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そのおかげで、ウチのバスケ部はかなり強い。
今年の夏の大会では、全国大会に出て、三位になったほどだ。
「でもそんな主将が、未だ進路未定なんて情けないわね。後輩に呆れられるわよ」
「まだ二年だから、良いの。来年の今には決まっているでしょ」
「…来年の今頃決まっていなかったら、間違いなくニートよ」
肉まんを一口食べて、コーヒーで流し込む。
「うえっ、にがっ!」
しかしその苦さに、思わず顔が歪む。
「ブラックコーヒー、苦手なクセによく飲むわね」
「飲まなきゃ寝るって!」
苦さを紛らわせる為に、肉まんにかぶりつく。
そうして肉まんを食べ終えた後、チョコを出した。
「あっ、新作じゃん。ちょーだい」
「はいはい」
箱を開けて、差し出す。
「へぇ、栗味か。最近の新作、栗味とサツマイモ味が多くない?」
「そういう季節だからでしょ。ウチのおねぇなんて、焼きイモの移動販売車が通る音を聞くと、お財布持ってアトリエ飛び出すよ」
そこは仕事に集中してても、反応するらしい。
「アンタんとこの家族、インドアが多いよね。でもそれで成功してんだから、羨ましい」
「これでも一応苦労してます! おねぇとおにぃはそもそも学生の頃から決めてて、頑張っていたのよ」
姉は元々アクセサリーをデザインしたり作るのが趣味で、高校生になってからは本格的に動いていた。
手作りのアクセサリーショップに三年間、弟子入りも兼ねてバイトをしていた。




