[4-1]野望が始まる
「あんの、芋女だよなぁ……」深幸くん、とある朝の風景。今のところ良いところ全然無いチャラ男ですが、何とか好感度を上げてほしい4話の始まりです。その1節。
【弟】「あれ、にーちゃん、どこいくのー?」
靴を履いていた俺を、後ろから弟が呼び止める。
それに続いて妹もやってくる。
【妹】「にー……? おでかけー? りなもいくー!」
【深幸】「学校行くんだよ。ちょっとお仕事があってなー。だから璃奈は附いてきちゃダメだー」
【璃奈】「むー」
【瑠奈】「おれはー?」
【深幸】「同じくお留守番よろしく」
【瑠奈】「むー」
【母】「ほらほら、お兄ちゃんを遅刻させないのー。紫上会のお仕事?」
【深幸】「んー……まあ、そんなところかな」
【璃奈】「にー、おやすみなのに、おしごと?」
【母】「偉い人は、休日出勤が基本なのよー。パパしかり、お兄ちゃんしかり」
【深幸】「社会の現実唐突に教えないでくれない?」
……ていうかホント、そろそろ行かないと。
【瑠奈】「にーちゃん、えらいひと! さっすがにーちゃん、キラキラしてるー!」
【深幸】「俺はそこまでじゃねーよ、瑠奈ぁ。もっと凄い奴が、紫上会にはうじゃうじゃ居るんだぜー」
【瑠奈】「ヒーローいっぱいいるの? すっげえ、おれもみたいなぁー!!」
【深幸】「なら、今度の体育祭で見れるぜ。楽しみにしてな!」
【璃奈】「うん! いってらっしゃい、にー!」
【瑠奈】「いってらっしゃーい!!」
……やべえ、本当に可愛くて仕方ねえぜ、あの双子。
そしてそんな2人が、俺が紫上会に居るのを滅茶苦茶喜んでいる。どういう組織なのかとか全然分かってないだろうけど、事実2人が笑顔になるなら俺も頑張ってよかったと思う。
【深幸】「……笑星みたいな才能は、俺にはねえからなぁ」
器用な方だとは思うけどな。俺は何かで飛び抜けているわけじゃない。だから俺は――煌めき照らすヒーローにはなれない。
信長はそんなことないとは云うが、ヒーローのアイツが云っても説得力は無い。こういうのはきっと、先天的に決まるのだから。
でも、それで全然構わない。俺にとって大事なのは、そんな凄い奴らを特等席で見れることなのだから。俺は、信長の親友でいれて本当に幸せだと思っている。
……ただ。不満を云うならば。
【深幸】「あんの、芋女だよなぁ……」
紫上会の頂点に座したのは、信長ではなく――砂川。あの芋女だ。この悲しい事実は、俺にとってなかなか無視しがたい問題なのだ。
アイツは確かに、凄い。認める、めちゃ凄い奴なのだ。
だけど――凄ければ、いいってものじゃない。人の上に立ち照らす者というのは、当たり前だろう、勉強できればいいってわけじゃないし仕事できればいいってわけでもない。
アイツには――照らす為の煌めきが、どう見ても足りない……!! どよ~んとしてる!! ホント芋!!
【深幸】「絶対……泡とか吹かしてやるからな」
もう会長なのは構わない。だが、いつまでもあのままでいられると思うなよ。
お前が勝者なのは構わない。だが、お前が全てにおいて勝っていると思うなよ。
お前は決定的に欠けている――それを、今度の体育祭で思い知らせてやる。
【深幸】「お前なんかより煌めいてる奴は、この学園に沢山居るんだからな――!!」
深幸くんは着色が一番楽しい。




