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三年目の追憶  作者: 青鷺 長閑
9/9

最終章……それから。

 数カ月が過ぎて。

 結局、神菜は無事だった。

 一時は生きるか死ぬかの瀬戸際を経験したらしい。


 ある時は一過性の記憶喪失になり。

 またある時は意識を失いICUに運ばれ。

 それでも神菜は一命を取り留めた。


 医師達の必死の努力があってなのか。

 それとも神菜自身の意志が強かったのか。

 俺には分からないが、それでも退院の話を耳にしたときはひたすら安心感に包まれた。


 そして拓海は。


 やはり泣き崩れていた。

 ただし今度は、

 嬉し泣きのようだ。



 その年の夏休み。

 俺達三人は実家に戻っていた。

「そっか、じゃあ拓海と一紀も大学に進んだんだね」

 そう、三人で。


 あれから。

 退院したと聞き、俺と拓海は飛ぶように神菜の実家へ向かった。

 いつか見た、神菜の懐かしい笑顔が迎えてくれた。

 瞬間、拓海はまたしても泣きそうになっていた。

 しかし好きな人の手前、泪を見せることなど出来ない。そう思ったのだろうか、目を赤くしながらもやはり笑顔で、

「元気そうで何より」と言った。


 神菜の家は何年振りだろう。相当昔のことなのでうろ覚えだが、内壁が改装されているような気がする。

 神菜の母親の淹れてくれた緑茶をすすりながら俺は思う。

 家も変わったが、神菜も随分と変わった。

 肩にかかるくらい短いブラウンの髪は昔のままだったが、少しふっくらとしていた幼い頃とは打って変わって体格というかスタイルがかなり良かった。

 顔を合わせると緊張するくらいには。


 拓海と神菜は楽しそうに喋っている。


「俺は神菜以上にこの三人がもっと好きだ。だから俺はこのままの、今のまま三人でずっと過ごしていきたい」

 神菜の無事を聞いたときお前は確かそう言っていたな、拓海。


 俺がその仲睦まじい理想の関係、壊しちまうかも知れないな。


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