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三年目の追憶  作者: 青鷺 長閑
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七章……三年目、其の六。

「まぁ、あなたたちが一紀君と拓海君? ずいぶん大きくなったね」


 女性に既視感を覚えたのも当然のことだった。

 幼い頃に俺達はよく神菜の母親と会っていたからだ。

 とはいえそれだけのブランク、お互いに、すぐには分からなかったのだ。

 いや、こちらは覚えているべきだったのかも知れないが。

 とにかく、神菜の母親に会えたことで俺達は再び多少の安心感を得ることができた。


 俺は彼女に、俺達がここまでに至った経緯

を一通り話した。

「それで、神菜は今……」

 拓海はそれでも気が気でないらしく、単刀直入にそう訊いていた。

「あなたたちには今まで病気のことを話していなかったものね。あの子はもともと体は強い方なんだけど、この病気があるからどうしてもね……」

 神菜の母親が暗い表情になる。それに比例するように俺らの心持ちもく漆黒()く染められていく。

「じゃあ神菜は……やっぱり……」

「そうね。お医者さんの話だと病状はあまり良くないみたい。二人とも久し振りに会えると思ってたでしょうし、神菜も会いたかったでしょうけど……」

 俺達の声は一層弱々しくなっていく。

「……そう、ですか」

 面会謝絶で神菜には会えない。

 病気はもうどうにもならない。

こういうのを万事休す、と言うのだろう。

 そんな俺ら二人をどう思ったか、最後に優しくこう言ってくれた。

「とにかく今は薬を飲んで点滴を打って、安静にしてるしかないみたい。掛かり付けのお医者さんも、継続が大事って言ってるから、ね? そんなに気落ちしないで」


 どう返事したのかも覚えていない。

 どういう帰路を辿ったのかも。


 本人は励ましのつもりでかけてくれた言葉だったのだろう。


 でも俺達にとっては、大切な友人、この世に二人といない存在を失いかけていることの哀しみを悪戯に倍加させるだけだった――

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