14
「じゃあ皆藤は将来、手芸で身を立てるんだな? 専門学校とかは行かないつもりか?」
「ちょっと迷っています…」
「そうか」
わたしのクラスの担任は、今年五十歳になる林田先生。
男性で、担当教科は数学。
落ち着いていて話が分かるので、生徒達の間ではそこそこ評判が良い。
今日の授業は午前中で終わり。
けれど午後から二者面談が入っていたので、お弁当を食べてから、職員室へ向かった。
「一応わたしの方で、県内の手芸専門学校の資料を取り寄せといた。目を通すだけ、しといた方が良い」
「あっありがとうございます」
差し出された分厚い紙袋の中には、専門学校の資料がずっしり入っていた。
「ご家族は進路のことについて、何も言ってこないのか?」
「聞かれはしました。専門学校のことも…。行きたければ行って良いと言われています」
「ふむ。まあまだ時間はあるし、しばらくは考えてみるといい」
「はい、ありがとうございます。失礼しました」
「ああ」
五分ぐらいで終わったけれど、気疲れが…。
「あっ、カナ。終わった?」
職員室を出ると、ミホと会った。
バスケ部の下級生二人と、廊下で話しをしていたみたいだ。
「うん、次はミホでしょ? もう入っても大丈夫だと思うよ」
「そだね。じゃ、アンタ達、またね」
「はい! ミホ先輩」
「またお話してくださいね」




