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兄はペンネームを使わず、本名でマンガ家活動をしているので、近所では有名だったりする。
「おにぃ、アニメ化とか映画化する気、ないのかな? もう三年も連載しているんだし、そろそろしたって良いと思うけど…」
「本人いわく、オリジナルの話が入るのがイヤだって。ワガママよねぇ。アニメってそういうマンガとちょっと違ったところがおもしろいのに」
姉は兄ほどじゃないけど、マンガやアニメが好きだったりする。
まあ家の中にこもりっきりだと、どうしてもこういう趣味になってしまうんだろう。
「あっ、カナは手芸の本買ってきたの?」
姉がわたしの膝にある本を見て、声を上げた。
「うん。新刊、出てたから」
「ちょっと見せてもらっていい?」
「どうぞ」
本を差し出すと、早速パラパラ見始める。
「ふぅん。今、いろいろな編み方あるんだねぇ。アタシじゃムリだ」
「おねぇは彫刻が本職でしょ? こっちができなくても良いじゃない。何か気に入ったのあれば、わたしが編んであげるから」
「ホント? じゃあ、どれにしよっかな♪」
姉は上機嫌になって、ページを捲る。
しかしふと、その手が止まる。
「あれ? でも手芸ばっかしてて大丈夫? 今頃なら進路の問題、出てくるんじゃないの?」
「あ~、うん。手芸の専門学校に行こうかなって、ちょっと思ってる」
「駅前の専門学校? 良いんじゃない? あそこ、良い先生多いってよ」
「うん…」
わたしの歯切れの悪い返事を聞いて、姉が不安そうな顔をした。
「どうかした? もしかして他の遠い専門学校に行きたいとか?」




