表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バインドスキルで生き抜くファンタジー世界生活  作者: アブラゼミ
第2章「不穏のはじまり」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/205

第39話「謎の少女②」

「ユイトさん! このお肉、焼けてまふよ! はやふ食べないと、焦げちゃいまふよ!」

「俺はもういいから、君が食べてくれ」

「いただきまふ!」


 七輪で焼いた肉と米を口いっぱいに頬張りながら、少女がおいしそうな顔をする。

どうしてこんな事になったのかというと、怪しい通りの中ではまともそうな焼肉店に道を尋ねに行った所『ただじゃ教えてやれねえな』と言われ2人分の焼肉を注文する羽目になったのだ。追加でライスも頼んだ。

注文をしたら、店主が地図を書いて道を教えてくれた。

そして今に至る。


「ふう、ごちそうさまでした! おいしかったです!」

「気持ちいい食べっぷりだな嬢ちゃん。また来てくれよ」

「はい!」


 いい返事をする少女。その隣で焼肉の代金を出す。


「あ、お金なら私が……」

「いいからいいから、子供に奢られるほど落ちぶれちゃいねえ」

「子供じゃありません! 15歳です!」

「子供じゃねえか……」


 ない胸を張る少女に、ツッコミを入れる。

年齢はどうやら見立て通りのようだが、名前は教えてくれないしで、身分は分からない。どうやら高貴な身分らしい。その割にフランクで庶民的だが……


「ここは私が!」

「いや、俺が払う。ていうかもう出しちまったし」

「ならせめて半分出させてください! ……あっ」

「どうした?」

「……お財布、忘れて来ちゃったみたいです」

「だってよ店主、支払いはこれで」

「毎度あり!」




………

……




店主の地図に従って歩いて、大通りに出る事ができた。

しかしセイラがいたランジェリーショップは見当たらない。

どうやら離れた場所に出てしまったようだ。俺達は露店が建ち並ぶ所を歩く。


「見てくださいユイトさん! お店がいっぱい出てますよ!」

「そうだな」

「あれは何でしょうか! 見た事ない食べ物です!」

「ありゃポンポンナッツだな。ポンっ!ってなるモンスターだ」

「モンスターですか!? モンスターって食べられるんですか!?」

「食べられるモンスターはポンポンナッツだけだな。他は食えたモンじゃないって俺の師匠が言ってた」

「ほほう、興味深いですね! あっ! あれは何でしょう!?」


 隣にいる少女は元気というか、にぎやかすぎるくらいだ。

謎の少女はチョロチョロと露店を見ながら声を上げていた。

その足が、ある店の前で止まる。


「ユイトさん、これはなんでしょう?」

「これはチュロスだな。甘いお菓子だ」

「甘いお菓子ですか――……」


 謎の少女が、物欲しそうな目でチュロスを見る。

なんだか子供みたいだ。いや子供だろうが、普段はガマンをしているのだろう。


「お姉さん、チュロス2つ。この娘にはアイスティーも」

「えっ!? いいんですか!」

「ああ、最近オーガを3匹倒して金が入ったからな。このくらいお安い御用だ」


 チュロス屋のお姉さんに金を出しながら注文すると、すぐにチュロス2つと飲み物が手渡される。

俺はチュロスと飲み物を謎の少女に差し出した。


「ありがとうございます! あの、もしかしてユイトさんは冒険者なんですか?」

「ああ、冒険者になって10年目だ」

「オーガを3匹倒すなんてすごいですね! 私も100匹ほど倒した事がありますが!」


 少女の口から信じられない言葉が聞こえてきて、チュロスを落としそうになる。

オーガ100匹? ウソだろ?

しかし目の前の少女はウソを吐かなそうというか、ウソが吐けなそうなタイプだ。

チュロスにかぶりついて「う~ん!」と頬に手を当て身をくねらせた少女が、アイスティーを1口飲んだ後更に信じられない事を言う。


「でも1匹だけ倒せなかったオーガがいるんですよねー。『剛腕のリューガ』?とか名乗る一回り小さいオーガがいて、魔王軍の幹部とか何とか言っていたんですが、そのオーガは追い返すのが精一杯でした!」


 俺は謎の少女の事をマジマジ見る。

この子が、あのリューガを追い返した?

あの暴れ者で、バカみたいな強さと力を誇るあのリューガを?

ウソだろうと思うものの、目の前の少女にウソを吐いているような気配はない。

というか、俺の長年の冒険者の勘が告げている。

この謎の少女は、相当な強さを持つ実力者だと。


「そのオーガ、どこかの誰かに倒されちゃったらしいんですよねー。私が倒したかったので残念ですが、あのオーガに被った被害も大きいのでよしとします! どこかの誰かに感謝です!」

「いや、それ……」

「ミソラ様、こんな所にいたのか」


 突然、建物の影から長身の男が現れる。

黒いシャツに黒のズボン、黒のマントを羽織った、黒髪の整った顔立ちの男だ。

その男を見て、謎の少女が慌て始める。


「クロカゲさん!? わ、私はミソラ様などでは……」

「ごまかしてもムダだ。……まったく、もうすぐ式典があるというのに。戻って着替えてください」

「ちぇー、分かりましたよーだ」


 口を尖らせて青髪の少女が、もといミソラ様とやらが、チュロスを一気に食べ、アイスティーも一気に飲み干しクロカゲと呼ばれた男に従う様子を見せる。


「まったく、勝手に抜け出してはいけませんと何度も言ってるのに。皆が心配するだろう?」

「いいじゃないですかー。私もたまには自由が欲しいんです!」


 高貴な身分らしいミソラ様とやらと、その配下らしいのに何やらフランクなクロカゲとやらの関係を訝しんでいると、クロカゲの視線がこちらと合う。


「お仕置きは今夜するとして……この男は?」

「お仕置きは勘弁してください! この方は街を案内してくれた方です! まあ、この方も今日王都に初めて来たとの事でいっしょに迷子になっていたのですが、焼肉とこのチュロスを奢って頂きました!」

「ハア、大体察した。ミソラ様がご迷惑をおかけしました」

「い、いや……」


 ミソラ様とやらに強引に巻き込まれたという事を大体察せられ、クロカゲとやらが丁寧に頭を下げる。

その顔が上がり、俺の顔をじっと見る。


「? 何か?」

「いや、もしかしたらこの後すぐ会うかもしれないと思ってな。論功行賞に来た人間か?」

「ああ、そうだけど……」


 クロカゲの黒い瞳がジッと俺を見る。

長年の冒険者の勘が告げている。この男も相当な強さの持ち主だと。

クロカゲが、何やら頷きながら得心した表情をする。


「やはりか。お前が剛腕のリューガを討ち取った男だな」

「ええっ!? あのリューガを!!?」

「いや違う、違わないけど違う」


 ジンジャーがほとんど仕留めていた所に、とどめを刺しただけなので俺が倒したとは言いがたい。

しかし2人はそんな説明をさせてくれる間もなく感心し始める。


「ハーッ! あの剛腕のリューガをですか! すごいですね! 私やクロカゲさんでも追い返すので精一杯だったというのに!」

「ああ、あの厄介な魔王の幹部を倒すとは大したものだな」

「いや違う、違わないけど違う……俺は最後に爆発玉を投げただけだ」


 話が大きくなりそうなので勘違いを訂正にかかる。

ていうか今なんて言った?

この男もあの剛腕のリューガと戦ったのか? そんでもって追い返したのか?


「こんな所にいたのか!」


 どういう事か聞こうとするが、聞き覚えのある声が通りに響く。セイラだ。


「まったく探したぞ! 私を置いてどこをほっつき歩いていたのだ! ……うん? こちらにおわすのは、ミソラ様にクロカゲ殿!?」

「セイラさん! お久しぶりですね!」

「息災なようで何よりだ」

「ご、ごごごご無沙汰をしておりますミソラ様にクロカゲ殿!」


 領主の娘にして貴族であるセイラにしてこのうろたえっぷり。このミソラ様とやら、やはり相当高貴な身分であらせられるらしい。


「ユイト! この御方達に失礼な事してないだろうな!」

「いえ! ユイトさんはいっしょに迷子になり! 焼肉を食べ! このチュロスを奢ってくれました!」

「何をしておるのだ貴様は!」


 セイラが俺の頭を力尽くで下げさせる。


「ミソラ様になんて物を食べさせているのだ貴様は! 謝罪しろ! 謝罪!」

「なんて物とはなんだ、なんて物とは。チュロス屋の目の前で。チュロスはちゃんとした食べ物だぞ。チュロス屋のお姉さんに謝れ」

「あ、いや、これは言葉の綾というか、スマナイ……」


 チュロス屋のお姉さんに謝るセイラ。そんなセイラの背中をミソラ様とやらがバンバン叩く。


「まあまあ! おかげで楽しかったですしおいしかったです! 貴重な体験をさせて頂きました!」

「たまにはいいだろう。ミソラ様が勝手に抜け出したのは問題だが、この男の事は責めないでやってくれ」

「ミソラ様とクロカゲ殿がそうおっしゃるなら……」


 身体を縮こまらせて恐縮するセイラ。

こいつがこうまでなるなんて、この2人は一体何者なんだ?


「じゃあ俺達はこれで。ミソラ様、行くぞ。お説教とお仕置きは夜にたっぷりしてやる」

「お説教とお仕置きは勘弁してください! では!」

「あ、ああ……」

「ああ、ではない! ミソラ様、クロカゲ殿! また後ほど!」


 セイラに頭を押され、強制的に下げさせられる。

ミソラ様とやらとクロカゲは、手を振って去って行った。


「なあ、あの2人何者なんだ?」

「……まさかとは思うが貴様、あのお二方の事を知らないのか?」

「ああ」

「貴様という奴は……」


 セイラがこめかみを押さえて嘆きの色を浮かべる。


「なぜ知らんのだ! 新聞によく出ておられるだろ!」

「貧乏冒険者に新聞なんか読む余裕あるわけねえだろ。ていうか『また後ほど』と言っていたけど、あの2人も式典に来るのか? やっぱりどこかの大貴族のご令嬢とかか?」

「貴様という奴は! 貴様という奴は……」


 一瞬怒りを、それから呆れの感情を浮かべセイラが肩を落とす。

そして、あの2人が何者なのか俺に告げた。


「貴様もこの国の人間なら知っておけ! あの御方は第三王女ミソラ様! そしてその付き人にしてミソラ様の婚約者のクロカゲ殿! 『戦う王女』と『闇魔法使い』、この国で三本の指に入る強さをお持ちのお二方だ!」


 俺は、手に持っていたチュロスを取り落とした。

『戦う王女』 ミソラ・キングズベリー


年齢:15歳

身長:154cm

誕生日:5月20日

ジョブ:魔法戦士

レベル:100

スキル:格闘 レベル5

    光魔法 レベル5

    身体能力強化 レベル5

    回避 レベル5

    投擲 レベル5

    状態異常耐性 レベル5

好きな食べ物:焼肉とチュロス

特技:スポーツ全般

趣味:エリア姉様とおしゃべりする事

ステータス:こうげき 99+(測定不能)

      ぼうぎょ 99+(測定不能)

      すばやさ 99+(測定不能)

      まほう 99+(測定不能)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ