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砂川見聞録  作者: ぢだぱぢぴぢぱぢ
6話「砂川、憑かれる」
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[6-26]朝シャワー

 「あ、部屋間違えたのか――」砂川さん、災難トリプルコンボ。これはちょっとだけ作者の経験が反映されております6話26節。



【鞠】「…………あー……」


 普通に気持ち良いな。朝シャワーはあんまり習慣に無いんだけど、これから考慮しようかな。


 というか戸を開けたらすぐ右の壁にシャワーヘッドが掛けられてたのが個人的にビックリ。あの家はいちいち部屋の面積大きいから……。私はこれくらいの狭さが丁度良い。お風呂場は迷路じゃなくていい。


 しかし、頭をヘッドの前に垂れても、滝行のように頭が打たれても……一向に脳内が清められる感じはしなかった。残念ながら。


【鞠】「……何やってるんだ、私はー……」


 さっきのは、普通に事件だった。


 ……まあ、年頃の男女が仕切りの薄い家屋で宿泊すること自体結構チャレンジングなことかもしれないんだけどね。よりにもよってこの私が、こんな定番(?)のハプニングに巻き込まれるだなんて。


【鞠】「取りあえず、書記の誤解を解かないと……」


 凄い、ショックそうな顔してたと思うし。どういう心境でいるのかはよく分からないけど、放置してて良い気が全くしないので、緊急性は高い。少なくとも副会長とカップル偽造とかしてる場合じゃない。


【鞠】「ってそれもあるんだよー……」


 ああ面倒臭い。


 早く帰りたいなぁ――


【戸】「がらがらがらがら」


 …………。


【鞠】「え?」


 キレの悪い、擦れる音が聞こえた。


 まあ……扉が引かれる音、だよね。書記が帰ってきたのか、会計が再び起きたのか、兎に角誰かが扉を動かしたのだ。


 それはいいんだけど、問題は何の扉が開かれたのかってことだ。


 ……うん、この思考自体、ほぼほぼ現実逃避ではあるのだけど。


【鞠】「ッ――」


 振り向くと、ああ、やっぱりこの風呂の戸が開かれてた。


 反射的に、すぐまた背を向けて、手と足で可能な限り、隠す。いやほんと……鍵とか付いててほしかったな!


 ていうか、抑も普通にシャワー音聞こえるよね? 誰か入ってる、ぐらい気付くよね? 普通開ける?!


【鞠】「(一体誰――!?)」


 目の前の鏡台で、後方を確認する。開かれた扉を……


 そこから侵入してくる者を――


【笑星】「…………」


 雑務だった。


 裸だった。


 ……私同様、朝シャワーしに、来たんだろう。


【鞠】「…………」


 そして私、矢張り詰んでいた。


 過去2回ほど裸なアクシデントがあった気がするけど、その時助けてくれたバスタオルは今此処には無い。


 軈てこのタイミングで扉を開けてしまった狼藉者も、よりにもよってな私の存在に気付いて――




挿絵(By みてみん)




【笑星】「……えっと……しゃわー、しゃわー……」

【鞠】「……?」


 ――ん? 何やってるんだこの雑務?


 何か、何もない、ちょっと黒ずんでる壁を軽く叩き始めた。ダミーの壁でも探してるんだろうか。いや何で……


【笑星】「……あれー……? シャワー……ない」

【鞠】「――!」


 違う――コイツ、寝惚けてるんだ……!!


 それで今此処は自宅か何かと勘違いしてる状態……恐らく雑務が今想定している浴室の間取り的に、扉入ってすぐ左の壁にシャワーヘッドや鏡台があるんだ……!


 つまり、今ならチャンス。


 本当は扉入って右側の壁に備えられていたシャワーヘッドをゆっくり戻して……


 雑務の真後ろをこっそりくぐり抜けるようにして……面倒臭いに違いないこの事件を、無かったことにする!!


 となれば、一瞬の無駄も惜しい――迅速に、行動する!!


【鞠】「…………(←そ~~~)」

【笑星】「あれー……? 無いな~……」


 まだ……まだだ……あとちょっと、寝惚けてて……!


【鞠】「(よし……!!)」


 戸に、手が届いた。このまま戸を開けて――


【笑星】「あ、部屋間違えたのか――」

【鞠】「え――?」


 「もにゅ」。


 ……単純なオノマトペでいくなら、そんな言葉だろう。


 そんな言葉を、私の身は、感じた――


【笑星】「…………?」


 丁度、戸を開けようと伸ばしていた右腕の下、脇近くを通過して、彼は触ったのだった。


【鞠】「――――」

【笑星】「…………?」


 多分私みたいに、戸を開けようとその手を伸ばし、ちゃったん、だろう……。


【鞠】「――――」

【笑星】「……?? ……???」


 その手は……私、だけでなく。


 彼にも遂に、しっかり、現実を叩きつけたのだろう。


 救いの無い、悲愴な結末だった。




【笑星】「……――!?!?」


 この時になって私は直感ながら、ようやく気付いたのだ。


【鞠】「――……」


 ああ――この島は、ヤバいと。




 作品のボリューム的に、本作は色気には訴えない作風だと思います。(⇒次回をお楽しみに!!)

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