美女とヲタ野郎の異世界転生RPG 神話の時代 創世記【実際にプレイ!】
「さあ今日は、いよいよこのゲームを初めてプレイする日だ。」
アプリを起動すると、ゲームのスタート画面へ。
ところがそれと同時に画面が光り出し、まるでその光に吸い込まれていくかのように、俺はゲームの画面に引きずり込まれていったのだった。
「うわあああーっ!」
そして気がついた時には、俺は勇者の格好をして、王様らしき人物の目の前にいた。
何だ?ここは…?
王「おお!おあああ!!うああああ!!
よくぞ来たヲタ野郎よ!わしはずっと、お前のようなヲタ野郎がこの世界を救いに来るのを待っておったぞ!」
例によって、一番最初はこのセリフだ。
この王様は、なんでわざわざ「おお!おあああ!!うああああ!!」なんて言うんだろうな。それが疑問でならない。
俺は神木龍臣という、いわゆる世間から『ヲタ野郎』などと呼ばれている男だ。
だいたいからして、『ヲタ野郎』などという呼ばれ方自体が、その手の趣味、嗜好の人間たちに対する差別的な、偏見のこもった言い方ではないか!と感じたのは、全くそうではないか、と言われると嘘になる。
そして気がついた時には、いきなり王の面前に呼び出されていた、というところから全ての物語は始まる。
王「おお、そういえば、まだ名前も聞いていなかったな。ヲタ野郎よ。
おお!そうじゃ!お前はこれから、勇者アクトと名乗るがよい!」
勇者アクトというのは、なんとこの城の王様が勝手につけた名前だった。
王「どうした?その名前では、気に入らなかったか?
ならば、他の名前も考えるが、よろしいか?」
勇者アクト「い、いえいえ、めっそうもない!
たいそう気に入りました。俺はこれから、勇者アクトと名乗ります。」
こうして名前までつけてもらったのだが、ここから本題に入るようだ。
王「さて…、敵は魔王グランドサタンじゃ!
魔王城に、国一番の美女が捕らえられておる!
魔王グランドサタンを倒し、国一番の美女を取り戻すのじゃ!
今まで我が国の兵士たちや屈強な戦士たちが、魔王グランドサタンに挑んできたが、いずれも敗北し、戦死していったのじゃよ…。」
王はいったん嘆くが、しかし、
王「とにかく!魔王グランドサタンを倒してこいや!」
勇者アクトと勝手に王から名付けられた俺は、目の前の宝箱を開けて、中身をとる。
軍資金と、最初の装備品が入っていた。
そしてこの世界の実態に驚く。
なんとこの世界には、このラタトームの城と城下町と、魔王城の3つしかないという。
つまり、ラタトームの城と城下町をぬけたら、いきなり魔王城に潜入するという。
ただ、この魔王城というのが、入るたびにフロアの形状が変わるという、不思議のダンジョンになっている。
いちおう外のフィールドもあるのだが、ほとんど魔王城の中での戦いがメインになる。
そしてなにより、横に歩く時は、カニ歩きで歩かなければならないというシロモノだった。
そして、魔法の種類も、ファイアボールと、ヒーリングと、スリーピングの3種類だけという。
魔法の系統もなにも、整理されていなかった。
しかもHPの回復魔法のヒーリング以外は、ほとんど使う機会もなかった。
これが、お世辞にも後にあの大ヒット作となる、『美女とヲタ野郎の異世界転生RPG』シリーズの第1作だとは、とても信じがたいようなシロモノだと思ったのだが、実際にそういうシロモノなのだ。
実際、第1作はそれほど興行的には成功とはいえなかった。
実際に興行的に成功し、大ヒット作となる足掛かりをつくったのは、第2作、第3作以降である。
「まったく、こんなのがよくヒットしたと思うよ。」
そして魔王城の中に入ると、中は真っ暗。
たいまつをつけなければ、暗くて何も見えない。
魔王城の中の魔物たちは基本的に1体ずつで現れる。
しかし、こちらも1人で戦わなければならないという。
仲間キャラはいない。基本的に全部1人でやらなければならない。
たった1人で、無数の魔物たちに立ち向かう、それが醍醐味だったという。
「本当にそれが、醍醐味なのかねえ。」
とにかく魔王城の一番奥へと向かい、魔王グランドサタンを倒して、捕らえられている美女を救いだす、ただそれだけの内容だった。
「これがこのシリーズの記念すべき第1作だったのか…。」
すると再び、光に包まれ、今度は異空間の中をさまよう。
そして再び気がついた時には、もといた自分の部屋にいた。
そこに、何者かの声が聞こえた。
「ようこそ!『美女とヲタ野郎の異世界転生RPG』の世界へ!」
もしかして、このゲームの全シリーズを開発した、開発者の声なのか…?
俺の名前は、神木龍臣という、ヲタ野郎だ。
第1作、『神話の時代 創世記』は、これではあまりにもつまらないので、俺が改造することにした。
まず、設定から変えてやった。『神話の時代 創世記』なのだから、神話の時代に神によって遣わされた勇者、という設定にしてやった。
俺はこう見えても、この手のプログラミングだけは得意なんだ。
今どきは小学校からプログラミングが必修科目だという。まったくいい時代になったもんだ。
それと『歴史総合』は、俺の好きな近現代史を、平成末期の時代まで扱うという。
待ってました!と歓迎する。
それでも学校になじめなかったのは、単純に趣味が合わなかったから。
特にいじめられていたとか、そういうことはない。
しかし、異世界ファンタジーRPGとか、異世界ものとかも、流行り廃りがあるから、そんな中で10作まで続編が出てデラックス版まで出て、根強く人気が続いている『美女とヲタ野郎の異世界転生RPG』シリーズというのは、すごいんだなと。
自分の力ではまだ何一つ成し遂げていない、まだ何者にもなっていない俺、神木龍臣が、生まれて初めて自分の力で物事を成し遂げるのが、このゲーム改造だ。
続いてマップを書きかえた。ラタトームから目の前に魔王城が見えるが、フィールドをぐるりと回っていかないと魔王城にはたどり着けないようにしてやった。
第1作では仲間キャラがいなくて1人での旅となるが、改造版では仲間を用意した。
それが美女2人、しかも双子の美人姉妹という設定。
基本的に俺は、中学校の同級生の女の中で好きな女の名前を、RPGのヒロインとか女キャラの名前としてつけている。
俺の中学校の好きな女は、双子の美少女姉妹という彼女たち。
飯豊美咲
飯豊七瀬
これでパーティー編成は、
主人公
たつおみ
美女1
みさき
美女2
ななせ
という編成になった。
最後に、魔王グランドサタンと戦う時の必殺技として、『波動剣』を用意した。