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ミホが照れくさそうに笑うので、わたしまで照れてしまう。
目線を下に向けたところで、紙袋を見た。
「あっ、いけない。忘れるところだった」
机の脇にかけていた紙袋を机の上に置き、中身を取り出した。
朝まで編んでいた白いニット帽。
「コレ、徹夜で作ってたやつ?」
「うん! ミホの為に作ったんだ」
そう言ってわたしはミホの頭に帽子をかぶせた。
二つのボンボンの形を整える。
ミホの少し茶色がかかった長い髪に、白い帽子は良く映えた。
「あっありがとう! 嬉しいよ」
ミホは本当に嬉しそうに、帽子に触れた。
「ボンボン付きなんだ」
「うん。可愛いかなと思って…」
「あっ、可愛い~」
「カナの新作?」
帽子を見たクラスメート達が、声をかけながら近寄ってきた。
「うん、ミホの為に作ったの」
「相変わらずカナは器用ねぇ」
「ホント。将来は手芸家?」
「うん…。それで食べていけたらと思ってる」
「カナならできるって! 何せ毛糸編みの他にレース編みもできるんでしょ?」
「ビーズアクセも可愛くてキレイだし。人気あるんだから、大丈夫だって!」
「…うん。ありがと」
クラスメート達やミホが明るくしゃべる中、わたしは静かに息を吐いた。




