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誰かの詩。口遊めば、  作者: 歌島 街
#15 篝火にくべて
31/51

篝火にくべて①

 

 キモチ悪い……。

 私は、めちゃくちゃに揺れるワゴン車に乗り、激しい嘔吐感に包まれていた。車の後方に所せましと詰め込まれた楽器が余計に車体の揺れを増幅させている気がする。

「弦ちゃん、大丈夫?」

 隣に座っている燈先輩が心配そうに聞いてくる。「大丈夫じゃないです」と返事をしようにも口を開きたくない。開けたら何かが出てしまいそう(主に運転手に対する不満とかが)。

「酔い止めありますよ、弦音せーーあ、ない。忘れていました、申し訳ありません」

 助手席に座っている梓が深々と謝罪してくる。忘れ物多いわね、あなた。

「おいおい早乙女ぇ~、震わせんのはカラダじゃなくてギターだけにしとけって~」

 運転席の赤ジャージこと高橋先生が大声を張る。そもそもの元凶は先生が「こっちの道の方が近い」とか発言して、けもの道を選んだからじゃない。

 目的地についたら……見てなさい。うっぷ、赤のジャージから(私が大嫌いな)化学で使うような酢酸の香りがして、胃液が逆流してくる。


「おっ。舗装されてる道に出たぞ。弦音、これで助かったな」

 なるほど車の揺れがだいぶおさまった。窓から下を見るとアスファルトの見慣れた道路が進行方向先に伸びていて、高級そうなペンションがちらほらある。

 その景色をみていたら吐き気が収まってきて、反比例するかのごとく殺意が溢れてくるぅ。この刺激(スメル)(・ライク・)年増(サーティーン魂)が。

「根性ないなあ。弦ちゃん気合だよ、キ・ア・イ」

 あ、ちょうどいい八つ当たり対象を隣に発見。高橋鬼ババアから預かった竹刀の先端で燈先輩のわき腹をつく。すると「ごふぅ」と声を上げる燈パイセン。ちっす、どもっす。ストレス解消にちょうどいいわね、これ。

「これこれ、アタシは暴力反対だぞ。教育者としては見過ごせんな~」

 ニヤニヤしながらバックミラーとかけてるメガネ越しに、「よくやった」と言わんばかりにウインクしてくる高橋先生。本音と建前の見事な使い分け、勉強になります。まさしく反面教師。残念ながら、あなたも後で同じ道を辿るんですけどね?

「大丈夫ですか……アカリン?」梓が燈先輩(アカリン)を気づかう。

「ワタシ不当な暴力には負けないから、大丈夫だよ。アズアズ」燈先輩が(アズアズ)にそう答え、これ見よがしに私をねめつけながら、わき腹さする(私、そんなに強く突いてない)。

 梓はひきつった微笑み、まさしく作り笑い。いまだにあだ名がお気に召さない様子ね。

「おっ、いいぞ。やっぱり同じバンドメンバーなんだから打ち解けないとな。アタシ考案の『あだ名呼び合い作戦』大金星であります」

 高橋先生が満足げに鼻を鳴らし、敬礼する(前見て運転してください、へぼドライバーさん)。それと作戦(ミッション)全然成功じゃありません。現在絶賛失敗中であります、鬼軍曹(サージェントペパー)

「お? だけど早乙女はまだ決まってないみたいだな」

 口の端を釣り上げほくそ笑む高橋先生。まるで悪魔の様だ。いや、悪魔そのものだ。

 くっ、忌々しい。私、あだ名なんていらないのに。

「だってさ、スイちゃん聞いてよ~。弦ちゃん、どの名前も嫌そうなんだもん」

 高橋先生(スイちゃん?)に告げ口する燈先輩。また竹刀で突かれたいのかしら?

「スイちゃんはヤメロ……アカリンちゃんよ。じゃあ早乙女には、アタシがいいのつけてやる。国語教師だからな」

「ええー、絶対無理だよ。ね、アズアズ?」

 ワンテンポーーいや、ツーテンポ遅れて腑抜けた返事をする梓。めんどくさいことになった。


「よし……弦音な……『弓・玄・音』。う~ん、おっし『イトイ』はどうだっ!」


 ミラー越しに、したり顔で「どうだ?」じゃない。嫌すぎる。それ、ただの苗字でしょ。

「うわ~。やだよね、弦ちゃん?」

 燈先輩が聞いてきたので、力位いっぱいうなづく。はい、もちろん。

「なんだよ。やっぱ言うこと聞かねーな。アカリンとイトイは」

 私が何のことかと問い合わせようとすると、先に燈先輩が早口で聞き返した。

「スイちゃーー高橋センセー、どういうこと?」

「なーに深い理由はねえけどな。ほれ、アタシってゲーム好きだろ?」

 そういえば高橋先生、この前に暇つぶしでやったアプリにハマって、ボーナス全額課金アイテムにつぎ込んだって自慢してたな。自慢どころか大恥もいいとこだけど。

「そこで使ってるのがアンタら三人の名前って訳だ。どうだ嬉しいだろ」

 何がだ。嬉しいわけないでしょ。学校教師が生徒の個人情報、駄々洩れするな!  

「へー。ちなみにワタシと弦ちゃんが言うこと聞かないってのはなんなの?」

「基本的にはアタシの操作キャラ以外は自動で動くんだけどな。これがてんで命令ムシばっかなんだよ、本当に。ちなみにアカリンはパーティの壁役だ。敵からみんなを守る」

「おっカッコいい。リアルのワタシと同じ」

「逃げ遅れてよく死んでるけどな。トロくさいんだよアカリンは、現実と同じで」

「ヒドイ……ちゃんとワタシを助けてよ、センセー」

「てか、アタシがまとめて魔法で焼き払うせいでもあるんだな♪」

「スイちゃんのデビル、オーガ、メフィストフェレス! 殺戮(エンジェル・)天使(オブ・デス)っ!」

 燈先輩(アカリン)が騒ぎ立てる。単語の意味はわからないが、非人道的な先生を糾弾していることは明白。ゲームの中の話とはいえ先生にあるまじき暴挙だ。教え子をなんとも思わないのか、この悪魔は。……なんとも思ってなさそうね、実際。

「んでアカリンを守らんと敵陣に突っ込むのが、我らが『イトイ』ってわけだ。攻撃担当なんだけど、これが暴れるしか能がないバカでな。イラっとした時は敵と一緒に焼き払うのがひそかなマイブーム」

 誰がバカだ、誰がっ!! いやいや、私は『イトイ』ではない。正気を保つんだ、狂気に当てられてはいけない。

「うわ、なんか恥ずかしい。ワタシって弦ちゃんに愛されちゃってる?」

 一ミリたりとも愛しちゃってない。私=『イトイ』でもないし。現実と虚構を同一視しないでいただきたい。アニメ大好きすぎて次元の区別がつかなくなったのかな、バカリンは。


「先生ちなみにわたくしは?」

 梓が会話に参戦する。いいのに、バカはほっといて。

「林田は回復役だな。お前がいないとすぐに全滅だから、パーティの要で大黒柱だぞ」

 それを聞いてうれしそうな梓。あの、ゲームの話だからこれ。

 まあ実際のバンドでも似たような役割分担なのかな。はい、はーい。私は暴れるしか能のないバカで~す。……あ、竹刀が震え出す。血を求めてるのかしら。

「でも林田は回復のタイミングが遅いんだよな~。テンポ気をつけろ? 他二人はいいけど、アタシは守れ」

 あまりにも理不尽すぎる要求。本人ぜんぜん関係ないし。でも(アズアズ)は、律儀に返事をする。こんな大人にならないように、お互い気をつけましょうね。

「ねえセンセー。ちなみにゲーム内だと梓ちゃんは『アズアズ』なの? その愛称を考えたの弦ちゃんだったけど」

 そう、何を隠そう、梓のあだ名を思いついたのは、私。まさか採用されるとは考えも及ばなくて。本当にごめんなさい……アズアズ。うっ、ふふっ。

「いやそんなダサいのは国語教師として却下だ。センスが皆無」

 うるさいわね、センスがなくて悪うございました。『イトイ』の名づけ親に言われたくない。

「じゃあなんなの。アズリンとか?」

「それだとアカリンと被るだろ。林田のキャラは『森・弓月(もり・ゆづき)』だ。可憐だろ?」

 なんでその名前? 由来を問いただそうとしたところ、


「アレが我が家の別荘です!」


 梓の突然の大声に驚き、みんなでフロントガラスから指差す方をみる。いままで通り過ぎていった建物たちよりも、豪華で一回り大きく、傲慢な佇まいのペンションがそこにあった。流石お嬢さま、持つべきものは金持ちの知り合いね。

「ちくしょう教師なんかやめてやる」という、高橋先生の呪詛のつぶやきとともに駐車がされ、学校から持ってきた機材を運ぶべく、私は気合を入れるために腕まくり。

 ちょうど日も暮れて来たし、汗もそんなにかかなくて済みそうね。とりあえず、手元の竹刀から持ち運ぼう。いや、捨てようかしら。そのへんの雑木林にでも。



 一通り機材の搬入も終了し、午後六時を回っていたので庭で夕飯となった。なんと梓の両親から、バーベキューセットがあらかじめ別荘に送られていたので、ありがたく全員でいただくとする。野菜まですでにカットしてくれている徹底したおもてなし根性に、私感動。肉がおいしい。舌の上で溶ける、むしろ爆ぜる。最高。

「林田の両親に悪いな、こんなにしてもらって」

 高橋先生が珍しく殊勝な態度だ。缶ビール片手に持ってるけど。すでに空缶が、足元に大量発生してるけど。

「大丈夫です」なんて言う梓の顔が、少しひきつってるようにも見える。

「肉の多重奏!」

 燈先輩が鉄板の上で焼いていた肉をまとめてつかむ。やめなさい部長、はしたない。野菜を中心にバランスよく食べている梓との品性格差に絶望。

「アタシの肉ぅ!」

 いつの間にか高橋先生が缶ビールから竹刀に武装変更していて、燈先輩をど突く。ナイス教育的指導と思いきや、先生は先輩の皿から肉を奪っていく。ダメだこの人たち。


「痛ぁい……助けて、弦ちゃん」

「知らないです。自業自得じゃないですか」

「ちぇっ。あ、いけない。もうこんな時間」

 急いで立ちあがりケータイを取り出す燈先輩(なによ、元気じゃない)。なにをするのかしら……どうせアニメでしょうね。この間も練習中断して見てたし。アニリンに改名すればいいのに。

「没収ぅ!」のおたけびともに高橋先生が竹刀で再び、燈先輩(アニメオタク)の同じ個所をど突く。膝を地に着かされた燈先輩から、ケータイが奪い取られ、高橋先生が演説を始める。


 先生いわく、打倒「ダンデライオン(たんぽぽ)」のため、さらなる一致団結を目指すべく夏休み中の合宿を画策したが、同好会になり部費もなくなったのでどうするかと悩んでいたところ、梓の家の個人ペンションを貸してくれることになった。その恩義に報いるためにも、九月の文化祭で「ダンデライオン(アホ軍団)」に勝利し出場資格を得て、全国大会優勝を目指すとのこと。

 はいはい、わかってます。今更言わなくたって。

「よって外界との連絡手段は禁止だ。部活に集中するためにな」

「マジで!? じゃ、どうするのアニメは?」

 文句をつける燈先輩のショートボブがフワフワする。まるでクラゲね。あ、ひょっとして頭にクラゲ乗せてるのかしら。だから脳がマヒして……かわいそうなアカリン(アニメ女)

「『アニメは?』じゃねえよ。このオタクがっ!」

 高橋先生の竹刀が、立ち上がった燈先輩のわき腹を再度襲うーーが、素早く身をかわし、凶器の先端を脇にはさみ動きを拘束する先輩。

「ワタシ、オタクじゃないし! この三十路ゲーム脳!」

 竹刀をつかみ相対する両者。醜い……どっちもバカってことでいいんじゃないかしら?

「なんだとぉ、よし。ならみんなケータイ出せ」

 なんなんですか。仕方なく従う、私と梓。三人はスマートフォンで私だけガラケーだった。

「イトイぃ、お前いまどき()()()()かよぉ!」

 高橋先生が竹刀を放り投げ、私のケータイを持ち上げて笑う。差別じゃないかなこれ、よりによって教師が率先して言うか。それと、壊れるから()()()()しないで欲しい。

「こら、センセー。いじめはダメでしょ」

 燈先輩は先生を戒めながら私のガラケーを取り上げ、高身長を生かし高らかに掲げる。あれなら先生の低身長ではどうしようもあるまい。珍しくカッコいい燈先輩。

「アタシの、()()()()ぁ~!」

 先生は悔し声をあげながら、高所のバナナに群れる猿がごとくピョンピョン飛んで燈先輩からガラケーを奪い返そうとする。それ、私のケータイだし。

 ムカついたので落ちてる竹刀を拾い、猿の尻を全力で引っ叩く。すると、赤猿はおしりを抱え、キーキー騒ぎながら、私から離れていく。ふん、いい気味。

「で、ケータイどうするんです?」

「いてて、バカのくせに攻撃力だけは高いよぉ、イトイぃ~。えっとね、ケータイ集めて、まとめて管理しようと思って」

 急にしおらしくなる先生。私は竹刀でリズミカルに地面を叩き「それで?」と発言を促す。「ひいぃ」っという情けない声を出し、梓の後ろに隠れる先生(さる)。ヘタレ教師が。


「こぇ~なぁ~。……じゃあ、ケータイ管理は林田が担当。な?」

「えっ、わたくしですか?」

 梓が振り向き驚く。そりゃそうだ、普通は責任者が持つでしょ。

「だって、アタシが持つとゲームに使っちゃうし。みんなが使わないなら、アタシも使わないようにしないと。じゃないと顧問の立場上、説得力がないし」

 一応、部活の事を考えてくれてるんですね。すこし高橋先生を見直す。自分で管理できないのが情けないところではあるけど。

「そうですか……なら、わたくしが責任をもって預からせていただきます」

 梓がみんなのケータイを受け取ってバッグにまとめる。

「ねえ、あとでワタシのスマホだけ返してよ。いいでしょ、アズアズ?」

 その呼び名が気に食わないのか、マジメなのか、梓が一言燈先輩に「ダメです」。

 お、珍しく反抗的な毅然とした態度。よしよし、成長したわね。後輩の進歩に感慨を感じつつ、燈先輩のおしりにも竹刀でおしおき一閃。悲鳴を上げて先輩も梓の影に隠れる。

 やだ、叩くのクセになりそう。

 私が恍惚の海におぼれていると、いやな匂いが鼻をつき、鉄板を見る。あら、いけない。くだらないことをしていたから、せっかくの肉がこげてるじゃない。竹刀を投げ捨てて箸に持ち替え、黒ずんだ肉を先生と先輩の皿に移動させ、無事な肉を頬ばる。うん、おいしい。

「アイツがうちの部で一番やべえな……」

デーモン(ナンバー・オブ・)弦ちゃん(ザ・ビースト)……」

 苦笑いをしている梓の後ろから、負け犬二匹が顔を覗かせて遠吠えをしている。ふん、今のうちに全部の肉食べよ。あなた達は焦げた肉と野菜で十分。それですらもったいないけど。



 翌日、朝六時に運動着に着替えて食堂に集合しろ、という高橋先生の指示が出されていた。なので私は五時に起床した。あふぁ~、眠い。なんで夏休みなのに、こんなに早く起きなくちゃいけないの……食堂に向かい、夢遊病患者のようにふらふらと廊下を歩いていたら、二人が現れた。

「おはようございます。素晴らしい朝(モーニンググローリー)ですね、弦音先輩」

「おはよっ、弦ちゃん。うわ、高校のジャージ」

 朝からうるさいですよ、アカリン。私が持ってる運動着なんかこれくらいしかないんだから、しょうがないじゃない。


 梓は長いブロンドの髪を後ろで束ね、有名メーカーのロゴが入った黒のスポーツウェアを着ている。シャープなシルバーのラインがわき腹に描かれており、文句なしにカッコいい。梓に似合っていて()()()


 燈先輩は手首と足首が露出した短い紺色ジャージを着ている。七分丈とかではなく単純に短いだけ。盛り上がった胸の部分には中学校の名前が刺しゅうされていて、その下にマジックで『橘』と殴り書きされている。どう見てもお古。その下に襟首がヨレヨレになった黒のTシャツを着ているよう。燈先輩に似合っていて()()()


 人生格差を噛みしめながら挨拶を返し、三人横並びに廊下を歩く。

 あ、山鳥のさえずりが聞こえ非日常感を演出してくれている。都会の喧騒を離れて避暑なんて、私テンション上がってきた。廊下に並べられた、絵や骨とう品もそれに一躍買ってくれている。

 けど、それらは、なんていうか統一感がない。成金が金にものを言わせ買いあさり並べたって感じ。え……この石、ベルリンの壁の破片なんだ。必要かしら、そんなもの? 隣に月の石が置いてあるせいで、どれがなんだかわけわからないじゃない。

 燈先輩は置物に逐一反応して、何時代のどれがどうとかウンチクを語っている。朝からテンション高いですよアニメマニアさん(おたく)

 ああ、その西洋甲冑がお気に召しましたか。着ていけばいいんじゃないですか、防御力アップですよ「壁役」さん。


 オタクはほっといて、なぜこんな時間に食堂集合なのか梓と推測する。うーん、朝食かしら。食堂集合だし。

「ワタシお腹空いた~。お腹ペコちゃんだよ~。最近、朝一でランニングさせられてるせいで、寝起きと共にお腹鳴るぅ~」燈先輩がぼやく。

 近頃、高橋先生は「体力が一番大事」という考えに基づいて、私たちをむやみやたらとランニングをさせたがる(コードネーム『ランニング・フォー・ツモーロー』なんて痛い発言もしてた)。なんでバンドやるのにそんなことしなきゃいけないのかと、燈先輩と私でグチる日々。

「え、走り込み、楽しくありませんか?」

 梓が訳の分かんないことを言ってくる。楽しいわけないでしょ。苦痛でしかない。

「ドMなの? アズアズは」燈先輩が心配そうな顔を梓に向ける。

「そういうことではないんですけど……」

「梓は足速いからわからないの。鬼バーー高橋先生の自転車金切り音聞いただけで、私じん麻疹でるようになったんだから」

「あれホントやだよね、キコキコうるさくてさ。後ろから近づいてくるのがわかるから余計に。自分は自転車で楽してるくせに、人のこと竹刀でバシバシ叩くし」

 まったくだ、あの自転車を何度バラバラにしてやろうかと思ったかわからない。

 ま、あのオンボロ二輪は今回の合宿にあたって、さすがに持ってくることは出来なかったし。一安心ね。ワゴン車とはいえ部活の機材でいっぱいだったもの。

 そして、私たちは食堂に着いた。さて、朝ご飯は昨日のバーベキューの残りかしら? 朝から肉なんて……最高じゃない。そんな妄想をしながら、私は入口のドアに手をかけた。


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