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二人はキャッキャッと華やかな空気を出しながら、行ってしまった。
「…最近、下級生を見ると、自分が老けた気分になるのは何でだろう?」
「言わないでよ。アタシも何となく気にしているんだから」
ミホは渋い顔で、職員室の引き戸に手をかけた。
けれどすぐに振り返り、わたしの顔を見る。
「あっ、どうせすぐに終わるんでしょ? 一緒に帰ろうよ。今日、駅ビルのケーキ屋、レディースデーで全品五パー引きだし、食べてこ」
「そだね。教室で待ってる」
「うん」
…でもミホの場合、時間かかりそうだな。
まだ進路が未定だから。
まっ、その間は資料を読んでいれば良いか。
そう思いながら、わたしは教室へ向かった。
教室に入って十分後に、ぐったりした様子のミホが戻って来た。
「おっ、お帰り。じゃあ行こうか」
「うん…」
駅ビルは学校から歩いて二十分の所にある。
五年前に建てかえられた駅ビルは、いつでも若い人でいっぱいだ。
特に夕方には学生達の姿でごった返す。
ケーキ屋は三階にあって、今日はレディースデーなだけに女子高校生の姿が多かった。
「三時なだけに、人も多いわね。わたし達、出遅れたかな?」
「二者面談なんて面倒なもんがなければなぁ。座れるかな?」
「行って見なきゃ、わかんないって」
グズるミホの手を掴み、店内へ入る。
幸運にも二人分の席が空いていた。
「さて、何を食べるかな」
席には財布とケータイ以外の荷物を置いて、カウンターに向かった。




