[4-18]朝
「……全然、ワクワクしない」砂川さん、ジャージで出発。というかジャージ過ごしやす過ぎて家でも重宝しますよね。オシャレよりも実用性と効率性を求める、そんな4話18節。
――[Day]5/25
――[Time]7:00
――[Stage]砂川家 ダイニングフロア
【兵蕪】「ぐおおぉおおおおおおお!!! 矢張り、今日もパパは、忙しいぃぃぃぃぃごめんよ鞠ちゃあぁああああん!!!」
【鞠】「いいから早く数百人の社員の待つ本社に行けばいいと思います」
【兵蕪】「汐ちゃん!!」
【汐】「はい!!」
【兵蕪】「――頼んだよ」
【汐】「命にかえてもッ、鞠の勇姿は1秒も見逃さず私の眼球と、この8Kビデオカメラにレコしてきます!! 命に替えてもおぉおおおお――!!!」
【鞠】「何故命に替える」
いいから早く食えや。
……ってこのメイド普通に附いてくる気じゃん。うっわ……
【汐】「えへへ~楽しみだなぁ、やっっっっっと紫上会会長の姿の鞠が拝めるぅ~~~~(もぐもぐ)」
【鞠】「……せめて普通の服を着てくるように」
――[Stage]茅園家
【璃奈】「にー!!」
【瑠奈】「にーちゃん!」
【深幸】「ん……起きてたのか、璃奈、瑠奈」
玄関で靴を履いていた俺を呼び止めたのは、いつもならまだ寝てる時間の弟たち。
【璃奈】「にー、がんばって!! たのしみ、してる!!」
【瑠奈】「にーちゃんなら、ゆーしょう、まちがいなし!!」
【深幸】「嬉しいこと云ってくれるじゃねーか! わざわざソレ云う為に起きてきたのか? へへっ――」
いいね、最高のエネルギーが充電された。
二人の頭を撫でながら……再度、言葉にしよう。
【深幸】「ああ。俺が――俺たち、白虎チームが勝つ!!」
【母】「去年の3倍くらい燃えてるわねー深幸」
【深幸】「そりゃそうだぜお袋。俺は紫上会のひとり! 負けず嫌いの最高峰ばっか集まってるんだからな」
【母】「なら、その最高峰の煌めき……松井くんたちと一緒に皆に見せてあげて。9時半ぐらいに行くから」
【深幸】「りょーかい。んじゃ――」
靴を履き、立ち上がり……扉を開ける。
【深幸】「――いってきます!!」
【璃奈&瑠奈】「「いってらっしゃい!!」」
ここから先は、もう本番だ!!
――[Time]8:00
――[Stage]霧草区
【汐】「はい。とーちゃく~」
いつもの危なげしかないドライブテクニックを駆使して、いつもの場所に停車。何も思わなくなってきた私が一番危ないのかもしれない。
とまあ、テキトウなことを考えながら愛すべきシートベルトを外し、鞄を持つ。
【汐】「この車を置いたら、私もすぐ紫上学園に向かいますね」
【鞠】「迷子になってればいいと思います」
【汐】「完全に場所暗記してるので問題ありません」
チッ。
【鞠】「では――」
【汐】「鞠」
……また話しかけられた。時間に余裕はまだあるが、学生にこの姿を見られたくないので早く降りたい。
【鞠】「……何ですか」
【汐】「この前は、すみませんでした」
【鞠】「――え?」
……謝罪?
【汐】「ちょっと、強く云い過ぎたかなと……一応メイドの立場で、あるまじき口調を」
【鞠】「…………」
一応って……貴方は本分メイドでしょうが。
それで、えっと……多分あの時のことを云ってるのだろう。
……………………。
【鞠】「……何のことですか。貴方との会話なんて、いちいち覚えてません」
めんどくさいから、もう外に出た。
【汐】「……本当困った、妹ですねー……ふふっ……」
【鞠】「……あ」
【深幸】「お……」
何かそうしたくて早歩きした先で、今度はコイツだよ。
朝っぱらチャラ男というのは、最近後輩コンビよりも頻度があるので慣れてきたかもしれない。屈辱。
【深幸】「んな屈辱みたいな顔してないで、行くぞ長距離担当」
顔に出てるのか。じゃあ結局慣れてはないか。安心。
【深幸】「どーよ、今日の調子は」
【鞠】「平常」
【深幸】「なら、長距離は白虎が貰ったな。俺も最高に調子が良いから、ダンス応援は任せな」
【鞠】「テンションが上がってるのはよく分かります」
……って、何で普通に会話始めちゃってるんだ、私。
うむ……慣れてはないが、何か変なことになっている。恐ろしい。
――[Stage]紫上学園 正門
更に恐ろしいことに、正門で敵が増える。
【笑星】「あ、鞠会長!! おはよう! 茅園先輩もおはっす!!」
【邊見】「おはようございます~」
【深幸】「うっす。今日も元気だなぁ。調子はどーだ?」
【笑星】「いくら茅園先輩でも、今日は気安く話しかけちゃダメだよ~……何てったって、今日は俺たち、敵同士なんだから!!」
【深幸】「じゃあ何で笑顔で挨拶してきたんだお前」
【邊見】「ちなみに僕は朱雀チームなので、えっちゃんとも敵同士~」
【笑星】「……そうじゃん!?」
本番だろうと関係無くコイツは莫迦だった。
【笑星】「何にせよ、今日は俺も心を鬼にして、頑張って会長を倒しちゃうんだからな~!!」
【邊見】「まだお医者さんが赦してないけど、僕も頑張ろ~」
何故私個人?
あと邊見は頑張るな。
【信長】「会長! おはようございます! 深幸に笑星も!」
【四粹】「おはようございます」
更に増えた。注目を浴びるからやめてほしいホント。
【笑星】「玖珂先輩! 今日は一緒に、会長倒そうね!!」
【四粹】「え……? いや、そういう闘いでは、無い気が……」
【信長】「深幸、調子はどうだ?」
【深幸】「最高のコンディションだぜ、信長。お前も気合い入れてきたよな?」
【信長】「……勿論。勝ちに行く時の俺の気合いの入りようは、お前が一番知ってるだろ?」
【深幸】「俺と信長、あとついでに化け物会長が揃った白虎が今日は六角先輩も蹴散らすぜ!! ふふふ……ははははははは!!!」
ほんとこの人今日はテンションおかしいな。朝何があったんだろう。あと化け物会長はやめろ。
そしてもう正門から移動しようよ、注目浴びすぎ。
【邊見】「皆も教室に、椅子取りに行くんですか~? あと荷物置きに~」
【四粹】「いえ、我々はもとより特別な席に固定されていますので。椅子も用意されています」
【深幸】「ついでに云えば昼食までな。確か、素麺弁当?」
【信長】「クールBOXから取り出して即食べれるものが色々用意されている」
【邊見】「そっか~じゃあ僕、教室行ってますね~」
ということで、紫上会面子はそのままグラウンドへ向かうことになる。
まだ2ヶ月も見慣れてないグラウンド……その日常の姿に比べて飾り付けられた、祭りの舞台へ。
【鞠】「……全然、ワクワクしない」
私は足を着ける――
作者は窮屈なの苦手です。




