[3-19]いざ進め!
「こんにちはー!! こんにちはー!!」笑星くん、ひた走ります。作者は攻守交代を肯定する派な3話19節。
【笑星】「よっし……頑張るぞ――!」
まずは、マイナスな信頼を何とかしていかないといけない。
……前は、心が折れそうになったけど。もう挫けない。俺は、絶対に、紫上会なんだから。
皆にそれを、分かってもらおう――そのために、
【笑星】「こんちわーーーー!!」
挨拶回りだ!!!
【学生】「「「……!?」」」
【笑星】「どうも! あ、何か困りごととかない? 何でも云ってね、俺に!! 他の人でもいいから!!」
【学生】「な……何だ、いきなり……」
【学生】「アイツ、何やってるんだ……?」
元々目立ちやすい性格をしてるのは、自負してる。
しかも俺は、紫上会の弱点のような存在だから……尚更に、皆が俺を見てるだろう。
だけど、俺は弱いかもしれないけど――弱者では、ないんだ。
【笑星】「こんにちは!! 皆――これからも、よろしく!!!」
勝者として、これからは揺るがずに、走って行く!!
砂川会長みたいに!!
【笑星】「……これくらいなら、真似ても、いいよね……?」
……。
…………。
……………………。
【笑星】「よし、今日も頑張るぞー俺!!」
【学生】「……また、居るぞアイツ……今日土曜だけど……」
【学生】「紫上会っていうならまだしも……挨拶回りを普通休日にやるか……?」
流石俺、一日で彼方此方話題になってるようだ。
「「「何か雑務が変なこと始めてる」」」
「「「一人で勝手にやってるんじゃないか? 紫上会全体は認識してるのか?」」」
「「「たいした実力も無いのに」」」
【笑星】「上等……! 最初から全部上手くいくんだったら、つまんないやい……!」
壁なら、今までだって沢山あったんだ。
挫けそうになったこともあった。でも……邊見や姉ちゃんに助けてもらいながら、全部、越えてきたんだ。
だから、これからだって、そうしてやる。
【笑星】「こんにちはー!! こんにちはー!!」
【学生】「……おう……」
【学生】「全力疾走で挨拶しなくてもいいんじゃ……」
【深幸】「おぉおおおおい置いてくな笑星いぃいいいい!!!」
【信長】「野球部に欲しい走力だな……!!」
【学生】「おいアイツ先輩2人引きずり回してんぞ!! もうこれ報告だろ!!」
【学生】「つってもなぁ……もう、何か、なぁ……」
【信長】「……?」
【笑星】「……お!? 何だあれ?」
――しばらく外を走っていると、視界の彼方此方に、ひらひらと舞う何かが。
【女子】「ちょ……待ってーーー!!」
そして、叫ぶ女子。
【深幸】「あれは……紙か? 風で飛ばされたか――」
【笑星】「先輩、手伝って!!!」
【深幸】「は?!」
東西南北、そよ風に任せて気儘に空を流れていく紙さん達を捕まえる闘いが始まる!
【笑星】「あと少し、あと少しこっちに――あーーーまた風吹いた飛んだぁああ……俺に校舎を横走りする力があればッ……!!」
【深幸】「どんな後悔だよ!! そんなの出来る奴いねえよ!! ……っと、1枚ゲット!」
【信長】「ハッ――!! 3枚……あと何枚か、分かりますか!?」
【女子】「い、1枚、です――!」
ってことは、あれだ。俺の視界にひらひら映ってるやつだ。
よーーーーし……
【笑星】「どらあぁあああああああああ……!!!(←壁走り)」
【深幸】「やりやがったよ!?!?!?」
よし、どうやってこんなことになってるのか分かんないけど、今なら……届く!
【笑星】「――ったあ!!」
重力に落とされる前に――校舎の壁を蹴って!!
宙に舞うラスト1枚の紙を、掴み取る!!
【笑星】「やったあ!!」
そして――
【笑星】「……あ」
――落下!!
【笑星】「うわああああああ!?」
【深幸】「無茶し過ぎだっつーの!!!」
……したところを、先輩がキャッチしてくれた……。
流石にあの場所から、尻餅を着いたとしたら……俺も入院してたかもしれないかな……。
【笑星】「我ながらまた無茶をしてしまったぜ……」
【深幸】「格好付けんな莫迦!」
怒られた。
でもまあ、これで困り事、解決だ。
【笑星】「はい、これ!」
【女子】「あ……ありがとう、ございました……これで、皆と共有できます……」
【深幸】「ていうか抑もこの紙何だ? 何書いてんだ――」
【笑星】「あ、俺も興味あるー――」
【女子】「あ――」
覗いてみた。
漫画みたいだった。
風で飛んだ所為でページはバラバラになってるけど、取りあえず真っ先に見えたのは、凄く松井先輩に似てる男の人とそこはかとなく茅園先輩に似てる男の人がチューしてるシーンだった。
【笑星】「あ……!! 松井先輩と茅園先輩だーー!! すっげーーー!!」
【信長】「は……!? お、俺……? 俺がどうかしたのか?」
【深幸】「な……ななななな……何じゃこりゃああぁあああああああ!?!?」
【信長】「!?!? どうした深幸!?!?」
【深幸】「い、いや、何でもない!! 何でもないから、お前は絶対見るな信長!!」
【信長】「絶対何でもなくないだろ……!?」
【女子】「あ……あわわわわ……」
【深幸】「オイ……コレは、どういうことだ……ッ? 説明してもらおうかー??」
【女子】「ち、違うんです、これ……カップリングです……! 紫上学園カップリングランキング2年の部、堂々の第一位なんです……!?」
【深幸】「そういうことじゃなくて!! いや、それも意味分かんないんだけど!! 何だ……この学園にはまだ、闇が潜んでるのか……?」
【信長】「カップリング……? 俺と、深幸が……? ダメだ、まだ今ひとつ分かってこない――」
【深幸】「頼む、手遅れになる前にお前は一旦黙っといてくれ……(←頭痛)」
【女子】「……ご……ごめんなさい……」
……何か、困り事を解決した筈なのに、何故かシュンとしてしまっている。これは、解決してないってことなんだろうか。
もっと……この人の助けに、なれるだろうか。
ううん――なる。俺は、兎に角、動かなきゃ。何でもいいから、何か……こういうとき会長なら……
【笑星】「(そういえば……会長は、凄く情報集めるの、得意だったよね)」
監視カメラとか盗聴とか……俺にそんな技術は無いけど、情報は全ての基本ってやつだよね。
じゃあ、取りあえず……えっと、
【笑星】「ねえ、ソレ、よかったら俺にも見せてよ?」
【女子】「――え?」
【深幸】「……はい?」
【笑星】「俺、興味あるんだ! 勿論、ダメだったら全然いいけど……」
【女子】「き、興味が、お有りなの!? ど……どうぞ――?」
ページを整理して、漫画……の原稿ってやつなのかな、それを手渡してくれた。良かった、俺の信頼ってマイナススタートだから、断られても仕方無いって思ってた……。
この人が一体何に困ったのか、これを読んで何かヒントを掴めるだろうか――
読書、開始――
【笑星】「……ふむふむ……」
【深幸】「…………」
…………。
【笑星】「……え――!? そ、そんなことしちゃうの……!? お……大人だぁ~……!」
【深幸】「!? そんなことって何!? 何が大人!?」
…………。
【笑星】「……!? ふぇえ!?!? そ、そんなトコに……そんなトコに――おぉおお……ち、直視、できない……ッ小っ恥ずかしいよ!!」
【深幸】「そんなトコ!? 直視できない!?!?」
…………。
数分で、読み終わった。
【笑星】「……ふぁ~~~~……」
凄く、身体がポカポカする……。
……凄え……――
【笑星】「凄え――こんなに熱くなった漫画、見たことねえ!!」
【深幸】「熱い!?!?」
【信長】「何だ、漫画だったのか。どんな内容だったんだ?」
【笑星】「松井先輩と茅園先輩が、笑顔になってた!!」
【深幸】「EGAO!?!?」
【笑星】「これ、描いたのって?!」
【女子】「えと、漫画部です……シリーズものなんですけど、その回は、私が担当しました……その、どう、でしたか……?」
【笑星】「凄く良かった! と、思う!! やっぱり笑顔を見ると、こっちも不思議と幸せになっちゃうよ!」
【女子】「ほ、ほほほホントですか!? 女子は兎も角、男子に賞賛されるだなんて……堊隹塚くん――私、ちょっと貴方のこと、誤解してた……!! 貴方は、凄い子だよ……!!」
【笑星】「え? そ、そう? 普通に良かったけどなー……身体が熱くなったし――」
【女子】「熱くなった」
何か不思議な人だったけど、取りあえず握手を交わせた。
……さっきまでの困り顔は、もう無くなっていた。解決、したのかな? 結局よく分かんなかったけど、それならそれで良いかな。
一歩前進、できたかな。会長?
【女子】「と、ところで堊隹塚くん……その、よかったら、漫画部に顔、出してくれないかな……? 男子で読んでくれそうな人って、貴重だから。男子の意見も聞いてみたいなって――」
【笑星】「お、困り事がまた出てきた! 良いよ、俺にできることなら、何でも任せて! 俺じゃ不足なら――茅園先輩と松井先輩も連れていくから!」
【女子】「!?!? ――堊隹塚くん……」
【笑星】「?」
【女子】「漫画部は、貴方を全面的に応援することをここに誓います――(←涙)」
【笑星】「え、マジで!? 嬉しい!! ありがとう、俺も漫画部、応援するよー!! ね、先輩!!」
【深幸】「――――――――」
【信長】「……深幸……? 大丈夫か……? おい、おーい……?」
友達曰く作者は受け一択だそうです。そんなことないはず。




