[6-29]学校紹介
「きっとコレが、合宿の意義……私も、皆さんと共に闘います……!」生徒会、一致団結します。新キャラの方々は覚えられなくても全然結構な6話29節。
――[Time]8:45
――[Stage]ミマ町村部 役所
今日もホールに集まりました。
しかし昨日とは空気は全然違くて……明確な、熱気が充満していました。
【苺花】「あ……暑い……いや、熱い……?」
【亜弥】「熱中症ですか? 休まれますか?」
【苺花】「ううん、大丈夫……多分そういうのじゃないから……あと、亜弥ちゃん、どうして双眼鏡持ってるの?」
【亜弥】「無論、鞠さんを観察する為です」
【苺花】「何でそんなことするの……? というか砂川会長さんを観察するにしても、双眼鏡は要らないんじゃないかな……」
【亜弥】「そんなことはないと思われます。だって、ほら。皆さん持ってますよ、双眼鏡」
【苺花】「何で!?!?」
持ってるのは、女子だけのようですけど……
【女子】「おかしいわ……四粹様の彼女が、あの人なんて……」
【女子】「四粹様の上に座す立場、恐らく優秀なんでしょうけど……」
【女子】「もしかしたら四粹様、命令されて……逆らえなくて? だとしたらパワハラじゃ……!」
【女子】「四粹様、優しいからあり得る……私が、救ってあげなくては!!」
【女子】「いずれにしても、まず、我々はあの紫上学園会長である砂川会長を、見極めなくてはなりません。四粹様という点において、我々は決して仲間同士ではないでしょう。が、今は四粹様の安否が為、共に手を取り合いましょう」
【女子】「もし、砂川会長がクロだったら……私たちでッ」
【女子】「砂川会長をボコる――!!!」
【連盟】「「「おぉおおおおおおおおおおおお――!!!!」」」
【英】「待って、ボコるのは待ってくださいッ!? 皆さん、学生の代表として物理的強硬は控えましょう!? ね!?」
【石山】「何で皆双眼鏡持ってんだ?」
【藍澤】「知らん」
皆さん、学校の垣根を越えて、手を取り合って燃えている。
とても美しい姿だと、思いました。
【亜弥】「きっとコレが、合宿の意義……私も、皆さんと共に闘います……! それがきっと何かの糧になる、必ず成果を収めてみせます! たとえ昨日の恩を、仇で返すことになっても!!」
【涙慧】「面白そう……」
【苺花】「いやいやいやいや止めようルイちゃん!? 持ち帰っちゃいけない成果持ち帰っちゃう前に止めよう、お兄さんが砂川会長に謝罪しに行く羽目になる前に止めよう!?」
ごめんなさい、苺花ちゃん。私は止まるつもりはありません。
これは私自身が探究すべき事態なのですから。
【女子】「……!! 紫上学園が来た!! 総員、戦闘準備――!!」
【連盟】「「「ッ――!(←双眼鏡装備)」」」
【英】「何この光景……」
【石山】「知らない間に女子の皆は仲良くなったんだなぁ。でも英はハブられたんだな! ドンマイドンマイ!」
【英】「そ、そんなことはありまっ……ありま……せんよね? あれ……そういえば私、井澤さん達以外とあんまり会話、できてない……? あれ……?」
【石山】「英は真面目過ぎるんよ、ちょっとぐらい羽目外すの覚えないとノリ悪いって思われるっしょ」
【琴竪】「砂川会長、覚悟ォ……取りあえず四粹様とやらは海賊王が戴くんだぜ……!」
【井伊】「この双眼鏡がバズーカ砲だったら今頃貴方は木っ端微塵……うふふふ――」
【英】「いや、これはちょっとってレベルじゃ……」
鞠さんが。
紫上会が、入室されました――
【鞠】「ッッッ~~……人が、いっぱい……」
【四粹】「か、会長、こちらです」
【鞠】「わ、分かってます……! だから……ん、いちいち、話掛けないでッ……はぁ…はぁ――」
【四粹】「は、はい。失礼、しました……」
【笑星&深幸&信長】「「「(んぎぎぎぎぎぎぎぎぎ)」」」
……………………。
【皆さん】「「「(あれ、何だか昨日と雰囲気全然違くね――!?!?)」」」
~ 稜泉学園 ~
【英】「入学希望者や在学保護者などに向けて、定期的な懇談会を生徒会主導で実施しました。生徒会は、実質的な学園生活の体験をお話させていただきました。また、毘華大陸の発展途上国家教育機関と提携したホームステイ交換生制度でも、学園と交換生とのコミュニケーション強化を我々が率先し強化を図りました。具体的には――」
【石山】「えっ、何それ? そんなの初めて聴いたんだけど俺」
【藍澤】「それはそうだろ……お前は何もしてないんだから……ずっと野球部に出てたろ」
【井伊】「先輩、すっごい頑張ってたんだからなバ会長」
【石山】「あー、そっかぁ。何か俺が想像してたより英、仕事してたんだなぁ」
【英】「今更ながら、まず最も説明すべき相手は会長であったのを失念しておりました……」
~ 紫上学園 ~
【鞠】「中央大陸に根付く中心的学園となる為、例年通りの、ンッ、企業や区役所交流を、強化しました……ハァ…同時に学力を、重んじる校風を踏まえ、実力試験や定期試験などの学力測定を通し、て、全学園生の学力傾向を多角、的に考察し…全体の学力向上を図りました……アッ……ッ例えば、紫上学園野球部グループ部員数は、AB等部の3割弱を占めており、総じて学力が低い…傾向にあった為、甲子園予選エ…ンッ…トリーの条件で定期試験での学力証明を必要としましたッ。ハァ……ハァ…結果…ハァ……全体の予想偏差値が5以上上昇し…我が野球部で培われる集中力や、根性がッ、学力尊重主義を持つ紫上学園でも非常に価値があることが感じッられたので、来年度入学志望者へ向けた説明会でも、部活動をこの点でアピールすることができる……と…考えました――!」
【秭按】「野球部の件、すっごい後付けね……畏れ入るわ」
【笑星】「(会長、ストレートヘアー、似合ってるなぁ……)」
【深幸】「(何か荘厳だよなぁ……体育祭の時にも思ったけど、三つ編みじゃなくてずっとソレでいいんじゃね……)」
【信長】「(俺は……本当に会長のことを……参ったな、今までそういうのには無頓着だったのに……持て余すな……)」
【男子】「「「(今日のあの人、色っぽ過ぎね――!?!?)」」」
~ 真理学園 ~
【亜弥】「創始者であり建築デザインの企画者である灘先生は相当のカラクリ好きだったらしくて、真理学園にはまだ全貌を見せていないカラクリ機能が多くあると考えられます。現生徒会は主にその真理学園校舎、特に最も謎めいた地下空間の調査に力を入れていて、また真理学園に根付く優海町との関係性も同様に調査しています。今回合宿に不参加の湿倉瑛さんと鬼頭末明さんが調査課として今も研究しています」
【苺花】「ちゃんとやってるのかな、あの2人……誰かに迷惑かけてないかなー……」
【涙慧】「苺花が居ないのをいいことに、遊んでるかも……」
【亜弥】「一方で、生徒会としてはもっと優海町の皆にとってメリットとなる、実用的な企画や交流ができたらいいなと思っているのですが……既に委員会制度のある真理学園とそれが常識として根付いてる優海町は既に深い絆で結ばれている状態です。それ以上のことをどうするのか……それは今探している状態で、この合宿の中で何かヒントを得られればと考えています」
――[Time]12:30
それぞれの生徒会報告会が終わり、こっからはまた親睦の要素が強くなってくる。というかもう会話するぐらいしか残ってないでしょこの合宿。
テーブルが幾つか並べられて、その上には本日の地産な昼食。そこをグループ分けされた複数の生徒会が囲む。これを私は「あっ休憩時間とか無いんだね」と解釈した。
で、今回グループ仲間となった生徒会は……
【石山】「うっすよろー」
【亜弥】「天命、ということですね……」
うっわ特に当たりたくない連中……これも縁結び? ろくな仕事をしないねミマキ様。
【四粹】「では……昼食兼、親睦と参りますか……よろしくお願いします、稜泉学園様、真理学園様」
【藍澤&琴竪&井伊】「「「よろしくお願いします」」」
【苺花】「お、お願いします……! ふわー……昨日も思ったけど、凄い仕事できそうな人だぁ……」
【涙慧】「反吐が出るほどにイケメン……そして、砂川会長さんの、彼氏……」
話題に出さないで!
【亜弥】「ソレです、最初の議題は――」
【井伊】「お二人の、関係です!!」
ああもう早速……。もろ学園の話題じゃないし……。
【英】「ちょ、ココアちゃん……!」
【石山】「まぁいいじゃん英。親睦会なんだし、フランクにいこうぜ。リラックスリラックス」
【井伊】「あの、し、四粹様、一体この人のどこに惚れたんですか……!?」
容赦無い攻撃が来た。
それに対して……
【四粹】「……一緒に活動していくうちに分かってきたのですが、会長の芯の強さは群を抜いています。実力主義でもある紫上学園で……頂上に立つに相応しい、絶対的強さ。矢張り、魅了されるに充分なものかと」
即座に返す。昨日の打ち合わせ通りの回答だ。
【井伊】「強いって……具体的には?」
【四粹】「そうですね……それを説明するにあたって、紫上会のシステムを少し説明しておく必要がありそうです」
【英】「(ッ……上手い! 自身の学校の話題に自然に繋げた!! 上手くいけば話の流れを修正できる……!!)」
・紫上会は学校経営の多くに携わり、学園理事会といったトップ層を除くあらゆる二次組織に対して支配権利を持つ。
・その凄まじい責任の対価として、一般学生には無い多大な恩恵(学 費免除、学費給費など)を得られる
・紫上会は選挙制ではなく、年度初めの実力試験にて1年上位2人、2年上位3人が自動で役員となる。2年1 位が会長で、他役員よりも発言の権力性が強い。
・副会長自身に関しては少しイレギュラーがあったので(ぼかした)。
副会長は、以上のことを、流麗に説明した。よくもまあそんな途切れず丁寧に教えられるものだと感心してしまいそうだ。矢張り学園で最も信頼される存在は手強い。
一応、この人は私の敵だ。最も警戒しなければならない「監視役」。
それなのに今は2人でカップルやってるんだから人生何が起きるか分からない。もしかしてこれもお祟りだったりするのかな。私がこの島に何をしたというんだ。
【英】「……なるほど、今年もやっぱり私たちとは一線を画す組織なんですね……ね、ココアちゃん――」
【苺花】「凄いなぁ……ね、亜弥ちゃん――」
【井伊&亜弥】「「それで話を戻しますけど――」」
【英&苺花】「「…………」」
しかし副会長の健闘虚しく私への注目は全く削がれなかった。
ていうか亜弥ちゃんまで何で前傾姿勢?
【琴竪】「砂川鞠という人間はどれだけ凄いのですか? 私たちはソレが知りたくて」
【藍澤】「勝手に複数形で巻き込まないでくださいませ琴竪会計?」
【鞠】「…………」
昼食が全然手に付かない。緊張と耐久の時間が続く。ああトイレ行きたい……いや、変な意味じゃなくて、単純にそこで時間を潰してたい。
兎も角本日の私は別の方向に凄いことになってて戦力外なので、ここは背に腹感覚で副会長に全部丸投げした方がいい。
【四粹】「そうですね……資料を持ってきたので、ご覧下さい。これが、当日実力試験で配布された問題になります」
副会長は鞄から、何か見たことある薄くて青い表紙の、ごっつ厚い冊子を取り出し机に置いた。
まあ堊隹塚先生から貰ったのは前年度以前のものだけど。これは、今年私が受けた最新の過去問だろう。
【苺花】「ぶ、分厚っ!?」
【亜弥】「……これ、全国模試みたいですね、形式」
流石、私と同じ教師を持つだけある。すぐ気付いた。
【四粹】「実力試験は、全国模試の問題形式を模り作られています。問題難易度も試験時間も同様ですが、科目選択や得点ルール等には実力試験独特の文化があります」
【井伊】「えーっと……うわっ、問題だらけ……全然解ける気もしないし、抑もこのボリュームで萎縮しちゃう……」
【石山】「英じゃないと太刀打ちできねえなー。ほら、自信トレーニングGO」
【英】「うっ。……そ、そうかもしれませんね! 難易度もそうですし、えっと、形式慣れっていうのも必要ですから……!」
【信長】「解答科目数、系統数に限りは無いから仮にこの冊子全部を解いたら1500点満点になる。が、実際の点数争いでは、この問題全てをやる必要は無い。ある程度試験問題を自分の得意科目で絞って集中的に解いた方が得点率は高くなるからな」
【深幸】「つーか、時間制限普通に厳しすぎだから、全科目全系統に手を着ける、とか誰もやらねえよな。やれねえよ……」
【英】「ああ、そういう感じの得点ルールなんですね……まあ、文系理系って分かれますし――」
【四粹】「しかし会長は唯一ただ1人、制限時間中に全科目全系統に手を着け、その全てで満点を出しました。文句なしの会長抜擢です」
【他校】「「「……………………」」」
はい、ドン引きされたー。
【英】「…………」
そして稜泉の秀才副会長、自身のアイデンティティへし折られる。自信トレーニング失敗である。そんなことするつもり微塵も無かったんだけど、合宿の平穏のためだから赦して。
【苺花】「何だろう……砂川会長に後光が差してるような……」
【涙慧】「ここ、室内なのに……」
【井伊】「ぐ……ぐぐぐ……」
【藍澤】「流石、紫上学園のトップ……前年度の六角という御方も相当ヤバかったと聴いていますが、こちらもヤッバイ……」
【鞠】「ぅ……」
ていうか今、あんまり見ないで……!
気付いたんだけど今の私、男子だけじゃなくて女子に見られるのも、結構、キツい。惚れ薬、女子に対しても有効なの……? 過剰摂取の所為かな……。
【女子】「「「…………」」」
……あと、心なしか女子の方々も、攻撃対象である筈の私への直視は、ちょっと控えてる様子に見える。
多分……見てると、熱が「伝染」しそうになるんだろう。流石に私みたいな状態に陥るとは考えにくいけど、どんどん気まずくなっていくのは間違いない。
違う、私は悪くないんだ……全部あの子が悪いんだ……。
真理、紫上と来てますが、実は稜泉も大事な舞台だったりします。




