[3-3]話を聞いて!
「違うっ! 違うんだ、皆、俺の話を聞いて――」笑星くん、悲劇に見舞われます。政治家は大変だよなぁとか思いながら一気に書き上げました3話3節。
「はあ? 何でお前なんか予算を決められなきゃいけねーの?」
……云われたことは、そんぐらいだった。どこの部活でも、同様だった。
【笑星】「……クソッ、このままじゃ……」
俺は……皆の役に、立てない。
役に立てなきゃ……紫上会の意味が無い。
俺は――紫上会に……
【笑星】「ッ――まだ、仕事は残ってる! しっかりしろ俺!!」
折角、手に入れた仕事なんだ……絶対、成果を残してみせる!
そうすればきっと、先輩から仕事を貰える……俺を紫上会で、活躍させてくれるかもしれないから――
【学生】「お、おい!! 見たか!? グラウンドの倉庫が!!」
【学生】「大変だ!! グラウンドの倉庫が……」
【学生】「酷い……あんなこと、誰が……」
【笑星】「――?」
何か、不自然に騒がしくなってきた。
不穏な空気。どうやら、グラウンドの倉庫に何かあったらしいけど……
【笑星】「……!! 困りごと!!」
困りごとは……紫上会にお任せ! だよな!!
何かよく分からないけど、兎に角その問題を解決できれば、紫上会の――俺の評価に絶対繋がる!!
【笑星】「よし!!」
……。
…………。
……………………。
――[Stage]紫上学園 グラウンド
【笑星】「――――」
校舎周りはざわついていた割には、今此処には俺しかいなかった。静寂が、俺の視界に映ったソレをより現実のものと強調するかのようだった。
グラウンドの端には、主に体育の授業で使う資材を収納した小さな倉庫が3軒建っている。そのどれもが、丸太小屋。噂ではプレハブ形式で学生が組み立てたとすら云われてて、注目はされないけど愛されてもいる、景観の一つ。
そんな倉庫のひとつに――落書きがされていた。
スプレー缶だ。黒や青のスプレーで、ポップな文体で……「死ね」と……
【笑星】「誰が……誰が、こんなことを――!」
よく見ると、スプレー缶が転がっていた。
落書きした挙げ句、不法投棄だなんて――
【学生】「――何だこれ!?」
転がっていたものを拾ったのと殆ど同時……後ろから叫び声が聞こえた。
学生が、集まってきていた。先までの不思議な静けさが嘘だったかのように、今度は逆に騒がしくなって――
【学生】「お前が……お前がやったのか!!!」
【笑星】「――え?」
――気付いた。
確かに、皆が何に騒いでいるのかといえば、確実にこの落書きであるけど。
今その酷い落書きの倉庫の前に……スプレー缶を拾った俺が居るということを。
皆の眼には、俺がどう映っていたか。
【学生】「堊隹塚……お前、何てことを――!!」
云うまでもなく――「犯人」。
【笑星】「ち、違っ――!? 俺も今、来たばっかで――」
【学生】「この小屋がどんだけ愛されてきたものか知らないの!? 先輩たちが一生懸命に、後の世代の役に立つようにって建ててくれたものなのよ!? それを……落書きだなんて――!!」
【学生】「死ね……って――分かったぞ、お前……逆恨みか!! 巫山戯んな!!」
【笑星】「違うっ! 違うんだ、皆、俺の話を聞いて――」
どんどん、騒ぎが大きくなる。
人が集まっていく。
俺を囲んで……俺を、非難する……。
【学生】「紫上会が上手くいかないからだろ!! お前が俺たちの信頼に値しないからだろ!! だから、その腹いせに、俺たち学園生にとって大事とされている此処を!!! それでも紫上会か!! 恥を知れ!!」
【学生】「そもそも、お前が悪いんだろ! 実力も無いくせに紫上会入りして、そんな奴が信頼されるわけねえだろ!! 全部、自分で蒔いた種だろうがよ!!」
【学生】「それで最終的にはこんな事までやらかして……心底残念だよ。堊隹塚……お前に、紫上会の資格はねえよ」
【笑星】「……聞いて……俺の、話を……――」
【学生】「「「辞めろ!! 辞めろ!! 辞めろ!!」」」
【笑星】「――聞い…てよ……――」
【学生】「「「辞めろ!! 辞めろ!!」」」
……誰も、俺を信じてくれない。
俺はやってない。やってないんだよ。俺がそんなこと、するはずないんだ。だって、こんなことしたって……誰も幸せにならない。誰も笑わないじゃんか。
【学生】「「「辞めろ!! 辞めろ!!」」」
俺は、「笑星」だから……皆を笑顔にできる、そんな俺に、憧れて……
【学生】「「「辞めろ!! 辞めろ!!」」」
……………………。
【笑星】「……俺に……」
紫上会の……資格は――
【鞠】「……無能ですか、貴方は」
作者は面倒くさくなると冤罪も受け容れるタイプです。




