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砂川見聞録  作者: ぢだぱぢぴぢぱぢ
3話「砂川、裁く」
53/336

[3-17]屑

 「貴方は……野蛮なんてものじゃない」砂川さん、因縁の相手と決着をつけます。決着はつけるけどもうちょっと続く3話17節。


挿絵(By みてみん)




――[Stage]紫上学園 グラウンド




【笑星】「― 紫上会、雑務――堊隹塚笑星だぁあああ!!! ―」


 ……………………。


【秭按】「……吹っ切れたわね。完全に――」


 学園内には、まだ多くの学生が残っていただろう。


 だから、折角だし、全員に聞かせてやろうと思った。


 迫真の言葉たち。これを聞けば、莫迦共も夢が醒めるだろうと思ったから。


【鞠】「……ただまあ」


 本格的に明日からまた、私が附き纏われそうなのは本当、夢であってほしいのだけど。


【鞠】「じきに、何があったのか全学園生が知ることになるでしょう。どうして彼が、あんなに叫んだのか。誰が、階段から人を突き落としたのか」

【冴華】「ぁ――ぁぁぁ……」

【鞠】「監視カメラと音声データを使えば、ね」

【冴華】「ウアァアアアアアア……!!!??」


 何か、この前見た時よりも壊れているご様子だ。


【鞠】「具体的にどんなデータが今私に揃っているかというと、まず……貴方が雑務に接触し、貴方が面白いことを唆していた音声データ」


 アレが収穫できた時点でもう詰みだった。盗聴器が建物ではなく、人に仕掛けられていることに気づき対策できなかった時点で破滅は確定していた。まぁそんなの対策しようもないとは思うけど。


【鞠】「それから、何だか憤っている様子の邊見聡に掴みかかり、その揉み合いの末に邊見が階段から落下していく、監視カメラの映像および音声データ」


 彼に付着させておいた盗聴器は、恐らく階段から落ちた拍子に段差にぶつけたのだろう、壊れちゃったようだ。しかし音声データは録音できた分即刻アルスに保存がされていたので、無事残っちゃっている。あの場で一体何が起きたのかは、誰もが視聴して確認することができるようになる、ということだ。


【鞠】「どうして邊見が憤っていたかについては、2つの音声データを使えば簡単に推測ができます。貴方はクーデターを起こすにあたって、実力試験の不平等さに注目した。今回は随分と、体調の悪い人が多かったから」


 特にそれで1年生の有力候補が悉く脱落した。この理不尽に加えて……


【鞠】「更に私の存在によって、勝者にもかかわらず紫上会入りのできなかった邊見聡も、彼が現雑務と共に紫上会を目指してきた背景を考えれば非常に理不尽に巻き込まれた被害者、と解釈できる」


 これらの要素を使い……


【鞠】「最も色々と貧弱な現雑務をターゲットにして陥れ、紫上会の内部崩壊を狙ったんでしょう。立て直しが困難と見極められれば流石に学園も黙っていられなくなる、そう祈って」


 そうなれば、一つの可能性が更に出現する。


【鞠】「雑務が退会意思を発表するどころか、ガバガバ過ぎた実力試験が、もう一度実施されるかもしれない。というかソレを主張して押し通すつもりだったんでしょうけど」


 私を崩せないなら、抑も私が頂点に座してしまった現実を無かったことにすればいい。それはすなわち、試験のやり直し。


 まあそれに希望を抱けるのは、私がカンニングをして全教科満点を取った、と信じ込んでるからだ。つまり、今回の足掻き(クーデター)が成功したところで、大して私にはダメージが来ないのだ。だって私はまた会長になるのだから。


 ほんと、最初っっから、無駄な反抗ということなのだ。


【鞠】「とまあ、貴方がたの理想はそこまで行くことでしたけど、そうなるには邊見聡と雑務を籠絡しなきゃいけない。実力試験があまりに酷い環境で行われたのだというアピール込みで」


 だけど、失敗した。


【鞠】「他人の心理に踏み込み乱し、他人を自分の意のままに操るのが好きみたいですけど……大事なところで失敗しましたね。まあ、失敗するよう私も仕向けたからかもしれませんが」

【冴華】「ッ――!?」

【鞠】「どこを衝けば効果的なのか、貴方が分かるんだったら私も分かって当然なんですよ。邊見聡を利用することだって、雑務を操ることだって、予想の範疇なんですよ。彼の大怪我はお互い心外でしょうが」


 高度な情報戦とか誰か云ってた気がするけど、私からすれば、ただの遊びにしか思えない。兎も角、だ。


【鞠】「いいですか? ……貴方は逆に、私の手のひらの上で暴れ回ってただけなんですよ」


 これで、分かっただろう。思い知っただろう。


 どっちが強者でどっちが弱者か、ハッキリと。


【冴華】「な――何で――どうして!? 私は、この学園で、紫上会に入るほどの強者の筈なのに――どうして貴方なんかにッ!?」

【鞠】「それは去年の話でしょう? もう年度変わってるんですよ。貴方に、栄光なんてもう残ってない」


 敗北者で、弱者――いやそれ以前に。


【鞠】「貴方は間違いなく停学処分、上手くいけば退学処分……そのさじ加減は、全てこの私が支配している」


 プライドというものが壊れた所為で、正常な道徳倫理のバランスも保てなくなった、愚かな獣。


【鞠】「貴方は……野蛮なんてものじゃない」

【冴華】「――!!」

【鞠】「ただただ、最低な屑ですよ」


 ある意味、色々教えてもらった気もするけど。


 この人の所為で全て始まったようなものなので、矢張り私に慈悲を汲む理由がない。


【冴華】「お前が……お前が来たからあぁああああ!!!」

【鞠】「…………」


 パチン、と詰めかかってきそうだった顔を、1発叩いた。


【冴華】「――――」


 膝を崩し、そのままゆっくり倒れ込んだ人間を見下して、私は――決着を悟った。


【鞠】「触るな。汚い」


 さようなら、屑。




 作者はライバルと決着つけることなく距離ができてしまいました。寂しい。

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