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「カナ、おかわりちょーだい」
「良いケド、おかず無いよ?」
「納豆か卵ちょうだい」
「分かった。おにぃは?」
「もらう…。オレは…ふりかけで良い」
「アンタ達、だから自分達でやりなさいってば!」
「母さんは?」
「あたしは味噌汁のおかわり」
それを聞いて、ガクッと姉と兄の姿勢が崩れた。
「母さんだって、カナに頼んでんじゃん!」
「…手本に、ならない親」
「だまらっしゃい!」
姉こと皆藤菜摘(二十三歳)は、絶対に母似だ。
兄こと皆藤菜月(二十歳)も根本的なところで、母に似ている。
言われたら、言われたままではいられないところとか…。
それを考えれば、わたしは父親似なんだろうな。
お盆に姉・兄・母の食器を載せていると、父が立ち上がった。
「手伝うよ。花菜はお味噌汁を温めてくれ」
「分かった」
片付けは父に任せて、わたしはキッチンに入った。
言われた通り、味噌汁を温め直し、卵・納豆・ふりかけを用意する。
そうしているうちに、父がお盆と共にキッチンに入ってきた。
「ありがと、父さん」
三人の空の食器を受け取り、味噌汁とご飯をよそう。
「花菜はここまでで良いよ。学校に遅れるといけないから、もう用意しなさい」
「うん、あとお願いね」
リビングでは相変わらず三人がぎゃあぎゃあ言い合っている。