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砂川見聞録  作者: ぢだぱぢぴぢぱぢ
1話「砂川、座す」
15/336

[1-10]悪気

 「俺、いつか会ってみたいなーって思ってたんだよね!」砂川さん、気合いを入れて登校。キャラはまだまだ増えます、10記事目の時点で作者泣きたい1話10節。




――[Day]4/3

――[Time]7:30

――[Stage]革肥区




【汐】「では、本日も安全運転でかっ飛ばしますね」

【鞠】「…………」


 私がシートベルトを着用したと同時、メイドはサイドブレーキを解除しアクセルを踏んだ。


 因みにメイドの最近の流行は、シートベルトをし忘れてドジっ娘を装うこと、らしい。


 いつかこの人は事故ると思う。免許剥奪の処分を受けた時がメイドのメイド人生の最期だろうか。どうやらパパは随分、この人を気に入っているようだけど。


 贅沢なのは分かっているから文句を口に出すつもりはないけど、私としてはメイドはもっとお淑やかであるべきだと思っている。


【汐】「昨日は鞠が晩ご飯を食べてくれないから、兵蕪様はとても心配されていたんですよ? お酒も進んでいなかったようでしたし」

【鞠】「…………」


 そういえば、昨夜は何も食べていなかった。


 ある意味私に必要な栄養はしっかり補充できたから大して空腹で苦しむことはなかったのだけど、あの心配過剰な人には可成りの毒な事態だったのかもしれない。


 まあ、これを機に少しお酒の量を減らせばいいと思う。


【汐】「因みに、私も物凄く、物凄ぉぉおく心配したんですからね。その所為でなんと、昨日体重を量ったら0.2kgも増量――」


 普通に食ってるじゃん。それはいつものことでしょうが。


【汐】「鞠。あんまりお姉ちゃんを、心配させるものではありませんよ」

【鞠】「……いつ貴方は私の姉になったんですか」

【汐】「鞠が生まれた時から、でしょうか」

【鞠】「私に姉はいません」


 というかこのメイドは私がB等部に進級したあたりで初めてメイドとして砂川家を訪れた筈なのだけど。


 間違いなくこのメイドはテキトウだった。


【汐】「……難しいお年頃、ということなのでしょうか」

【鞠】「…………」


 メイドと会話していると何の意義も無いまま体力を削られる思いがするので、私はあんまりこの人、好きじゃない。


 まあ、今から行くところを考えたら、この人は無害に等しいのだが。


【汐】「……私の気のせいであればよいのですけど、何だか本日の鞠は、昨日よりもピリピリしているような」

【鞠】「関係の無いことです。何も気を病むことはないですから」

【汐】「ということは、矢張り学園関係ですか」

【鞠】「……………………」

【汐】「あーそっから先には踏み込むなと……」


 お喋りなメイドがようやく黙った。運転に集中しろ。




――[Time]8:00

――[Stage]霧草区




【鞠】「……この辺りで構いません」


 今日も、霧草に入ったところで、車を停めてもらい……降りる。


 未だ慣れない、都会の地面にローファーを着ける。


 深呼吸――ここからは……


【鞠】「敵がいる」


 ドアを閉め、歩き出す。真っ直ぐと。


 この道には……目的が、在るのだから。




――[Time]8:15

――[Stage]紫上学園 正門




【鞠】「…………」


 正門を越える。すると――


【???】「あ……! あの人だ、間違いない!」


 もう聞き慣れた、注目する声たち。


 ただ……何かコッチにダッシュしてくるパタンは流石に初めてだ。


【いきなり走り出す男子】「すいませーーーーん!」


 …………。


 スルーしよ。


【いきなり走り出す男子】「え……? ちょ、待っ、待っ……うわあっ!?」


 ……足を止めないとは予想していなかったのか、焦って軌道を修正しようとして、しかしスピードがつきすぎてブレーキも上手く利かず、結果転んでしまった気配が背後からする。


 多分、私が足を止めててもブレーキしきれずぶつかってたから、私の判断は当たってた。


【のんびり歩く男子】「大丈夫ーえっちゃん~?」

【いきなり走り出す男子】「うー……目測を見誤ったかなぁ……まさか聞こえてないだなんて……でも!」


 背後から迫る気配。


 流石に距離が距離なので全力ダッシュはしてこないけど……厄介なのに違いはない。


【いきなり走り出す男子】「おはようございます、俺、笑星っていいます! あっ、字が堊隹塚で、名は笑星」


 もう自己紹介は嫌だ。


 正面に回られてるけど、スルーを決め込み歩き続ける。


【笑星】「こ……この距離でも聞こえていない……?」

【のんびり歩く男子】「多分、面倒臭がられてるんだと思うよえっちゃん~。諦めて退散しようよー。HR、間に合わないよー」

【笑星】「でも、気になるじゃんか、邊見。真理学園だよ、真理学園! 俺、いつか会ってみたいなーって思ってたんだよね!」

【邊見】「えっとー……すみません、うちのえっちゃんが~。悪気は全く以て無いし五月蠅いだけで良い子だから、あんまり嫌いにならないであげてくださいね~(←引っ張る)」

【笑星】「え、ちょ、邊見~!」

【邊見】「ほらほら、教室こっちでしょ~。ではでは、失礼しました~……」


 ……ちょっとした嵐だった。


 お陰で周りに居た沢山の人に気付かれてしまった。ひそひそ話と視線の集中。


【鞠】「…………」


 悪気が無い、のは……ある意味、誰もがそうなんだろう。


 だから……だったら、私だって。


【鞠】「好きに、やらせてもらうし……」




 笑星くんみたいな後輩くんは作者大好き。

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