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けれど今日は女性のお客さんは全品五パーセント引きなので、女性客が多い。
みんな、同じことをしている。
同性だと気兼ねなくできるから。
「そういえば、カナのその紙袋、何なの?」
「ああ、林田先生からもらったの。手芸の専門学校の資料だって」
「あれ? 専門学校に進むんだっけ?」
「一応考えとけってこと。わたしの手芸って、趣味の範囲越えてないから。本当はおねぇみたいに、どこかに学びに行った方が良いんだけどね」
「どこか決めてないの?」
「ん~。ちょっと迷い気味。専門学校も、近くにあることはあるんだけどね」
と言うより、この駅ビルの隣がファッション系の専門学校だ。
そこには手芸の部門があり、本格的に学べる。
「じゃあ行ったら? ご両親にだって、反対されないでしょう?」
「気軽に言わないでよ」
モンブランの栗をブスッとフォークでさし、一口で食べた。
コーヒーにミルクと砂糖を入れて、一口飲む。
「ちょっといろいろ迷っててさ。手芸の道を行くことも悩んでる」
「え~? でも好きなんでしょ? それにネット販売の売り上げだって悪くないじゃん」
「…まあ、ね」
ミホは怪訝な顔をしながら、スプーンに持ちかえ、チーズムースを食べた。
「手芸に飽きた、とか? ずっと作りっぱなしだったから…」
「いやいや! 手芸は好きよ。どんなにやっても飽きたりしないわよ」
暖かい季節には、ビーズアクセサリーを良く作る。




