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理想の彼女、作ってみた。  作者: あざね
オープニング
1/1

プロローグ 100回目のプロポーズ。

新作です(*'▽')







「俺と付き合ってくだ――」

「は……? アンタ、誰」




 俺が告白を口にし切る前に、目の前の女学生は冷めた声で答える。

 誰もが和気藹々と食事を口に運ぶ昼休み。意を決して相手を呼び出した俺の心は、もう完全にズタズタにされてしまっていた。うな垂れ、両膝をつく。

 すると女学生は思い出したように、俺に向かってこう言うのだった。



「あー……もしかして、アンタが噂の告白魔? 誰彼構わず、初対面でも関係なしに『付き合ってください』って声かけまくってるとか」

「………………」



 その指摘に対して、俺は反論の言葉を持たない。

 何故なら、事実に他ならないからだ。そして俺の反応で諸々を察したらしく、女学生は呆れたようにため息をついてから語る。



「あのさー……アタシが言うことじゃないかもだけど、もう少し自分を客観視した方が良いよ? 高校生みたいなガキでもないんだし、少しは大学生らしく遊びなって」

「………………」

「それじゃ、もうこんな馬鹿なことやめなよ?」



 名も知らぬ女学生は、去ってしまう。

 俺はしょんぼりとうつむいたまま、トボトボと帰路に就くのだった。





 ――大学生になれば、彼女なんて勝手にできるものだと思っていた。

 それこそ、椀子そば感覚で。俗にいうがり勉だった俺――若草尊、高校時代唯一の励みは、そんな夢のようなキャンパスライフだった。本当に死に物狂いで勉学に励んだ。しかし蓋を開けてみれば、そこにあったのは悪夢のような現実。



「……誰とも会話しないまま、気付けば半年が経過してた」



 いいや、正確には教授と一言二言……って、そんな誤差はどうでもいい。

 とにもかくにも、俺はいわゆるボッチ街道一直線だった、というわけである。しかし、このまま泣き寝入りする俺ではなかった。そんじょそこらの陰キャと一緒にされては困るのだ。

 そう考えて、手当たり次第に告白すること100回目。



「今回のは、効いたなぁ……」



 一人暮らしをしているアパートに戻り、ベッドにうつ伏せに倒れた。

 まさか、大学生としての在り方を説かれるとは思いもしない。結果として、俺はどうにも鬱々とした気持ちになっていた。

 それでも、俺は止まらない。

 一つの案が駄目なら、次の案を練るまでだ。



「できないのなら、そう……作ればいい!」



 そう口にして、俺はノートパソコンを起動した。

 そして、入学当初から作成しているプログラムを開く。ちなみに俺は文学部なので、このプログラミングは見様見真似でしかない。それでも何かウルトラCが起これと思いつつ、必死に人工知能を生み出そうとしているのだった。



「さて、と。今日はここから、どうするか――ん?」



 頑張った甲斐あって、簡単な受け答えが可能になった我が人工知能。

 しかし、今日に限っては見覚えのない文言があって――。



『扉を開きますか? YES NO』



 画面の中央に、そんな選択肢。

 俺は首を傾げて少し、腕を組んで考えてみた。



「なんか、ウイルスでも感染したか……?」



 思いつくのはそんな程度、だが……。



「……まぁ、いっか」



 疲労によるものもあったのか。

 俺は深く考えずに『YES』をクリックするのだった。すると――。




「え……!?」




 その直後だ。

 画面から凄まじい光が放たれ、思わず目を瞑ってしまう。

 そして次に目を開いた時、そこにあったのは――。



「ふむ……ここが噂に聞く『神の国』か」

「だ、誰だ……!?」




 見目麗しい金髪の少女。

 身にまとうのは、妙に露出の多い民族的な衣服。

 均整の取れた顔立ちに赤の瞳をした彼女は、俺を見て何度か頷いた。




「誰とは失礼な。私はお前のよく知る存在――」



 そして、こちらのノートパソコンを指し示しながら言う。




「人工知能の『ALICE』だ」――と。



 


面白かった

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