた鏡に映るのは、くすんだ茶髪に、死んだ目、疲れた顔の冴えない痩せ型の男。俺だ。


「……よしっ」


 俺は、気合いを入れるために自分の頬を叩いた。




****************************




「何してるんだ?」

「見て分からないか? 雨戸を直してるんだ」


 夕方。

昨日言っていた通り、契約書やらなんやらを持ってきたらしいセイラが、雨戸を修理している俺を見て怪訝な声を上げる。


「これでよし、と。気になるなら確認してくれ」

「あ、ああ……」


 最後に釘を打ち付けて修理し終えた雨戸に、セイラが少し不安そうに顔を近づける。

しかし雨戸を確認してその表情を一変させた。


「ほう? 中々見事なものだな」

「ガキの頃から納屋の修理やら大工仕事をさせられてたからな。冒険者になってからも大工仕事を請け負ってたし」


 感心するセイラに、俺は大工仕事ができる理由を話す。

そんな俺に、セイラが不思議そうに問いかける。


「ならどうして大工にならなかったんだ?」

「経験と大工スキルがないからだよ。それに俺にできるのなんて簡単な事だけだし」


 大工の求人も探してみたが、経験者を求めるのがほとんどで、大工スキルも求められる。

しかし俺が持ってるのはバインドスキルのみ。面接に行ったがあっけなく門前払いされた。


「大工スキルを持っていなくてこの仕事か…。どうやら私は良い拾いものをしたようだ。家の中も……掃除したんだな」

「ああ、って言ってもザッとだがな」


 昨日は屋根裏部屋の埃を全部掃き出し、床を雑巾がけしただけだったが、

今日は半日かけて家の中を掃除した。

換気をして空気を入れ換え、床を掃き、雑巾をかけ、窓拭きもした。そこで雨戸が壊れてるのに気づき修理した訳だ。


「裏庭もキレイにしてくれたんだな」

「雑草引っこ抜いただけだがな。なあ、畑作っていいか? 花や野菜を育てたいんだ」

「あ、ああ。もちろんいいぞ。ひいおばあさまも畑にしてたし……」

「やっぱりか、そういう感じがしたんだよな」


 セイラの隣に並び、縁側に腰掛ける。


「いい家だな」

「……!」

「住んでた人間が丁寧に暮らしていた事が感じられる、いい家だ」

「……ああ、ひいおじいさまとひいおばあさまが2人仲良く暮らしていた、いい家だ」


 セイラが少し目を潤ませて、鼻を鳴らしながらそう言う。

この家を受け継いだのは個人的な想いがあるらしい。

ハンカチで目元と鼻を拭ったセイラが、気を取り直すように顔を上げる。


「どうやら貴様にこの家の管理を任せたのは正解だったようだな。これからもよろしく頼む。これが契約書だ」

「ああ」


 契約書をざっと読んでサインをし拇印を押すと、セイラが何やら取り出してきた。


「夕飯を買ってきた。食べるか?」

「おお、ありがたい。それにしても……多くないか?」

「私の分の食事があるからな。それに……、今日は泊まるつもりで来た」

「え?」

「な、なあ……」


 俺の隣に腰掛けたセイラが、夕陽に照らされている。

オレンジ色に染まる彼女の顔は、息をするのもためらわれるほど美しかった。

甘く、爽やかな香りもする。俺の胸は緊張から高鳴った。

顔のパーツひとつひとつが整っているセイラ。

その美しい口から……




「今夜また、私にバインドをかけてくれないか…?」




 ……とんでもない言葉が出てきた。

・この世界のスキル


スキルはそのジョブに関わるものが基本取得できる。

レベルアップすればスキルポイントがたまって、取得できるスキルが冒険者ブックに記載される。

セイラのように好きなスキルを選んで取得できる者もいれば、ユイトのようにまったくスキルを取得できない者もいる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ