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両親が止めるのも聞かず、マンガの材料を買う為に、中学生の頃からバイトを頑張った。
その意思の強さは、きっと兄本来の強さなんだろう。
…体は健康なのに、わたしの方が弱い。
「おにぃは…さ。マンガ家になる時、不安ってなかった?」
「不安?」
「うん。その、マンガ家で成功できるのかなとか、食べていけるのかなって」
「…不安、か」
マグカップを両手で包み込み、兄は眼を閉じた。
多分、当時のことを思い出しているのだろう。
「不安は…あんまりなかった、かな? マンガを書くことしか、オレにできることはなかったから…」
「…そっか」
不安うんたらかんたらよりも、兄にはマンガ家という選択肢しかなかったのか。
体が弱かったせいで、体を動かす仕事は向かず、他に選ぶものはなかった。
だから兄はマンガ家になった。
それしかないと自分で決め付け、その為にしか努力をしてこなかったから。
「カナは…不安?」
「うっう~ん…。ちょっと不安がある、かな?」
「…手芸、飽きた?」
「飽きてはないけど…。さっき言ったみたいな不安があってさ。よくわかんなくなってきちゃった」
アハハと苦笑すると、兄はマグカップをテーブルに置いて、わたしの頭を撫でた。
「おにぃ?」
「オレ…カナの作る手芸品、大好き」
兄は優しい笑顔をしていた。
…珍しい。こんな顔をするなんて。
「あっありがと」
「オレもそう、だけど…」




