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だからやっぱり『悪役令嬢』が好き

作者: 高瀬あずみ

はじめてエッセイを書いてみました。

エッセイなので冒頭字下げはしておりません。

ご意見ご感想、同意、反論も歓迎ですが、

当方かなりメンタルが劇弱のためご容赦願います。



「小説家になろう」では、今日もランキング内だけでも

何人何十人の『悪役令嬢』たちが活躍している。


タイトルに入っている、タグにある、

それだけでPVを稼ぐことができるとまで言われている

脅威かつ驚異のパワーワードである。



例に漏れず、私自身も見つければ読んでしまう。

「なろう」の小説を読み始めて約三年。

その期間でおそらく数百人もの『悪役令嬢』を追いかけてきた。

時には読みすぎで食傷するほどであり、

ならば読まなければいいと自分で分かっていても

それでも読み続けてしまう。


その意味とは、原因とは何かを自分なりに解き明かしてみたいと思う。

「そんなこと知ってる」

「今更、説明されるまでもない」

そう言われても不思議ではないけれど

自己分析も兼ねて、書きたいから書くことにした。




1)『悪役令嬢』というパワーワードの分析をしてみよう


当たり前、見たままであるが、

『悪役令嬢』というワードは「悪役」と「令嬢」のふたつの単語から成る。

それぞれをとりあげて考察してみようと思う。


「悪役」について。


通常での意味合いである演劇等の役柄はこの際関係なく。

小説や少女漫画、乙女ゲームにおいては、

主人公ヒロインに対して、主に恋愛面で立ちふさがる存在」である。

正しく言うならば「壁役」かもしれない。

当て馬であり、恋愛等を盛り上げるための障害。

古くは同じ目的を持つライバルのことでもあった。


決して「悪役」=「悪女」ではなく、

単に立ち位置がそうである人物(主に女性)のことを指す。

この場合、善人かどうか、善行をしてきた人物かどうかは

実は関係ない。

他者からそう見えるからこその「悪役」である。

本人の自称ではなく、あくまでも他称。

そういう立ち位置にいる人物を表す。



「令嬢」について。


個人的な感覚なのだが、

「悪役」と「令嬢」の場合、

読者によりアピールするのは「令嬢」の方である。


「悪役女」「悪役娘」「悪役少女」

このキーワードで読む気になるだろうか?

(個人的に「悪役少女」はちょっと気になるが、

演劇少女ものっぽくも感じるので方向性が違う)

断然、『悪役令嬢』が大差で勝つ。


「令嬢」とは。

裕福であったり、旧家名門高貴な家柄の

早い話

「貴族(もしくはそれに類する家系)の未婚の(比較的若い)娘」のことだ。


さて、なろうで「悪役令嬢もの」を好む層は

その大半が一般女性であると推測する。

(男性層もいることは理解している。でないとあれだけの評価は得られないだろうから。

しかし、男性目線での解釈は自己分析の範疇から外れている為今回は考慮しない)


学生だったり、勤め人だったり、

未婚だったり、結婚していたり、

そうでない人もすべからく、

普通の生活を送る女性全般である。


この読者層、間違っても「令嬢」とは呼ばれない。

例外はあるにしろ少数派だと思われる。

だからこそ、「令嬢」という存在に強い憧れがある。


その立場に、その環境に、

流れる血の歴史に、財産に。


もっと平たく言うと。

お金あって家のこともしなくてよくて、

きれいな格好して暮らしたい。

仕事の代わりにマナーだとか社交だとか

領地経営だのハードな教育はあるけれど、

リアル社会で長年拘束時間の長い学校生活を経てきた日本人にとって

何ほどであろうか。

勤務時間も家事に費やす時間も長いしね!


「令嬢」に自称はない。

他者からそう呼ばれ傅かれる存在。ここ大事。

中には「没落」「成金」等のマイナスが付く場合もあるが、

「令嬢」だけで大幅なプラス要素なので

憧れは消えない。


そして「悪役」と「令嬢」がひとつになったとき、

ただの「令嬢」の何倍ものパワーワードができあがる。



ちなみに「令嬢」ではなく一部「王女」「女王」なども

アリと言えばアリだが、上がない窮屈さがあると思う。


また「夫人」「婦人」「妻」「王妃」……等の人妻の場合、

恋愛的な道徳観倫理観からも自由がなく、

人妻になる前の「令嬢」がより好ましい。

「白い結婚」の場合はグレーかな。物語次第で。




2)ヒロインの条件


『悪役令嬢』はそも単体で存在するのではなく、

本来の主体は女主人公であるヒロインだ。

まずそのヒロインについて考えてみたい。


少女漫画や乙女ゲームにおけるヒロインには

共通点がある。


読者プレイヤーに嫌われず、

自己投影できるキャラクターであること。

何よりも読者に共感される存在であること。


ルックスは美人よりも可愛い系。

誰からも愛される小動物系。

背は平均から低め。

胸も平均か少なめ。


性格は素直で明るくて努力家。

他人のために動ける人情家。

裏表がなく愛情深く、応援したくなるような。

早い話、

誰からも好かれる「良い子」である。

動物にも好かれたり羨ましすぎる……。


家も裕福でもなく普通か貧乏寄り。

一般的もしくは庶民的であることも求められる。


同時に求められるのは「女の子らしさ」である。

見た目、趣向、仕草。

家庭的であればなお良し。

庇護欲をくすぐる守られるタイプ。

イメージカラーはパステル系ピンク。

清楚・清純・純情等も求められる。


もちろんこのテンプレなヒロインばかりではない。

闘うヒロインも守るヒロインもいる。

例外は常にあり、それはそれとして、

基本であり記号でもあるヒロイン像のイメージは

上記のようなものになりがちなのだ。


そして、この基本を大きく外してしまった場合、

読者プレイヤーから嫌われ、作品も見捨てられる。

味付けとして多少の幅はあっても、

本質はヒロインらしいものを持たねば許されない。

共感できないヒロインは受け入れられない。

個性を求めてテンプレ脱却もやりすぎれば失敗するのだ。

逆を言えば、共感さえ得られれば実は幅広いヒロインは成立するのだが。



さてそんなヒロインは。

読者プレイヤーにとって手の届きそう、

と思わせる出発点から成長していく。


ただの「良い子」のお話が読みたいかというと

それだけで満足できないのが読者という生き物だ。


スタート地点が平凡であることは大事だが、

「特別」にもなりたいのだ。

物語やゲームの世界でくらい夢を見たいのだ。


それがまあ、タイプの違うイケメンにもてたり、

特別な能力を持っていたり、

ものすごく運が良かったり、

秘めた才能があったり、である。


「平凡だけど特別なヒロイン(わたし)」

という存在がこうして生まれる。

これこそがヒロインである。




3)『悪役令嬢』の条件


ヒロインが成長したり恋をしたり夢を実現させたり……

する前に立ちふさがるのが

『悪役令嬢』の一番のお仕事だ。


越えなければ幸せになれない高い壁。

それ故に、『悪役令嬢』はハイスペックであることを望まれる。


可愛いではなく、クール系美女であること。

スタイルに優れていること。

スラリとしたモデル体型であったりグラマラスだったり。


「なろう系悪役令嬢」の典型であるならば、

侯爵家以上の高位貴族(辺境伯家は可)で

王族の婚約者に選ばれるだけの名門出身。

(稀に作品内ゲームで複数の悪役令嬢が設定されている場合に限り

下位貴族の令嬢であっても悪役令嬢として扱うこともある)

高貴であり品のある女性。


努力だけでは得られないものを最初から持っている、

それが『悪役令嬢』に求められるイメージだ。


当然、一般女性には手が届くどころか、

顔を見ることさえできない高嶺の花。


そんな一般女性は知っている。

「可愛い」は作れることを。

「ちょっときれい」にはなれることを。

髪型、仕草、服装、化粧、食事、適度な運動。

それらを研究して身に着け自分のスペックを上げること。

多くの女性が普段からその為の努力をしている。


けれどスッピンで勝負できる美貌は。

補正無しにさらけだせるプロポーションは。

誰からも認められる素の美しさは。

遺伝か整形に頼るしかない。


それに、ぶっちゃけ金持ちの家に生まれたい。

ドレスや宝石、欲しいに決まっている。

お金がないと心の豊かさなぞ維持できぬわ。

さすがにドレスを一度しか着ない、なんていうのには抵抗あるけど。

でもって、家事とかしたくないし。

人にやってもらえる環境っていいよね!

外見磨きも人にやってもらえるとか羨ましすぎる。


可愛いヒロイン、応援したいヒロイン。

でも自分がなる(投影する)ならば。

最初から条件のいい『悪役令嬢』がいい。

素材から優れた『悪役令嬢』がいい。


『悪役令嬢』になりたい。

たとえ。

断罪される未来があるとしても。

だって断罪されないようにすれば勝ち組だもの。




4)『悪役令嬢』が主人公になる条件


『悪役令嬢』はハイスペックな高嶺の花。

憧れのひと。

けれど読者である一般人には

高貴なひとの考えることなんて分からない。

あまりにも共通点が無さ過ぎて共感しにくい。

だからこそ、通常このレベルの令嬢が主人公になることは少ない。

ではどうするか。


『悪役令嬢』を堕とすしかない。

手の届くところまで。



「転生して悪役令嬢になった」という設定を

最初に考えた人は実に偉大だ。

「転生」させることにより、

『悪役令嬢』の中身を一般人にしてしまったのだから。


中身は読者と同じ、日本出身の普通の女性。

漫画やゲームを知っていたりでちょっとオタク寄り。

一挙に親近感が生まれる存在だ。

しかも外側は憧れの『悪役令嬢』。

最高じゃないか。

中身が普通の一般人で外側が特別なスペックあり。

これで『悪役令嬢』でありながら

読者に共感される主人公の条件を満たしてしまったのだから。



でも転生『悪役令嬢』ばっかりも飽きるよね?

読者はどこまでも我儘である。


そうして「ループ」「ドアマット」などの

不遇系『悪役令嬢』の出番となる。


高貴なひとの考えてることなんて分からない。

でも悲惨さや不幸なら理解も同情もできる。

怒りも憎しみも妬みも、

それらの感情ならば読者の理解の内だ。


そもそも女性という生き物は。

同性の幸福が嫌いだ。

自己投影先であるヒロインの幸せと

フィクションの中のキャラクターの幸せは別として。


基本、同性はどれほど仲が良くとも競う存在である。

女性がきれいになりたいと努力するのは男のためでなく、

「自分がきれいになりたいから」であり、

「同性に勝ちたいから」である。

女には女のマウントがあるのだ。

(だからハーレムものの女性たちが仲良しとか、

表面上でしかありえない。だって本能だから。

競ってこそ花、というやつ)


けれど女性は。

同性の不幸を許せないのだ。

同情してやまないのだ。

加害者は絶対許せないのだ。

特に性的被害は何よりも許せない。


ループするというのは、断罪・免罪・処刑などで

最悪まで追い詰められたという前提がある。

ドアマット系は、文字通り血縁ないし他者から

いわれなき迫害を受けているのが前提。

どちらの不幸も理解できるし、どちらの不幸にも涙する。

不幸な令嬢は助からなくては許せない。


このありえないくらいの不幸でもって共感を得るから、

『悪役令嬢』は主人公になれるのだ。

故に。不幸は往々にしてエスカレートするのだが。

ざまぁもね……。



平和的な堕落方法もないではない。

性格、趣向。

それらが特殊であったり庶民的であればいい。

天然だとかどこか抜けているだとか

中身ポンコツだとか。

味覚が庶民寄りとかもいける。

筋肉好きとか魔法フェチとか。

フェチ系はどれであっても有効だ。

あとはコンプレックス。


コンプレックスにも色々あって

姉妹格差兄妹格差なんかも当てはまるかも。

つまり人間らしさを感じられれば良いのであって、

一番簡単なのは、胸を削ってしまえばいい(ひどい)。

それに対してコンプレックスがあれば、

主人公に十分なれるのだから。




5)『悪役令嬢』とざまぁの様式美


本来のなろう的乙女ゲーム的展開ならば、

自分の婚約者に愛されるようになったヒロインを

『悪役令嬢』はいじめ(暴行)を重ね、

やがて学園の卒業パーティで断罪され婚約破棄される。


だが『悪役令嬢』が主役となったならば

根本的な人間関係の見直し等により

断罪を避けるために動くことになる。

もちろんヒロインをいじめたりはしない。

そして婚約者とヒロインにこちらからざまぁをかます。


何故こうなったのか。

それは元々、『悪役令嬢』にこそ正当性があるからだ。


政略結婚という家同士、もしくは王命による婚約は。

契約であり強制でもある。

つまり主体である婚約した当人同士の意思は配慮されない。


その立場にあって、婚約者に近づく害虫を退治するのは正しい。

いわば契約破棄を狙う不逞の輩であるから。


高位貴族である『悪役令嬢』が下位貴族もしくは庶民のヒロインに

命に係わる暴行を加えたとしても

通常ならば罪にはならない。

だって高位貴族だから。

切り捨て御免の世界である。


婚約者とヒロインが真実の愛とかでくっつくのは不貞でしかない。

関係を深める前に、清算するのが本来である。

それをせずに事を進める両人に正当性はないのだ。


そしてまた、婚約者と『悪役令嬢』は

ヒロインと生活レベルが違う。

ただふわふわ恋愛に耽溺している間は良くとも

生活していくのならば、

同じくらいのレベルで生まれ育っていないと

価値観の差が出て来る。

必ず人間関係にヒビが入り破綻もする。


後ろ盾の権力と財力もヒロインは持たない。

愛の名のもとに一旦は努力と愛嬌で乗り越えたとしても

継続は厳しく、また国益もない。

ヒロインが聖女の場合は名目と庶民人気は取れるが

王家の財産は増えない上、

『悪役令嬢』の実家からの支援も支持も失われる。


また、年月をかけて「王妃教育」を受けている『悪役令嬢』と

受けていないヒロインの間には教育格差がある。

金も時間も手間もかけているのだ。

これを無為にし、更に別人に施す?

無駄であり二度手間でしかない。

ヒロインが努力で身に着けたとしても、

今日明日でものになるようなレベルではないのだ。


つまり倫理的にも経済的にもましてや国益を考えても、

ヒロインを選ぶのは悪手でしかない。


ただまあ、人間だからね。

相性だってある。

お互いに不満を抱えながらも納得づくで仮面夫婦やれるなら

それが一番ではあるけれど

幸せかと言われれば微妙だったりするし。

激しい嫌悪感、さらには生理的に無理となると

夫婦となるのは厳しい。


その場合は、破棄するために

相手と周囲を納得させるだけの代替案を用意せねばならない。

損害をもたらす行為であるからこそ。




その損害に目を閉じ、不十分な代替案しか持たず

自己を正義と誤認したまま猛進する愚者。

それがなろう的婚約者とヒロインに与えられた役割だ。

彼らは正論をぶつけられ、「悪役令嬢」にやりこめられる為に存在する。

つまり、「やられ役」を担っているのだ。


実際のリアルな日々は、正しいだけで許されるわけでもなく、

白黒あわせもって成り立っている。

悪くて権力持って成功している人などありふれてさえいる。


けれどそんな現実に生きて疲れた心には

「勧善懲悪」の物語は癒しの薬である。

真の悪よ滅びろ。

愚者はその裁きを受けよ。

受けた屈辱は何倍にもして返す。

物理で、経済で、そして社会的に打ちのめす。

読者の日々のうっぷんを晴らすために。


個人的にはざまぁは、悔しがらせる程度でよいのだが

そしてできれば自分の行為を自覚して後悔してくれれば十分。

けれど過去の所業によっては因果応報とならなければ認められない。

あと地位がね、高いからね。

それだけ責任ある立場だと当然罪も重くなるよねっていう。

でもひどすぎるざまぁには引いてしまって、

そっとページを閉じることになる……。



6)婚約破棄は未来のために


「令嬢」という存在に憧れを持ち、

「悪役令嬢」に惹かれる。


少女漫画でも乙女ゲームでも

そのハッピーエンドは恋愛成就であり結婚だ。

そして「悪役令嬢」のハッピーエンドもまたしかり。


婚約破棄してくるような愚者との先に幸福はあるのか?

否、否、否。


物語やゲームの強制力からの解放は婚約破棄を待たねばならない。

別の相手との未来を掴むためにも、過去の清算は必需である。

婚約破棄はなさねばならない。

しかも相手の有責で。

つまりは通過儀礼としての扱いとなる。


目が覚めた相手との元鞘であっても。

それまで隠れていた第二王子だの他国の王子だのからの求婚であっても

婚約破棄を経なければならない。


あと正直。

一般人な読者からすると、ブラック極まる王族とか

「ないわー」である。


まあ教育は受けているし己の立場を考えたら

王族として生きるのもできるだろう。


傷物扱いで、護衛やら従者やらとくっつくのもアリ。

恋愛はきっぱり諦めて新天地で生きるのも良いだろう。

そのために力を財力を用意しておくとベターである。


「悪役令嬢」が幸せになるために婚約破棄はあるのだ。


婚約破棄が衆人環視のもとで行われるようになったのは、

本来のいじめられていたヒロインが

正当なざまぁによって周囲にも認められるためのもので、

加害者を社会的にも断罪するためにだった。


「悪役令嬢もの」における衆人環視の婚約破棄は、

いまや言質を取るためのものと性質を変えた。

「言ったよね? 言っちゃったよね? もう撤回できないからねー?」

正義がどちらにあるのか、皆に披露しちゃったよね。

やっちまったよね。

こちらに非がないことも証明されたよね?

そもそも高位貴族令嬢の断罪なんて簡単にできるわけないのに。

本当にお馬鹿さんでしょう、皆さま?

よっしゃ、これでわたくしは自由よ!

傷物? 意中の相手を射止めるのに丁度いいわ!

修道院で泣き暮らすとかそんな暇はないのよ。


……悪役令嬢はその本質がたくましくあらねばならない、

をここに付け加える。

すべては明るい未来のために。





番外) ヒドインに学ぶ勝利術


「えっ、乙女ゲームの世界に転生? あたしがヒロイン?

やったー! 一番の推しだけじゃなくて攻略対象はみんなあたしのものよ!

お金も地位もあたしのために用意されてるんだから!

世界はあたしのために! 逆ハーで全ての女を悔しがらせてみせるわ!」


てな感じで暴走して破滅する元ヒロインを称して

俗にヒドインと呼称する。

テンションの高い、お花畑思考が特徴である。


前世から痛い性格であることも多いが。

チート転生でテンションあがってやらかしてしまうのもいる。

後者は救いがあったりもするのだが、

ここで取り扱うのは前者である。


このヒドインに何を学ぶのだと言われそうだが、

少し考えてみよう。


彼女たちは自分の欲望に忠実であり、

かつ目的のために手段を選ばない。

使えるものは使う。

自分の容姿、身体、知識や経験。攻略シナリオ。

自分が堕とした男も駒や踏み台にするのを躊躇わない。

「魅了」とか「強制力」とか、あったら使うだけ。


本来的ヒロインには清純さが求められる。

女主人公となった悪役令嬢もしかり。


なので逆説的存在であるヒドインは、

積極的にハニートラップを実行する。

年齢的に攻略対象者たちもそういうお年頃。

簡単にそういうお店に行ける立場じゃないし、

侍女とかに無体を働けば評判にも傷がつく。

そりゃ、ころっといくんじゃね?

いかないように教育されているはずなんだが。


そんなヒドインに学ぶ?

別に性に奔放になれと言っているわけではない。

でもある時思ってしまったのだ。

実はヒドインって我慢強いんじゃね? って。


いやだって。

俺様系童貞相手なんだから、自分本位の下手くそばっかだと思うんだ。

(逆に言うとしっかり閨教育されていれば、そもそもひっかからない)

それ我慢して歓んでみせるとか、どこのAV女優ですか。


そう。見習いたいのはこの、

「目的のためならば手段を選ばず我慢もして目標に向かう強さ」

なんである。


そしてヒドインたちは知っているのだ。

最上のものは数が限られていることを。


身分、財産、容姿、才能。

そんなものを兼ね備えた存在は稀少である。

稀少であるから価値がある。


普通ならば

手が届かない、既に相手がいる、

釣り合わないから、等で常識的に諦めるところを

ヒドインたちは諦めないのだ。

欲しいものを欲することの何が悪い、と。

略奪愛とかNTRとかは趣味じゃないんで嫌いだが、

その精神力には脱帽するしかない。


そして確かに、そういう手段を取らないと

手に入らない相手という存在を諦めずに欲するならば。

それは確かに奪うしかないだろうと感心するのだ。


結論として。

我慢強く諦めないで努力する。

別に恋愛だけじゃない。

すべてにおいて有効な性向を見出すことができるだろう。


つまり倫理観だとか考えが浅いとか

そのあたりに注意を払って行動できるのならば。

しっかりと計画をたて、味方を増やして、

時には世相すら動かして先を見据えるならば。


単なるざまぁ要員ではなく、成功者になれるんじゃないかなー、

とか思ったのでこの番外を付け加えた。

作中のヒドインは自分本位が強すぎてまず無理だろうと思いつつ。

長文読了ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 最後のヒドイン論を聞いて、 成功出来るヒドイン=マキマさん 成功出来ないヒドイン=パワーちゃん で脳内イメージが浮かびました。
[一言] 私は男ですが、悪役令嬢モノも良く読みます。 悪役令嬢に限らず「頑張ったらその分だけ認められる、幸せになれる」って話が好きです。 苦労して手に入れた結果だからこそずっと大切に出来ると思いますし…
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