[1-0]プロローグ
「――大っ嫌い……」ちょっと陰湿な女の子・砂川さんの物語がいよいよ始まります。全10話と聞けば短い気もしますが、一応スピンオフですしね。これから宜しくお願いしますな1話0節。
――酷い人だった。
【???】「今……今、ね……? お姉ちゃんは、ね……?」
あんなにお姉さんぶりたがってた癖に。
折角、妹になってあげた私のことを、まるでもう忘れたかのように。
【???】「幸せ……なんだぁ――」
そんなことを、云った。
私のことを、何にも考えないで。
それどころか、目の前の、貴方が一番大切な人さえも、傷付けて。
あの人は、勝手に。
幸せになってしまったのだ。
――[Stage]???
【鞠】「……私ね、お姉ちゃん。転校、するんだ」
もう何度目か分からない、訪問。
緑に囲まれた木々を越え、登った先に現れる小さな小さな丘。丁度良く木々が開かれていて、其処からならこの自然香る町を、私たちの学園を見下せる。
……気付けば、私は此処でいつも、この……寄り掛かるには大きさが足りない石に、静かに抱き寄っていた。
だけど、その行為も、もしかしたらこれが最後かもしれない。
【鞠】「凄いでしょ? 夜逃げとかはあるかもしれないけど、正式に彼処から別の所に移るだなんて……きっと私が初だよ」
時に甘く、時に白く染まったこの町は、危険だった。
だけどこの町には、あの人が居た。
貴方が居た。
だけど、私は……この町を出て行く。
逃げる、かのように――
【鞠】「…………」
不思議で、ぽかぽかしていて……夢のような日々。今となっては本当に、夢だったのかもしれない、過去。もう絶対に訪れることのない記憶。
【鞠】「……お姉ちゃん――」
それは現実の、残された私に何を見せているのだろうか。
【鞠】「――大っ嫌い……」
私は、これから先、何を見ていけばいいのだろうか。
HPの方のビジュアル要素には期待しないでくださいませ。