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「分かった…」
二人は眠たそうだけど、徹夜には慣れているので普通に動ける。
…テンションはちょっとおかしいけれど。
そう思いながら、オムレツを焼く。
「今日はパンか。あっ、バターロールがある! こっちでも良い?」
「好きな方でいいよ。ご飯、夕べ炊くの忘れちゃって…」
「カナ、徹夜してたでしょ?」
「顔に出てる?」
「お互い様、ね」
姉が苦笑したので、わたしも苦笑した。
「ミホの妹のミユちゃんに、『お姉ちゃんと同じ帽子が欲しい』って言われてね。つい夢中になっちゃって…」
「アタシも友達がもうすぐ結婚するんでさ。ペアのプレートネックレスが欲しいって注文されて、ついつい徹夜を…」
「オレも徹夜…。原稿の下書き、全部終わったのは良いけど…夜も終わってた」
やっぱりわたし達、血の繋がりが濃いなぁ。
苦笑しながらオムレツを引っくり返した。
その後、できた朝食を家族全員で食べて、わたしは学校へ向かった。
途中のコンビニで、あったかい缶のブラックコーヒーと、ピザまんを買うつもりだった。
…成長期とは恐ろしい。
いくら食べても、満腹になった気にはならないのだから。
あとミユちゃんに、帽子の他に好きそうなお菓子を一緒に渡すつもりだった。
お菓子売り場を見ていると、ぽんっと肩を叩かれた。
「やっぱりいた。おはよん、カナ」
「あっ、ミホ。おはよう」
「お菓子、選んでんの? 奢るよ、帽子のお礼」




