44
そう言うと、ミホのわたしを見る目付きがおかしくなった。
「…アンタのそういうとこ、確実に菜雪さん似だわ」
「そお?」
「うん! 絶対っ!」
「…まっ、そうかもね。じゃあ、お買い上げってことで」
六箱全部持って、わたしはレジに向かった。
「ちょっとっ!」
「ミホはあったかい缶のブラックコーヒーとピザまん、よろしく!」
「んもうっ!」
後ろでブツブツ言っているミホを残し、わたしは支払いを済ませた。
お互い買い物を終えて、学校へ向かう。
「全く…。カナはミユに甘いわよ」
「ミユちゃん、可愛いもん♪ わたしには弟や妹いないしさ。甥っ子・姪っ子ができるまでは時間かかりそうだし」
「菜摘さんに菜月さんじゃあなぁ。出会い、ない?」
「おねぇやおにぃ、同業者にしか会わないから。基本、引きこもる仕事だし」
「同業者は? 恋愛対象にならないって?」
「『商売敵じゃあ~!』って、おねぇは騒いでいる。おにぃは『興味…ない』って言ってる」
二人の口真似をしながら言うと、ミホは遠い目をした。
「…何だか気持ちが分かるような、分からないような」
「今は仕事に夢中だから。まっ、ウチの母さんが結婚できたんだから、二人もする時はするでしょ」
「案外、カナの方が早いかもよ?」
「まっさかー。わたしも手芸に夢中だから。しばらくは恋愛なんてしなくても良いよ」
「そういうもんかねぇ。まっ、アタシもしばらくはいっかな。せめて進路が決まるまで、そういうこと考える余裕なんてなさそうだし」




