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それとレース刺繍の小物とか、編み物は楽しい。
寒くなれば毛糸を使った編み物をする。
ずっと一年中手芸をしているけれど、飽きることなんて一度も無い。
「ただ…不安にはなるの。わたしには他にも何かやれること・できることがあるんじゃないかって。別に手芸を一生の職にしなくてもいいんじゃないかって、最近ちょっと思ってさ」
小さな不安はもやもやと、心の中にくすぶり続けている。
だからついつい現実逃避の手段として、編み物をしてしまうのだ。
編み物をしている間は、頭が真っ白になれるから。
「そっかぁ。ん~、もしかしたらちょっと疲れてんのかもよ? 少し手芸とか、進路のこと考えない日作ったら?」
「疲れ、か…。そうかもね」
「それにホラ、カナはお母さんやお姉さん、それにお兄さんが趣味人間で、それが高じて今の職業になっているもんだから、ちょっとした反抗期もあるんじゃない?」
「反抗期…。そう言われてみると、そうかもしんない」
母や姉、それに兄は趣味人間といって過言じゃない。
それに父も元々情報世界のことが好きで、パソコンなども大好き。
父も趣味が高じて、とも言えてしまう。
そんな家族の中にいるからこそ、自分の特技を将来職にするのを躊躇ってしまうのかもしれない。
「そうそう。アタシもさ、周囲の人間が『ああしろ』、『こうしろ』って言ってくると、イライラするもん。だからちょっと休んだら?」
「そうだね。特に今日は寝不足だし…ふわぁあ」
そろそろ欠伸の回数が増えてきた。




