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「奢ってくれるなら、缶コーヒーとピザまんよろしく。お菓子はミユちゃんにあげようと思って」
「ミユに? 帽子だけでいいよぉ」
「これはわたしが好きであげるの。だからお菓子代はわたしが出すから、ミユちゃんが好きそうなお菓子、選んでよ」
「へいへい。ミユが好きなのはチョコだけど、今人気アニメのおもちゃが入っているのが好きなのよね」
「あ~。わたしも昔、ハマッたなぁ。それで母さんがチビチビ買うなんて面倒だからって、ダンボール一箱買ってきたのには驚いたっけ」
「…昔からダイナミックね。菜雪さん」
「豪快だよね。でもそういうとこ、案外悪くないわよ」
何と言うか、一緒にいて飽きない人だ。
ああいう母親を持っていることは、わたしの自慢。
…でもああいう女性にはなれないだろうな。
「ふふっ。カナを見てると、それは良く分かる。カナ、菜雪さんにスッゴク愛されているもんね」
ミホが笑って言うので、何とも気恥ずかしい気分になる。
「うっウチのことはともかく! 今はミユちゃんのことを優先!」
「はいはい。あっ、コレが今気に入っているみたい」
「どれどれ」
日曜の朝、やっている女の子向けのアニメのお菓子があった。
キャラクターのフィギュアと、チョコ菓子が一緒に入っている。
「今ここにあるのは六箱か…」
「ちょっ、ウチんとこは一箱でいいからね!」
「え~、でもせっかくあるんだし…。買わなかった箱の中に、ミユちゃんの欲しいのがあったら、イヤじゃん」




