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バインドスキルで生き抜くファンタジー世界生活  作者: アブラゼミ
第1章「バインドスキルではじまる男の物語」

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第2話「女騎士の正体」

「あの……」

「喋るな。話は部屋に入ってからだ」

「はあ……」


俺は女剣士に連れられ宿屋に入っていた。

宿屋と言ってもそこは普段俺が使ってるような安宿ではない。

そこそこ高級なタイプの宿屋だ。

入り口で高い代金をあっさり払った女騎士が、俺の前をまっすぐ歩きながら突き当たりの部屋の扉を開ける。


「どうぞ」

「あ、ああ」


女騎士に促され、部屋の中に入る。

どうしてこうなった。

どうしてどうしてこうなった。

頭の中を整理する。


俺はこの街を出ようとしていたはずだった。

そこに3日前の夜に俺と鉢合わせた女騎士が現れた。

逃げようとした俺だったが、逃げ切れず女騎士に組み伏せられた。

ところがその女騎士からバインドをかけて欲しい頼まれて……


そんなこんなあって、話をしようという事になり宿屋に入ったわけだ。

宿屋な訳で部屋の真ん中にはベッドが鎮座している。

2人で寝ても十分な広さのふかふかのベッドだ。

そういう事をするために入った訳ではないとはいえ緊張してしまう。

しかし緊張する俺とは対照的に、落ち着いた様子でベッドに腰掛けた女騎士が話し始める。


「まずは貴様の名前を聞かせてもらおうか。名は何という」

「名乗るほどの者では……」

「言っておくが貴様の今後はこの私の匙加減でどうとでもなるという事を忘れるなよ」


 女騎士に剣呑な目で睨まれる。


「……ユイトだ」

「ユイト? ……本当か?」

「本当だ、ホレ」


女騎士の剣幕に押され、俺は自分の冒険者ブックを渡す。

冒険者ブックはギルドが発行する特殊な素材でできているもので、偽造は不可能。

手で触れるだけで本名やステータスが自動で記録されるので偽名も使えないのだ。


「なるほど、本当だな。ユイトか。農家の三男坊にでもいそうな名前だな」

「お察しの通り俺は貧しい農家の三男坊だよ」


 そこから俺は、女騎士に聞かれるままにこれまでの人生について話した。

丁稚奉公でこの街に来た事。

勤めていた革職人の工房が潰れた事。

何の技術もなかったため再就職できず、仕方なく冒険者を始めた事。

冒険者の収入だけでは食べていけないため副業としていかがわしい店の縄師をしていた事。

などを洗いざらい話させられた。


「なるほど、苦労していたようだな」

「だろう? だから見逃して……」

「そういう訳にはいかんな」

「……デスヨネー」


女騎士の言葉に、俺はガックリ肩を落とす。

どうやら無罪放免とはいかなそうだ。


「だが、私の願いを叶えてくれたら特別に目こぼしをくれてやる」

「願い、だと?」

「さっき言ったではないか。私にもう一度バインドをかけてくれ」

「……はい?」

「私にバインドをもう一度かけてくれ! お願いします!!!」


 女騎士がベッドから降り再び土下座スタイルで俺に頭を下げた。


「ちょ、ちょちょちょちょっと待て。なんでそうなるんだ?」

「何でも何も、貴様にバインドされた時気持ち良かったからだ!」

「変態だ!?」

「ち、違う! 私は断じて変態などではない!」


女騎士がワタワタと焦った様子で手を振り、顔を真っ赤にして自分が変態ではないと主張する。

そして自分の胸に手を当て、こう言った。


「私はセイラ・レイフォード。このレイフォード領の領主の娘だ」

「りょ……!?」


領主の娘!?

俺は明かされた女騎士の正体に驚く。


「りょ、領主の娘が、なんでバインドを……」

「ストレスが溜まってるのだ!」


領主の娘の女騎士が、床を拳で叩きながら嘆きの声を上げる。


「毎日毎日、領内の問題事に振り回され!

領内に現れたモンスターやら魔王軍やらを撃退し!

脱税やら収賄やらいかがわしい商売やらを摘発し!

 親からは早く結婚しろ、孫の顔を見せろとせっつかれ!

 本当に本当にストレスが溜まっているのだ!」

「それは……大変そうだな」

「だろう!?」


 俺が同情を示すと、領主の娘が「分かってくれるか!」という表情で俺の手を握る。

美しい手だ。

けれどもしっかり鍛えられている剣士の手だ。

相当な鍛錬を積んできたのだろう。

領主の娘と聞けば、恵まれていると思いがちだが苦労もしているようだ。


「毎日毎日ストレスが溜まって大変なんだ……! イライラして肌は荒れるし、よく眠れないし、腹が痛い日もあるし、でも休む訳にもいかないし、表に出す訳にもいかん! 本当に、ほんっとーにストレスが溜まってるのだ!!!」

「はあ……」

「だが貴様にバインドを食らった時、そしてバインドされ続けてる間、そのストレスが和らいだのだ!」

「ハア?」

「気持ちよかったんだ! あのバインドが!」

「ハア……」

「だから頼む! 私にもう一度バインドをかけてくれ!」

「……」


 再び俺の前で土下座をする領主の娘の女騎士。

俺は領主の娘の女騎士に大事な事を確認した。


「バインドをかけたら、俺の事を見逃してくれるんだな?」

「ああ、約束する」

「なら一筆書いてくれ」

「……分かった」


 領主の娘の女騎士は、メモ書きに俺の事を見逃すという誓約書を書いて拇印を押した。

ここまでするなら信用していいだろう。


「脱いでくれ」

「な、何!?」

「その鎧を脱いで、いや外してくれ。じゃないと身体に負担がかかる」

「あ、ああ……」


領主の娘の女騎士、いやここからはセイラと呼ぼう。

セイラがカチャカチャと音を立てて鎧を脱ぎ小手や足の防具を外す。

鎧を外すと身体にピッタリフィットした黒い長袖のインナーと、裾の長い黒のスカート姿になった。


「こ、これでいいか……?」

「ああ、それでいい」


俺が取り出したバインド用の縄を見て、セイラが興奮したようで身体を震わせる。


「手を後ろに組んでくれ。その方がバインドされた時の衝撃が少ない」

「こ、こうか……?」

「違う、こうだ」


背中の後ろに手を回した腕を動かすと、セイラはまた身体を震わせた。


「『バインド』!」

「はうんっ!」


バインドをかけると、セイラが身体をビクンと震わせてベッドに転がった。


「こ、この感覚……! やはり、いい……!」


そんな事を言いながら蕩けた顔でベッドの上でもぞもぞ動くセイラ。


「……」


その姿を同じベッドの上に膝立ちになって見る。


「な、何だ……?」

「……」


絹のようなクリーム色の髪、

整った顔立ち、

赤く染まった頬、

透き通った白い肌、

宝石のような黄緑色の目、

艶めくピンク色の唇、

大きくて形のいい胸、

それでいてしっかり引き締まっている腰のくびれ。

1000人いたら1000人美女だと言うだろう。


そんなセイラに覆い被さるようにして、両膝を彼女の腰の脇に、両手を彼女の顔の横につく。


「オ、オイ……! 私に何をしゅる気だ……!?」


 俺に覆い被さられ、セイラが顔を真っ赤にして目を逸らす。

ベッドの上で拘束され転がっている彼女は、これまで数多くのきれいな女性を見てきた俺の目から見ても間違いなく一番いい女だった。

そんないい女を目の前にして俺は……




「フンッ!」

「なっ!? オ、オイ貴様!? 何してる!!?」


自分で自分をブン殴って気を失った。

領主の娘 セイラ・レイフォード


年齢:24歳

身長:171cm

誕生日:4月3日

ジョブ:聖騎士

レベル:47

スキル:両手剣 レベル5(スキルのレベル上限は5まで)

    片手剣 レベル5

    回避 レベル5

    格闘 レベル5

    状態異常耐性 レベル3

    投擲 レベル3

    回復魔法 レベル1

    浄化魔法 レベル1

好きな食べ物:ガッツリした料理

特技:剣

趣味:乗馬・絵画鑑賞・骨董品収集・トレーニング

ステータス:こうげき 62

      ぼうぎょ 55

      すばやさ 44

      まほう 20

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