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砂川見聞録  作者: ぢだぱぢぴぢぱぢ
6話「砂川、憑かれる」
181/336

[6-45]目覚め

 「云ったところで、どうしようもないってことは、思い知ったよ」砂川、目覚める。あとは消化試合的なノリの6話45節。




――[Day]8/19

――[Time]11:00

――[Stage]十字羽大学附属病院




【鞠】「――ッ……?」


 ………………あれ……。


 んん、あれ……?


【鞠】「ええ……?」


 えっと……


 ……………………。


 あれえええええ??


【鞠】「此処、どこ……何が何だか――」

【笑星】「うわあああぁあああ起きてるうぅうううううう――!!!?」


 真横からの奇襲で右耳、大ダメージ。


【笑星】「あっ、ごめん会長! えっと……お、お医者さんだ! お医者さん呼んでくるね!! 待っててー!!」


 耳を押さえて静かに悶えてる混乱しきった私を置いて雑務は走って行った。


 ……まあ、お陰で意識はすっきりしましたけど。あと大半の記憶も。


【鞠】「あー、そっかー……」


 何か、助かったぽい。


 ……本当に?


 手をグーパーとして、足を布団の中で上下に動かして……自分の思っている通りに身体が動くことを確認する。


 最も恐れていたことも……今のところは、顕現していないと見ていいのだろうか。


【鞠】「ん……」


 ドドドドドドドドド――


 ヤバい、何か凄いのがこの部屋に迫ってきてる。隠れた方がいいのかな。


【深幸&信長】「「会長ぉおおおおおおおおおお!!!」」


 ってお前らかい。


 ここ病院じゃないの? そんな音立てて走ったら出禁にされるんじゃないのかな。


【杏子】「野郎共出て行け、診断する」

【鞠】「え、何でいるの……」


 貴方保健教諭ってだけでお医者さんではないでしょう。


【杏子】「リアクションは鋭敏。意識はハッキリしてるみたいだな。ちょっとオペをノリで手伝ったらすっかり信頼されてしまってな。人手も丁度足りてないから代わりにやっておいてくれと頼まれてな。因みに此処は十字羽大学のとこだ」

【鞠】「…………」


 最高峰の病院がそんな秩序に欠けた要請してて良いんだろうか


【杏子】「私の事はいい、それよりお前だ。黙って私の云うとおりにしていろ」


 診断が始まった。


 ……ていうか、十字羽大学ってことは確実に此処、中央大陸じゃん。


 私は……帰ってきた、のか。


 最悪な形で、あの島を後にした……そんな感じだ。


【杏子】「……驚くべきことに、私の眼からは異常を感じられないな。井澤を思わせる快復力だ」

【鞠】「え? 嘘でしょ、私死にかけてたんですけど」

【杏子】「玖珂たちの証言を聞く限りだと、確かにそうだったらしいな。玖珂は右脚を骨折するという大怪我を負っていたが、お前の場合は大胆な骨折はしてなくても彼方此方に深い傷があった。特に、頭蓋骨の罅と……」

【鞠】「ッ……」


 喉を触ってきた。


【杏子】「悪魔のような奴に、首を傷付けられた、というところは極めて致命傷。実際にお前を保護した時、大きく破れた喉から多量出血している跡が見受けられた。あれでよく死ななかったと思うし、1日程度経った時点で殆ど完治していたのは逆に異常だな」

【鞠】「…………」

【杏子】「云ったところで、どうしようもないってことは、思い知ったよ」


 今度は、頭を。


 先生はきっと、1年前を思い出しているのだろう。


【鞠】「……私も、分かりました。呪いってこの世に本当にあるんだなって」

【杏子】「…………」


 手が離れた。


【杏子】「……井澤妹ら、真理学園生徒会は既に帰還した。因みに今、19日だ。お前はまさに三日三晩眠っていた。可能であれば起きるまで滞在したいと云っていたが、残してきた湿倉と鬼頭も心配だったからな」

【鞠】「亜弥ちゃんは、無事なんですね」

【杏子】「お前が護ったから、な。重傷は特に無くて、私もホッとしたよ。これならまあ、井澤に殺されずに済むだろう」


 先輩との約束。


 何とか、破りきらずに済んだ……かな。


【鞠】「……あれ? じゃあ、何で先生残ってるんですか」

【杏子】「……意識の戻ってないお前を残して帰っても殺されるかもしれないからだ……」

【鞠】「ああ……」

【杏子】「それに、元々私は他にもやっておきたい事がいくつかあってな。折角だ、それを消費してから戻るつもりでいる。さて……あとは此処の医者たちに任せても大丈夫だろう。私はもう行く」

【鞠】「あ、はい。その……ありがとう、ございました」

【杏子】「……砂川」


 去り際、一度だけ振り返り先生は云った。


【杏子】「お大事に」


 諦めの吐息と共に。


【鞠】「…………はい」


 それに対し、私も随分心の籠もってない返事を返したのだった。





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